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他人の人生に関与するという事【8番目の男】

 Netflixで公開された映画【8番目の男】が面白かった。

 これは、2008年に韓国で導入された国民参与裁判をテーマとした、実話を基に描く法廷サスペンス。

 韓国では国民参与裁判って言うんですね。
 アメリカでは陪審員制度で、【十二人の怒れる男】という映画が有名。
 日本は裁判員制度で、【12人の優しい日本人】という映画がありましたね。私は見ていないけど。

 あらすじはこちら↓

その事件は、証拠も証言もそろっていたはずだった。
国民が参加する裁判が歴史上初めて開かれる日。
全国民が注目する中、年齢も職業も異なる8名の普通の人々が陪審員団に選定される。
大韓民国初の陪審員になった彼らの前に置かれた事件は、証拠・証言・自白までそろった明白な殺害事件。
刑を量定するだけのはずが、被告人がいきなり嫌疑を否認したため、陪審員たちは急きょ有罪無罪の決断を迫られることになる。
誰もが困惑する中、原則主義者の裁判長ジュンギョムは正確かつ迅速に裁判を進めようとする。
だが質問と問題提起を繰り返す8番陪審員ナムをはじめとする陪審員たちの突発的な行動により、裁判は予期せぬ方向に進んでいく。

KBS WORLDより

 日本で2009年5月に裁判員制度が始まった時、私は絶対に選ばれたくないと心底思った。
 それは、時間が奪われるからとか、面倒くさいとかという理由ではなく、見ず知らずの人の人生を審判するなんて重過ぎると思ったから。

 この【8番目の男】でも、そういった点が色濃く描かれている。

 殺人事件の量刑を決めるだけのはずが、有罪か無罪かを問われる展開になり、困惑する陪審員達の様子が、ハードになりすぎないよう、芸達者の役者陣によって、緊迫感がありながらもコミカルに描かれている点が、流石だなぁ〜と思った。

 それでも、見やすくコミカルに演出されていても、被告人の恵まれない環境、その人生の深部に迫るほど、裁判というものの難しさを感じさせられる。
 人が人を裁くという事がどういう事なのかと、陪審員達が戸惑いならも真剣に出した答えによって、初心にかえる裁判官の揺れる心の動きを、名女優ムン・ソリが繊細に演じていて、とても感動的だった。

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