今後10年の成長を支えるアーキテクチャを追求したい|私たちの職務経歴書 ~ 田辺憲行
こんにちは!マネーフォワードビジネスカンパニー採用広報の久住です。
「私たちの職務経歴書」シリーズでは、面接の場でみなさんとお会いする社員のこれまでの経歴、マネーフォワードになぜ入社したか、今の仕事ややりがいなどをお伝えしています。
今回紹介するのは、SMB開発本部 副本部長の田辺憲行(たなべのりゆき)さんです。
『マネーフォワード クラウド会計』をはじめとしたプロダクト開発を担当するSMB開発本部にて副本部長を務める田辺さんに、マネーフォワードで働く魅力ややりがい、働くうえで大事にしているマインドなどを伺いました。
これまでの経歴
――まずは前職までのお仕事について教えてください。
大学卒業後、組み込み系エンジニアからキャリアをスタートしました。
私が中学生の頃に、親が『Windows 98』を買ってきたことがきっかけでプログラミングに没頭したんです。家にいるときはずっとパソコンの前にいるような学生でした(笑)。当時は簡単なホームページを作るといったところから始まりましたが、その趣味が高じて情報科学系の大学に進学し、自然とIT業界を志すようになりましたね。
新卒で入ったSES企業で、たまたま配属されたのがネットワーク機器の組み込みシステム開発でした。当時はそもそも社会人として右も左もわからない中で、がむしゃらに仕事をしていた記憶がありますね。
――そんな中、次の会社へ転職したきっかけは何だったのでしょうか?
業務で使っていたPerlに近いRubyに興味を持ち、夢中になったんです。
Rubyに興味を持ったことで自分で好き勝手やりだしたというか、社内の管理システムを勝手にRubyで作って、「これ使ってください」と提供したりしていました。
1~2年ほど独学で開発を続けているうちに「Rubyを使ったWeb開発を本格的にやりたい!」と思うようになり、Web系の会社に転職しました。また趣味が高じた結果です(笑)。
ただ、いくら個人的にWeb開発をしていたと言っても、職歴としてはカウントされません。当時社会人5年目くらいだったんですが、組み込み系からWeb系への転職活動は「未経験」「新卒扱い」とみなされてしまうので苦労しましたね。
――次の職場では、どのような業務を担当されていたんですか?
2社目ではアプリの立ち上げやフルリニューアルなど、ひたすら新規開発を担当していました。
――実際にWeb開発をやってみていかがでしたか?
受託開発ではあったのですが、組み込み系との大きな違いはユーザーとの接点を持てたことです。リリースしたらすぐにユーザーに直接見てもらえるし、フィードバックもすぐに来る。その点はとても満たされていました。「ユーザーから近い距離で開発したい」という想いは今も変わりません。
その想いが強くなったのに加え、クライアントに依存しない開発をしたいと思って、3社目では事業会社に転職しました。小さなスタートアップだったのですが、Next.jsを利用したモダンフロントエンドを含むアプリケーション開発などしっかり作られたシステムをイチからリリースする経験をしました。
マネフォに入社したきっかけ
――その後、マネーフォワードに入社したきっかけは?
スクラム開発をやってみたかったんです。前職のスタートアップでも取り入れてはいたのですが、ある程度の人数規模で、全員がオーナーシップを持って実践するスクラム開発に挑戦したいと思って転職活動をはじめました。
――どんな会社が候補に挙がっていたんですか?
言語や技術よりも開発体制や規模を考慮して、いろんな会社を見ていましたね。当時は2019年ということで、時代の流れもありSaaS企業が候補になることが多かったです。
一方で、会計のドメイン知識があったわけでもなかったので、この領域を狙っていたということでもありません。
――その中からマネーフォワードを選んだ決め手は?
マネーフォワードを選んだ理由は、最初に内定をもらったからです。
参考にならないかもしれません・・・(苦笑)。
結局のところ実際に働いてみないと、その会社が自分に合っているかどうかなんてわからないものだと思っています。
――会計のドメイン知識はなかったとのことですが、不安はありませんでしたか?
特になかったですね。
これまで働いてきたSESや受託開発って、新たな挑戦の連続なんですよ。
例えば、いきなり「医療業界のプログラム作って」と言われることもしばしばあるんです。「新しい業種・領域に飛び込むこと」に慣れるのにすごく良い経験でしたし、その経験が活きたと思います。
――実際にマネーフォワードに入社してみていかがですか?
やりたいことをやらせてもらえる環境があるのは、とても良いなと思っています。
今は改善されましたが、入社当時の5年前、「本格的なスクラム開発をしたい!」と意気込んで入社したものの、蓋を開けてみるといわゆる「なんちゃってスクラム」だったんです。スクラムマスターもいないし、イベントもしっかりやっているわけではなくて・・・。
まだ入社したばかりだったので、諦め半分で上司に「こういう開発をしたいから、体制作りのためにこういうロールの人がほしい」と相談してみたんです。すると目的や意義を理解してくれ、すぐにメンバーがアサインされました。
社歴の浅いメンバーの提案も傾聴してくれ、実行させてくれる環境は良いなと思っています。
――ボトムアップを歓迎する社風ですよね。その他、カルチャーなどで感じたことは?
会社が掲げる「Values」「Culture」の中に、「User Focus(ユーザーフォーカス)」というValuesがあるのですが、多くの社員がこの行動指針にもとづき行動しているのがとても良い文化だなと感じています。
例えば、私はユーザーの声を聞くことを大切にしているんですが、ユーザーに向き合う文化がない現場だと「なぜユーザーインタビューにそこまで工数をかけるの?」と理解を得られないこともあります。そうすると理解してもらうために説明コストもかかってきますよね。
マネーフォワードでは「ユーザーの課題を理解し、ユーザーの期待や想像を超えた価値を提供していこう」という考え方が前提としてあるので、ユーザーフォーカスを目的としたアクションは推奨されます。もっと伸ばしていきたい文化ですね。
SMB開発本部について
――マネーフォワード入社後の業務の変遷を教えてください。
2019年12月に入社し、『マネーフォワード クラウド確定申告』の開発とフルリニューアルに携わりました。その後も一貫して、個人事業主向けのプロダクトに携わってきました。
2021年にはSMB開発本部の前身組織にて副本部長に就任し、今に至るまでマネジメント業務をメインに行っています。現在、SMB開発本部は5部門に分かれており、私はそのうちの一つ「Architect部」を中心に統括しています。
――SMB開発本部は、どのような業務を担当しているんですか?
SMB開発本部は、『マネーフォワード クラウド会計』『クラウド確定申告』『クラウド請求書』『クラウド会社設立』『クラウド開業届』などの開発、すなわち個人事業主・中小企業向けの経理財務プロダクトの開発を担っています。
――事業やプロダクトはどのようなフェーズにあり、どんな課題があるのでしょうか?
経理財務領域はマネーフォワード創業当初から続く事業領域であり、私たちが手掛けるプロダクトは成熟期にあると言えるでしょう。
ただし、歴史がある分、負債もたくさんあります。開発のやり方や体制を含めて、悪い意味で引きずってしまっている部分は変えていかなければなりません。今後10年戦える組織にしたいので、今は「変革フェーズ」だと私は考えています。
その中で、私が部長を務めるArchitect部は、「開発本部全体の生産性が向上して、開発者が楽しく開発することができる環境を実現する」をビジョンに掲げています。現状の業務としては、例えば設計方針の作成・精査や、CI/CDの最適化などです。目下やっていることは技術負債の解消なのですが、これはあくまで手段であり、やりたいのはビジョンの実現なんです。
現状としては「本当は直したい負債がある状態で、機能を作らなければいけない」ので、エンジニアは新たな負債を生んでいる自覚を持ちながら開発している――。これは健康な状態ではないので解決しよう、というのがArchitect部の取り組みです。
実は、このArchitect部の立ち上げも1年ほど前に私が提案して、メンバーのアサインを行いました。今の開発組織の課題を考えたときに、この負債をそのままにしては、この先戦えなくなるという懸念があったんです。
――Architect部はどんなことに取り組んでいるのでしょうか?
Architect部の取り組みは、3つのステップで考えています。
ファーストステップは、マイナスをゼロにする負債解消フェーズです。まずは当社事業の中心的なプロダクトである『クラウド会計』のクリティカルな負債をゼロに戻す作業が必要です。これを1~2年でやり切りたいと考えています。
セカンドステップでは、SMB開発本部全体に目を向けてシステムアーキテクチャに手を入れたいと思っています。今は、責任とソースコードが一致していない状態です。要は、エンジニアが自分の担当プロダクトに機能を作ろうと思っても、別のプロダクトまで触らなければいけないことがあるんです。これはプロダクトではなくアーキテクチャの問題。プロダクトの関係を考慮して、全体のアーキテクチャの設計を改善する必要があります。
サードステップでは、SMB開発本部にとどまらず、マネーフォワードビジネスカンパニー全体への貢献を考えています。例えば、SMB開発本部で成功した取り組みを、マネーフォワードビジネスカンパニー全体に横展開するなど。将来的には、MFBC全体で最適なアーキテクチャを追求していきたいですね。
私も含めて、アーキテクトの人って、プロダクトを横断した全体のシステムアーキテクチャから考えて、実現することに喜びややりがいを感じると思うんです。なので「セカンドステップが面白そう」という声は部内でもよく聞きますし、私もすごくやりたい領域です。
――Architect部だから向き合える課題ですね。
設計という領域は、エンジニアは皆やっているから「皆で意見を持ち寄りましょう」となりがちです。特に日本ではアーキテクトを専任で配置する企業が少ない気がします。
しかし実際は、片手間でアーキテクチャに向き合うのは難しいので、Architect部がオーナーシップを持って取り組んでいるわけです。
SMB開発本部で働く魅力
――SMB開発本部で働く魅力について教えてください。
一つは会計・確定申告を中心とした経理財務領域という、マネーフォワード クラウドのコアプロダクトを扱うことは大きなやりがいにつながることです。マネーフォワード クラウドの中で最大規模のユーザー数を誇るプロダクトの改修となると、重大性や難易度の高さも格段に上がります。
さらに、コアプロダクトだからこそ多角展開され、ある程度大きく成長してきたからこそ、前述した負債やカオスが生まれている状態です。そうなって初めてシステムアーキテクトとしての仕事が生まれる。こういった成熟したプロダクトだからこそ挑戦できるミッションや業務がありますし、大きなやりがいを感じられると思います。
――もう一つの魅力はなんでしょうか?
もう一つは業務コミュニケーションの英語化です。SMB開発本部に限りませんが、マネーフォワードは事業や組織のグローバル化に対応するため、エンジニア組織を中心に英語化を進めています。
現在、SMB開発本部の2~3割が英語話者です。完全に英語化しているわけではないですが、Slackでのコミュニケーションや社内ドキュメントは基本的に英語で行っています。皆が皆、最初から英語ができたわけではなく、学習や日々のやりとりの積み重ねによりスキルが上がってきています。また、必要に応じて業務時間内の英語学習機会も提供しています。
今の時代、エンジニアは海外のOSSを使って開発をすることも多く、英語と切っても切り離せない仕事です。世の中には英語ができないと入れない開発現場も多いので、エンジニアのキャリアにとってもすごくいい環境だと思っています。
こんな方と一緒に働きたい!
――田辺さんが働くうえで大切にしているマインドはありますか?
とにかく「やる」ということを大切にしています。「できないかもしれない」「難しいから、いつできるかわからない」と放置することはあまり好きではありません。SES時代からずっと大事にしていることですね。先の不安ばかりにとらわれない、実行力・行動力がある方にジョインいただけると頼もしいですね。
また、Architect部としては「スピード」を重視しています。法令対応などの開発と比べて、アーキテクチャの改善は期限に対する圧力が弱く、どうしてもスピード感が出にくいという課題があります。なので、スピードを重視しながら、スケジュールや優先度を自分たちでしっかり管理し、オーナーシップを持って開発しようという方針でやっています。
――どんな方だとSMB開発本部にフィットしそうでしょうか?
Architect部に関していえば、スキルや経験面ではある程度経験を積んできており、システムの設計をちゃんと見てきた方が一番向いていると思います。
マインドとしては、プロダクトでも組織でもいいので何か課題を発見して、自分で解決策を考えてアプローチできる方はメンバーとも話が合うと思います。
――最後に、SMB開発本部の今後の展望について教えてください。
日本一の素晴らしいシステムを作りたいという展望がありますね。今後10年のグロースに耐えられる設計を、まさに今作っています。
採用候補者の方にはいつも正直に伝えているのですが、現状たくさんの負債がある状態です。ただ、10年以上続く歴史あるコアプロダクトの負債に向き合えるチャンスも、そうそうないんですよね。繰り返しになりますが、成熟した中核プロダクトで、ユーザー規模も大きいからこそ、現状のカオスがあるんです。
このヘビーな課題に向き合ってやり遂げることは、エンジニアのキャリアにもプラスになるし、やりがいもあるはずです。やった方がいいと提案したことを後押ししてくれる文化もあるので、そういったモチベーションのある方とぜひ一緒に働ければと思います。
――最後に、田辺さんのプライベートについても教えてください!
プライベートではゲームやテニスを楽しんでいますが、お見せするような写真はなく・・・(笑)。
先日、Architect部のメンバーとEnglish tea timeをしたので、そのときの写真を紹介します。多様な国籍のメンバーと英語で雑談することで、チームのコミュニケーションやエンゲージメントがさらに高まればと思っています。
編集後記
「私の話は面白くないですよ」「キラキラした経歴もないですよ」と謙遜される田辺さんでしたが、インタビューではすべての質問に真剣に回答いただいたのが印象的でした。
また、一貫していたのが正直であること。マネーフォワードに入社したきっかけや、SMB開発本部が向き合う現状や課題など、採用候補者に対して誠実に向き合っているからこそこれほど正直に語っていただけるのだと感じました。
その上で、いまのSMB開発本部やArchitect部が向き合う課題が面白い、という言葉が出てくるのは、心からそう感じられているからなんだと思います。
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