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【理学療法士】小学生の体力低下に切り込む | 60年後を見越した介入

近年、日本だけでなく、多くの国で小学生の体力低下が懸念されています。
私も、2人の小学生の子供がいるため、このような話題には敏感です。

私は、運動指導のプロである理学療法士かつ、大学院で公衆衛生学を専門にしてきました。

公衆衛生学ってどんな学問?は↓↓

私が働く「リハビリテーション」の現場は医療の川下です。
川下ってどういう意味よ? は↓↓


高齢期で、いざリハビリ頑張ろうにも内臓がボロボロも、元を正せば

中年期での生活習慣病も、さか上れば

青年期不活発な生活のさらに上流に

幼少期運動不足が隠れている場合があります。

現状を変えることはできませんが、せめて未来の人達には、我々が持っているリソースを十分に活用して、健康的であってもらいたいものです。

その面に対して、「理学療法士」に何ができるのかについて考えてみました。

‖  小学生の運動不足の背景とは?


ポータブルゲーム・スマホ・PCを中心としたスクリーン時間の増加

歩行機会の減少(自動車の使用)

都市部や住宅地では広い運動スペースが無い

学業への圧力(学校以外での長時間勉強)

親の働き方の変化(仕事に追われて子供と一緒に遊ぶ時間が限られる)

などが考えられます。

‖  小さい頃の習慣が、将来の健康に大きく関わる


幼少期に運動経験や運動量が乏しい人が、大人になってからも、その習慣を引きずります。

運動不足は生活習慣病のリスクを高める可能性がありますが、中年期以降に今まで運動習慣が無かった人が、バリバリ運動するというのは難しいものです。

‖  物心をついた時から備えておきたい健康習慣とは


食習慣
運動習慣
ストレスへの対処
睡眠習慣
社会的つながり
教育(ヘルスリテラシーを理解できる認知能力)

‖  小学生に、まず何から指導する?→ 運動からが最高!


私は理学療法士として、運動指導のプロの立場です。
先に挙げた健康習慣の中で、特に「運動」にあてて考察します。

個々に合わせた適切な運動を実施することで、身体をしっかり動かす習慣を作ります

すると、

  • よく食べられる

  • よく寝られる

  • ストレス解消、スッキリする

  • 友達としっかりコミュニケーションがとれる

  • 勉強では集中力が上がる

おまけに身体は育つ

思い切って運動から指導すると、良い波及効果があると考えています。

学校でも学力偏重ではなく、運動にも更に力を入れたカリキュラムを取り入れていただきたいものです。


‖  普段、病院内で高齢者ばかりを相手にしている理学療法士が小学生の体力低下(健康増進)どのようにアプローチできるか?


1、体力低下、身体の動かしにくさに対する個々の評価


理学療法士の武器は、運動能力低下に対する、機能の評価と、その個別性への対応です。
ただ、「鈍臭い」で片付けられている子供も、隠れた運動機能障害を持っている可能性があります。患者さんへの評価の目を応用できる可能性があります。

2、児童個々に合わせた運動プログラムの設計と指導


もう一歩身体能力を伸ばすために、更にどのような運動に取り組めば良いか指導できます。
いつも、高齢者ばかりを相手にしているセラピストであれば、子供が面白がる運動プログラムを考えておく必要がありますね。

3、家族との連携


家庭環境においても、親や家族と協力して、家庭でも簡単にできる運動や活動に対してアドバイスします。

4、学校との連携


学校環境においては、安全に運動が場所の確保(危険が無いかの確認)、運動と休憩のタイミングについての意見、カリキュラムに対する助言が考えられます。

5、スポーツイベントのサポート


運動の専門家とタイアップすることで、より良いスポーツイベントが創出される可能性があります。またイベントで最大限のパフォーマンスを獲得するためのトレーニングの援助、実際のイベント中の緊急時の救急処置や応急手当てに力を貸すことができます。

6、総合的なアプローチに対する助言


総合的アプローチとは、上記に挙げた、運動睡眠ストレスコーピングに対することです。少し視野を広げて、子供たちが健康的な生活習慣を身につけることができるように援助します。


‖  スクールトレーナーを知っていますか?


すでに、子供の体力向上を目指して、理学療法士を学校に派遣して適切な運動を指導する「認定スクールトレーナー制度」の設立を目指す動きが始まっていることが、ニュースでも報じられています。

各都道府県によって、進捗状況は様々なようですが(著者の県の進み具合は、スタートラインにも立てていない様子。行政との折衝も、イロイロ難しいようですね)

興味が湧いた方は、このような情報に対して、目を光らせておくと良いですね。

■  まとめ


我々の運動に対する専門知識をどのように小学生に応用するかについて書きました。

個々の小学生に対する、個別の運動の提案だけでなく、安全に運動ができる環境づくりについて助言ができると思います。学校・家族・医療施設の更なる連携が重要と考えます。

目の前の高齢患者さんだけでなく、その上流である小学生にも十分アプローチができ、地域全体が健康で活発になるよう心がけてくれるセラピストが増えてくれるといいですね。

今後活発化するスクールトレーナー制度の議論については、注目しておきましょう。


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