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仙臺古談

其の弐繪 : 『 仙臺松火奇話 』
 
昭和二十年七月十日の仙台空襲以後に仙台に広まった話と聞きますが、また以前からあったものの様にも云われます。

その口伝より、

仙台では藩政期からお盆の送り火として各家の前で松火を組んで夕刻から夜半まで篝火を焚く習慣がありました。

日が暮れるにつれて、松火を篝らせたままちょっと離れたところから松火を見る事があるとそれまで気付かなかった事で、はてどこかで見た覚えのある人物が松火を背にこちらを向いて親しげにしていると言われました。

また振り向かないまでもその後ろ姿などが見覚えのある姿だとの事だそうです。

火の傍にいる人にはまったく気付かない事ではありましたが、後日、自宅の仏壇等の写真を見る事があれば果たしてあれは先祖の姿だったりしたと言われます。

これは盆に祖霊が家々に帰した事だと言われており、初盆に近い霊より多くあったとも伝わります。

また戦後まもなくの一時期、松火の篝火がより一層灯りを増した様に云われ、これも今回の戦争で亡くなった無数の霊魂がこの地に帰って来たのだと云う口伝もあった様ですが、それはまた別な伝承らしいです。

これらの口伝が残る仙台の松火も戦後、道路が舗装されるに連れ、篝火の熱でアスファルトが溶けると云う理由で程なく禁止さていったと言われています

                                                                        ー 続く。

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