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【私の学び直し】37歳から大学院(Master of Public Healthコース)に行った理学療法士の話

公衆衛生の知識を応用して、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローと言います。

先日、39歳になりました。40代まで、ラスト一年。とにかく
立ち止まることが嫌な性分なので、今年も、新たなチャレンジを続けていきたいと思っています。

そんな私は、20代中頃にリハビリテーション学専攻の大学院修士課程を修了していました。しかし、37歳になって、新たな分野「公衆衛生学・疫学」の大学院に行き直しました。


この記事では、
「私がなぜ公衆衛生に興味を持ち、大学院に行き直したのか」
「公衆衛生大学院ってどのような事を学ぶの?」

といった事を記載します。


‖  リハビリのスタッフが公衆衛生 ?


普段は、リハビリテーション医療の現場に居ます。

リハビリの現場には、長年にわたり高血圧を無視して脳卒中になった方、糖尿病を放置して足を切断した方、転倒して大腿骨を骨折した方など様々な患者さんが来られます。

リハビリテーション医療は、患者さんの「希望の医療」とも言われますが、初めからやりたい人はいないと思いますし、できれば避けたいはずです。

読者の方は、現場を見たことがない方が大半と思いますが、
病気で弱った(動かない・もしくは欠損した)身体で、生活を再建させるために運動をしたり、動作の練習をすることがどれほど大変な事か。
元の生活に戻るために、どれだけ時間が必要か。

本音を言うと、私達(理学療法士)が暇であれば、それが一番良いなと思っています(それだけ、皆が健康・元気と言うこと)。


‖  理学療法士が予防医療でできる事は何か無いか?


理学療法士は、運動の指導を得意とする仕事です。

生活習慣病の予防や改善には運動が著効するため、もっと予防的な観点に立って、皆がリハビリの門をくぐらずに済む方法が無いのだろうかと考えはじめました。

世の中には、様々な健康情報が溢れています。特に〇〇を食べると、ガンが予防できるとか、▲▲体操をすると、要介護リスクが15%減るなど、、、。

このような話を耳にするたびに、「やっぱり予防医療って、ただの占いやん」「後出しジャンケンやん」って。

健康に人一倍気をつけていても、ガンになって逝去した友人もいますし、私の祖父(同居はしていない)のように、一日何箱もタバコを吸っていても90歳近くまで病気なしに生きた人もいます。

疾病の予防に携わりたいが、予防できたかできていないかなど立証は不可能で、無駄な議論。やはり、予防医療は占いや後出しジャンケンに過ぎないと確信しました。

そして、この事実を誰かにぶつけてみたくなってきました。

周りに言っても真剣には返答をしてくれないので、一番「予防大事」と言っている公衆衛生分野に、半ば道場破り的なノリで大学院の学生説明会に行ってみました。

大学院の学生説明会で、結果的に所属することになった教室の先生の素晴らしいプレゼンを聞いて受験を決意しました。↓↓


‖  公衆衛生大学院では、予防医療についてどのような事を学んだ?


大学院では、疫学のトレーニングにかなりの時間を使いました。
疫学はヒト集団を対象とした調査・測定・比較から発生の因果に迫る学問と、入学後に知りました。

理学療法士で疫学をガッツリ勉強することになると思っていなかったので、当初は困惑しました(目の前の患者さんしかみた事がない。理学療法士が集団を評価できる?)。

「個人の因果(これが原因で病気になった or 予防できた)は測定できない」

ほら、やっぱり、、、。

しかし、
集団を丁寧に評価し比べることで、見える要因がある

事がわかりました。

「目の前の患者さんをみていく視点、そしてその患者さんを含めた集団を意識する事で、また新たな視点が生まれる」

これをギリギリ30代で知れたことは、今後のキャリアに活きてくるはずです。

また、疫学を深く知る事で、改めてテレビやインターネットの健康情報って、結構適当な事を言っている事もわかりました(先日も、ひどいテレビ番組がありました)。

今は、情報を誰でも発信できる時代ですし、情報のゲートキーパーもいないので正しい情報を得るのが余計に難しく感じます
(これは発信する私への自戒でもありますが、、、)。


集団を評価することや、効果を判定するためにも
公衆衛生大学院では、統計学も嫌というほど勉強します。

学会や論文などで、「統計は、、、」と言われた瞬間にそこは飛ばして聞いていた人(過去の私)には、特におすすめです。

一度はわからず辛い思いをしますが、少しでも理解できればこっちのものです!

私も、統計アレルギーは相当緩和しました(完治は一生しないと思いますが・・・)。


■ まとめ


理学療法士の立場から予防医療を実践したいと思い、新しい分野に飛び込みました。

最初は、予防医療=後出しジャンケンと思っていましたが、個人に着目するのではなく、集団を丁寧に分析することで、予防の効果を測定・推定することが可能ということを知りました。

大学院では、疫学生物統計学の習得にかなりの時間を使いました。これらの習得は、理学療法士として働くだけでなく、実生活においてもかなり有益であったと感じています。


これからの、大学院の進学先に「公衆衛生学」「疫学」を選択肢の一つに入れてみてはどうでしょうか?
理学療法士の人には、特にオススメしたいです。


#私の学び直し

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