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もう限界だった。広告代理店の仮面を外し、自分の軸で歩む葛藤と挑戦

【認知を揺さぶり心が震える、彩り豊かな人生を味わい楽しむ】をテーマにした、rebornの揺さぶるメディア(仮)です。

社会の常識や考え方に【グラグラ】して、自分の本音をもって相手に伝えて行動し【ハラハラ】する。そして自分や他人を理解できた時の【ホッコリ】
人それぞれ、本気で人生に人に向き合うからこそ、そこに味わい深い彩り豊かな人生【認知を揺さぶられる】エピソードがある。

今回は、日商エレクトロニクス株式会社 コミュニケーションデザイン室長の児玉圭吾さんにインタビューをさせていただきました。rebornとの出会いは、前職の広告会社で組織開発を担当したことから。その時は営業責任者を務めていて、売上至上主義で組織文化の重要性が理解できなかったといいます。一方で、これまでの働き方やあり方に限界を感じていた時期でもありました。

インタビュアーはreborn株式会社の福本愛。児玉さんのトランジション(価値観や在り方の変化)について伺います。

嚙み合わなくなっていった価値観

福本:児玉さんとrebornとの出会いについて教えてください。

児玉さん:rebornさんが、前職の組織開発を担当したことで出会いました。でも、当時私は営業責任者だったので、直接的な関わりは少なかったんです。その頃は会社の転換期で、ミッションビジョンやバリューを定めていこうとしていました。私もrebornのメンバーからヒアリングを受けたのですが、当時は自分の価値観を問われるような質問をされても何と答えたら良いのか分かりませんでした。それもそのはずで、それまで1度も「自分は何のために働いているか」「自分が仕事を通じてどうなりたいのか」ということを考えたことがなかったんです。それに時間を費やすことも無意味に感じてしまって、会社の向かっている方向とのズレを感じ始めていました。

福本:最初は未知との遭遇といった感じだったんでしょうか。当時の児玉さんはどのような意識で働かれていたんですか?

児玉さん:広告代理店の営業マンとして成功するためには、どう自分を強く押し出して意見を通すか、いかに相手のマウントを取るかが重要だと思い込んでいました。営業で成果を上げて社会から評価されたい、役職に就きたい、お金を稼ぎたいなど、求めていたのは結果だけでしたね。
会社では当時、社員ひとりひとりのマイミッションを定めようとしていたのですが、マイミッションと言われても、自分が売上以外に何を目指したらいいのかが分かりませんでした。
部署としても価値観の共有をせず、自分たちの役割を定義しないまま売上を上げることだけを正としていたんです。

このまま働き続けるのは限界だった

児玉さん:一方で、自分の中に「もう限界だ、助けてほしい」という気持ちが湧いていたのもこの頃なんです。今までやってきたことがうまくいかなくなってきて、メンバーとのコミュニケーションにも悩んでいました。
これまでは「こうすればお客様に喜んでもらえる」という手ごたえを感じられていたのに、その頃はどれだけ頑張っても思ったような反応が得られず自信を失っていました。周りのメンバーから共感を得られていない気もして苦しかったです。
当時はなぜそうなってしまったのか分かりませんでしたが、会社から求められる数字を半ば無理やり達成するやり方に、いろいろなところで歪みが生じていたのだと思います。

そしてある日「もうこれ以上働けない」と思い至りました。特別な事件が起こったわけではなくて、これまで徐々にコップにたまっていた水が、ほんの少しのことで溢れ出たような感覚でした。
職場がどうということは関係なく、人生自体のやりがいが分からなくなっていたんです。

福本:会社の変革と同時に、児玉さんご自身の中でも変化が起こっていたんですね。その後はどのように過ごされていたんですか?

児玉さん:代表とも話して、しばらく仕事をセーブすることにしました。最初は2〜3週間ほど仕事を休んで家族旅行に行ったんです。そこで少し体を休めた後は、出社しながらじっくり内省する時間を作りました。「自分は何のために存在しているのか」「何のために働いているのか」ということを周りと対話しながら考えて、マイミッションについても模索していきました。

福本:ご自身と向き合うことに対して、怖さは感じましたか?

児玉さん:怖さしかなかったですね。今だからこうやって話せるけど、当時はこのトンネルから抜け出せるのか検討がつかない状態だったので。

「広告代理店の営業マン」という仮面を外す

福本:ご自身と向き合う中で、どんな難しさがありましたか?

児玉さん:今まで被ってきた「広告代理店の営業マン」という仮面を取り去ることに苦労しました。コミュニケーション能力が高くて、クライアントの要望を先読みして、チームメンバーを目標達成のための駒のように扱う自分。そんな風に振る舞わなければ広告代理店では成功できないと思っていたんです。でもそれは、本来の自分とはかけ離れた人間でした。
周囲に良く思われたいがために、そんな仮面を家族の前でも長年つけていたので、いざ取り払おうと思っても簡単にはいきませんでした。

福本:仕事で目標達成するために被っていた仮面が、プライベートまで飲み込んでしまっていたんですね。その仮面はいつからつけていたのでしょうか?

児玉さん:社会人になって少したった頃からだと思います。もともと学生の頃の自分は好きなことだけしかやらない性分で、そうじゃないことは長続きしませんでした。社会人になっても、最初の2社はすぐに辞めてしまって、3社目でようやく周りの人にも恵まれて仕事が楽しくなってきたんです。でも、本来の自分のままではビジネスの場にマッチしない、このままでは皆の期待に応えられないと考えるようになり、少しずつ本来の自分とはギャップのある自分ができあがっていきました。

福本:社会へ適合しなければという思いがあったんですね。長く被っていた仮面は、どのように外していったのでしょうか?

児玉さん:本当の自分の気持ちに向き合うには客観的に自分を見つめる必要があると思ったんです。そこで、マインドフルネスやウェルビーイングの考えを取り入れながら、1年ほどかけて少しずつ素の自分を取り戻していきました。
ただ、これも何か大きなきっかけや一発逆転のメソッドがあったわけではありません。人間って、ある日突然生まれ変わることはほとんどないと思うんです。今までの自分が終わっていくことと次の自分の始まりの間には「ニュートラル期間」があって、少しずつ新しい自分の割合が増えていくのだと考えています。

マインドフルネスも特別な方法は用いていなくて、歩きながらでも何も考えない時間が設けられたらそれで良しとしていました。
そんなことを長い期間繰り返していくうちに、少しずつ仮面は外れていき、腹落ちするマイミッションも見つけることができました。

マイミッションを胸に新たな地へ

福本:マイミッションはどんな言葉になったんですか?
 
児玉さん:「個性を引き出し、輝かせる」としました。売上や顧客満足を追及するよりも、チームメンバーが成長していくことや、やり遂げるまでのプロセスが自分にとって重要だと気が付いたんです。チームビルディングという言葉を使ってこそいませんでしたが、振り返ってみると、メンバーそれぞれの個性や特徴を生かして、チームを編成していました。凸凹のパズルを埋めるように、誰かが苦手なことはそれを補う別のメンバーを当ててうまくチームを回していくことが、本当の自分がやりたかったことだと気が付いたんです。

福本:その後、現在の会社に転職されたんですね。組織開発に携わるようになったのはどのような経緯だったんですか?

児玉さん:自分のマイミッションを定めた後、よりそれが実現できる場所で働こうと思い転職を決めました。転職先では、ちょうど企業のあり方を再定義してミッションビジョンなどを定めていくタイミングで。そこで、自分が社長に提案をしながら、責任者としてコーポレートブランディングを進めていくことになったんです。コーポレートブランディングの伴走役としてrebornさんに依頼しました。

まず、会社自体をひとつの個性として捉えられるのではないかと仮説を立てたんです。企業ブランディングというのはその個性を引き出す作業なので、それにトライすることは自分のマイミッションを最大限実現することだと考えています。

福本:前の職場で理解しがたかったことが、今度はまさにマイミッションになっていったんですね。

ここまでお話を伺って、児玉さんのあり方が大きく変化してきた過程を知ることができました。今のご自身のことをどのように捉えていらっしゃいますか?

児玉さん:ここ数年の自分自身の変革を経て、「新しいキラキラした自分」に生まれ変わったという認識はまったくありません。無理していたものが普通になったくらいの感覚なんです。「キラキラした自分」になっているとしたら、きっとそれはまた別の仮面を被ってますね(笑)
そうやってまた仮面を被ってしまわないように、自分が無理をしていないか定期的に振り返るようにしています。以前に比べて、自分が今どういうことを感じているかを客観的に観察できるようになりました。こういうことって考えなくても済むし、考えると疲れるんだけれど、それを拒否せずにやるようにしています。

今の自分がゴールだとは考えていません。いつかまた別の苦しみがやってくるだろうけど、その苦しみはきっと報われるからちゃんと味わおうと思っています。
そして、同じように悩む人たちが、自分にきちんと向き合える世の中であってほしいですね。だからこそ、そのサポートをしているrebornに共感していて、一緒に活動をしていきたいと考えています。

さいごに

人は多かれ少なかれ仮面を被っているもの。でもそれがあまりにも本来の自分とかけ離れていたり、素の自分の否定の上に成り立っていたりすると心に無理が生じてしまいます。児玉さんはそんな自分に気がつき、立ち止まり、心の底にある本当の気持ちを拾い上げて新たな一歩を踏み出しました。

rebornでは「自分の本音と向き合いながら、他者との関係を再構築し続ける営み」を「愛」と表現しています。児玉さんがやってきたのはまさに「愛」の作業でした。
周囲の期待に応えたいと思って始めた「我慢する愛」。そこから自分の本音を探し出した「自分に問う愛」。今は社員ひとりひとりの、ひいては会社の個性を引き出し輝かせようと尽力する「味わい深い愛」を感じます。

rebornはこれからも、自分と向き合い味わい深い人生を求める人を支えていきます。 

\最後までお読みいただきありがとうございました!/

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今回お話を伺った方:
日商エレクトロニクス(株)コミュニケーションデザイン室長 児玉圭吾

インタビュアー:
reborn株式会社 福本愛

編集・ライター: 小松千波
校正:森まゆみ
アートディレクション: 羽渕彰博



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