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「第三者目線による双方向での意向合わせ」がベストな採用意思決定を生む。

こんにちは。3-thinkの小野です。スタートアップ向け採用総合支援サービス『Reesus』を運営しています。

今回はスタートアップの採用活動における、選考プロセス内での機会損失やミスマッチの防止に重要となる「第三者目線による双方向での意向合わせ」の必要性についてお話しさせていただきます。

スタートアップの採用活動には、"双方向に" お互いを理解するプロセスが不可欠である。

採用活動における選考プロセスは、多くの場合、一方通行なものになりがちです。具体的には、企業側と求職者が面接を重ねる中で、企業側が合否を判断し、合格の場合に求職者がオファーを受けるかどうかを判断するという構図です。つまり、企業側の一面的な視点が採用結果を左右してしまうということになります。

スタートアップ企業側も多忙な中で、選考プロセスを効率的に進める必要があるのも確かです。しかし、一方通行な採用プロセスを行うことで、企業側、求職者側、双方にとってベストな採用が生まれにくくなっている状況があることも課題だと感じています。

頻繁に起こる問題の一つには、求職者の意向を適切に判断できないことによる採用機会の損失が挙げられます。求職者のスキルや経験自体は選考の中で高く評価されているものの、意向度や転職活動における意思決定軸、他社の選考状況、懸念点や迷っているポイント、今後のキャリアビジョンなどの把握ができていないまま選考が進むことで、適切なタイミングで採用決定の判断できず、アトラクトが後手に回ってしまい、いざ「採用したい」という結論に至っても、すでに他社に意向が固まっていたというケースです。

もう一つは、スタートアップ企業に飛び込む覚悟を確認、醸成できないまま採用を決定してしまうケースです。スタートアップ企業は対外から見ると魅力的に映ることも多く、求職者の憧れが先行してしまうケースもあります。しかし、スタートアップで活躍するには、カオスな環境でハードワークしやり遂げる姿勢や自律的に仕事を取りにいくマインドセット、想定外の多くの困難を乗り越えながら事業の成長に貢献する力などが求められるというのは自明の事実です。求職者自身がスタートアップ企業で働く意義や覚悟を明確にした上で入社しないと、結果的にミスマッチが生じ、早期の離職に繋がってしまうこともあります。

そのため、相互理解を深めるためには、選考の中で求職者が語る「表面的な志望度の高さ」ではなく、「本音ではどう思っているか」を引き出すとともに、企業の中の視点から実情を理解してもらうためのコミュニケーションが不可欠であると考えています。Reesusが採用支援を行う際は「リクルーター面談」という位置付けで、求職者から本音の意向を聞き出し、企業の実態とのすり合わせを行う場を設けています。実際の意向の高さはどれくらいなのか、懸念点はないのか、他社はどこを受けているかなどの深いヒアリングに加え、そのスタートアップ企業が抱える課題や求められる役割などのリアルを伝えていくことで、お互いの認識にずれがないかを調整することを大切にしています。

ただし、意向のすり合わせを行うにあたっては、採用決定を目的とした企業目線の意向上げにならないよう注意することがポイントです。その理由について述べていきます。

「採用決定」ではなく、双方にとってベストなゴールを目指すべき。

求職者から本音の意向を引き出すことは、近年の転職市場では難しくなってきているように感じてます。これまでは、人材紹介エージェントが企業と求職者の間に入り、意向や他社の選考状況をクリティカルに吸い上げ、共有してもらうことが一般的でした。しかし、現在は転職慣れした求職者も多く、複数のエージェントを活用することも多いため、本音の志望順位や温度感、他社の選考状況をすべてのエージェントに開示するわけではなくなってきています。その理由は、エージェントのビジネス構造的に、求職者とのコミュニケーションが採用決定の意向上げになりがちであるためです。その結果、企業側のポジティブな情報ばかりが伝えられたり、入社を必要以上に積極的に勧められたりすることで、求職者自身も身構えてしまい、企業側に対しても腹を割った話ができなくなってしまいます。

求職者に本音を語ってもらうためには、求職者自身の人生にフラットかつフェアに向き合う必要があります。もちろん、限られたリソースの中で採用活動を行うスタートアップ企業にとって、求職者と時間をかけて向き合うことは簡単ではないと思います。しかし、スタートアップ企業にとって一人の人材を採用することは、事業の行く末を決める重要な意思決定です。創業からまもないフェーズであればあるほど、相互理解をしっかりと行った上で入社してもらう必要があります。

求職者の意向を解像度高く吸い上げるために効果的な方法、それは「第三者視点での意向のすり合わせ」です。「ナーチャリング」と呼ばれる意向度を高めるためのコミュニケーションではなく、双方の橋渡しとなる「ブリッジング」とでも言うべきコミュニケーションを実施することが重要です。Reesusが「リクルーター面談」を行う際には、この考え方を重視しています。

スタートアップのリアルを「第三者目線」で語り、本音の意向を見極める。

「第三者目線での意向のすり合わせ」において、重要なポイントが二つあります。まず、自社のポジティブな側面だけでなく、事業・組織の状態や課題などネガティブな側面もリアルに伝えていくことです。これらの情報はスタートアップ企業自身が積極的に発信しているケースは少なく、求職者にとっても知りたい重要な情報です。多くの場合、求職者は入社意志についてあらためて問われると「迷っている」という段階にあります。主な要因としては、プロダクトの勝ち筋、今後の事業計画や戦略性、ファウンダー自身の高い熱量やビジョンなどが解像度高く伝わり切っていないことがあります。これらの点を改めて伝えることは納得感を醸成する上で大切になります。
Reesusが採用支援を行う際も、企業のポジティブな側面ばかりを伝えすぎず、ネガティブな側面も包み隠さず伝えるようにしています。そうすることで、企業の課題を求職者が自分ごと化し、入社後の役割や活躍のイメージを入社前に腹落ちしてもらうことにつながります。求職者自身が参画する価値を発揮し、共に課題を乗り越えていけそうかということに納得感と覚悟を持ってもらうことで、結果として意向が上がる、というプロセスがスタートアップ企業の採用には重要だと考えます。

もう一つのポイントは、スタートアップ企業で働くリアルを伝えた上で、求職者の覚悟や本気度について見極めることです。意思決定の軸は何なのか、他にどんな企業を受けているか、本人のライフステージが大胆な意思決定ができる状態にあるのかなどをざっくばらんに話してもらい、さまざまな角度から、入社への覚悟と本気度を確かめ合うことが大切です。その結果、現時点で自社への入社を選ぶ理由が見え切れない場合は、どんな情報が揃えば覚悟を醸成できるかを共に考えることも必要になります。そうした本音を話してもらうためにも、求職者の人生についてフェアな立場で向き合う第三者の目線が重要なのです。

採用ポジションや意向度合いに寄り添ってコミュニケーションを工夫する。

Reesusが「リクルーター面談」を行う際に大切にしていることは、採用ポジションや求職者の意向度によってコミュニケーション内容や対象を変えることも重要だと考えます。画一的なコミュニケーションではなく、一人ひとりの志向性や意向度に寄り添って話す内容や面談相手を調整することで、適切な距離感が生まれ、より双方にとって納得感の高いコミュニケーションができると考えているからです。
例えば、CxOなど幹部候補の人材を採用する場合、面談を始める際にReesusが社外の採用パートナーとして関わっていることを伝えるようにしています。ハンズオンで深く企業に関わっている当事者でありながら、社外の立場から客観的な会社の印象も伝えることができることを理解してもらうことで、本音を話してもらいやすくするためです。

また場合によってはさまざまな立場の人々を面談に巻き込んでいくこともあります。ある採用事例においては、求職者の最後の背中を押すためにVCとの面談を企業側に提案し、実施したこともあります。その企業のマーケットでの優位性や伸び代、ファウンダーの人柄、投資を決めた理由などをVCの視点から語ってもらうことにより、求職者側の理解と言語化が深まり、結果としてその事例では入社意思決定に至ってもらうことができました。
VCに限らず、求職者が求めているピースを埋められる視点を持った方をアサインし、コミュニケーションを取ってもらうことは相互理解にとって非常に大切です。例えば他チームの責任者や役員など、現場の実情を語ることに長けた方がいれば、選考のプロセスの中で一緒にコミュニケーションを取ってもらうことも有効です。そうすることで、求職者が企業の根幹であるビジョンから現場のリアルまでを立体的に理解できるようになり、しっかりと納得感を持って入社してもらうことができます。

もう一点、Reesusが心がけていることは、面談を通じて感じた求職者への印象をフラットに企業側に伝えることです。採用決定を目的として求職者のポジティブな面ばかりを伝えることはせず、良いと思った面も懸念点もフラットに伝えることで、求職者への評価の言語化に伴走することが目的です。そうすることで企業側の判断材料が増え、今のフェーズに対してどういう人材が欲しいのかの解像度が上がっていきます。その結果、納得感ある採用の軸が中長期的に形成され、スタートアップ企業自身の採用力の向上に繋がっていきます。

スタートアップ企業と求職者、双方のベストを追求できるパートナーでありたい。

求職者一人ひとりと丁寧に向き合うことは、短期的な採用成功だけでなく、中長期的な採用アセットになっていきます。面談を通じて、今回は採用しない方がいい、入社しない方がいいと結論に至ったとしても、将来的に企業や求職者自身の成長によって、再びマッチングするタイミングが生まれることも十分にあり得ます。大切なのは一方的に合否を判断することではなく、求職者にしっかりと情報を提供し、自ら納得いく意思決定をしてもらうことです。
そのようなコミュニケーションが取れていれば、求職者にとっても良い選考体験となり、自社のファンづくりにも繋がっていきます。Reesusが支援している、ある企業においても、互いに納得感の高い選考体験を重視して採用活動を行い続けた結果、口コミで評判が広がり採用決定が生まれた事例があります。転職活動は求職者にとって人生の大きな分岐点であり、企業としても採用は事業成長にレバレッジをかけられる大きなファクターになります。一人ひとりの採用に対してしっかりと向き合うことが、中長期的な採用力の向上と事業成長に必要不可欠だと言えるでしょう。

Reesusには、スタートアップ企業の成長を支援するという強い信念があります。しかし、スタートアップ企業を志す求職者の方々には、スタートアップ企業への飛び込み方に失敗してほしくないとも思っています。相互理解の機会がないことで、お互いにとっての機会損失を生んでしまうのはもったいないこと。お互いがフラットな関係性で相互理解できる採用環境をつくっていくことが、人材の流動性を高め、将来の日本全体のスタートアップエコシステムに貢献できると私たちは考えています。だからこそリクルーター面談を含め、スタートアップ企業の成長に必要なことを、業務範囲を限定せずに一緒に行っていきます。自らプレーヤーとして成長に伴走し、企業と求職者、双方のベストを追求するという価値を、これからも発揮していきたいと思っています。

主張:
第三者目線かつ双方向のコミュニケーションによる相互理解が、ベストな採用決定に繋がる。

課題:
一方通行の採用プロセスにより、企業も求職者も本音で理解し合えないまま意思決定を行っている。

対策:
採用プロセスに第三者目線での面談の場を設け、双方向でより深い意向のすり合わせを行う。

具体対策案:
1. 事業を深く理解したRPOなど、第三者との面談を選考プロセスに設け、本音の意向吸い上げを実施する。
2. VCや他チームの責任者など、求職者一人ひとりの意志決定に必要な情報を持った人々を巻き込む。
3. 求職者側のフラットな意見を蓄積し、自社のフェーズに必要な人材や採用の軸の解像度を高める。

採用総合支援サービス『Reesus』では採用課題の明確化から、具体的なプロセス構築まで、スタートアップ企業の採用力向上を一気通貫で支援しています。ぜひお気軽にご連絡ください。


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