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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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2021年9月の記事一覧

現代短歌 《白黒》

現代短歌 《白黒》

この想い言葉にしようと試みる何かが違うと破り捨てても

風船が膨らむように増えていく気持ちの処理に追いつかなくて

この花を育てた私は愚か者そのまま待つのか枯れてしまうまで

噂とか占いだとか信じない襲いかかる波虚しさの音

あてもなくふらふらと歩く道中であなたの背中に見えた優しさ

伝えれば白黒はっきりするのでしょうそれが怖くて日々やり過ごし

あなたには気付かぬふりを決め込んでそっぽ向いてる放

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現代短歌 《想いだけ》

現代短歌 《想いだけ》

パンクした頭の中で弾けるの夢で見た街訪れたまま

関係に以上も無ければ以下も無くもどかしさだけが宙に浮かんで

優しさにつけ込むような昼下がりさらりと触れた手のひらの上

山道を駆けていく君眩しさに鼓動高鳴る太陽の下

また会えるそう思うほど青空に雲を浮かべて気付いて気付くな

人はなぜ2人以上になるときは強くなるのかねえ答えてよ

開いた口塞がる前に詰め込まれ菓子であふれたもうたくさんだよ

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現代短歌 《襟足》

現代短歌 《襟足》

帽子からはみ出た襟足が誘う柔らかな風夕焼けの街

やさしさで霞んでしまう何もかも裾野に広がるあの景色さえ

大人でも舐めていいのだドロップス甘さと引き換え思い出ごと溶け

何度でも間違い電話で構わない耳元に咲くミモザの花よ

明るさと口調で隠したその奥の洞窟の中をわたしは知りたい

坂道を下るあの子の急ぎ足追いつけ追い越せ日没までに

君の絵に見たしつこさが脳内にこびりついてる寝ても覚めても

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現代短歌 《雨音が》

現代短歌 《雨音が》

小雨なら大丈夫ですこのくらい渡した傘が次の待ち合わせ

緩やかに軽い頭痛と雨垂れが過ぎ去って行く日々の言伝

髪の毛が濡れた時から重なったあの日の憂鬱夢うつつでも

きらきらと光る雨粒透き通り宝石となれ手のひらの上

雨音がBGMになる時間あなたとともに安らげればこそ

雨宿りいつまでも続けもっと降れ隣にいられるこのときを止めて

ざあざあと強まる雨脚窓辺には小さな小舟がプカリ浮かんだ

上がって

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現代短歌 《緑色の日々》

現代短歌 《緑色の日々》

雨に濡れきらめく緑に奪われた心はいつしか晴れ渡る空

しゅるしゅるとそんなに急いでどこへ行く青い尻尾を目で追い逃げられ

赤に黒水玉模様の君は今どんな景色を見ているんだい

明るくも暗くもなるさこの場所は魔法がかかる妖精の庭

伝えたい口から出かける言葉さえ雲に隠れて今日も帰るの

行き先が霧に覆われ見えぬとも前に進めば分かる感触

夢を見るあなたとどこかフラフラと行くあても無く旅する夢を

サイ

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