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理学療法士が糖尿病患者の運動療法の基礎について説明します

普段は、脳卒中の現場にいますが、予防のために、高血圧、糖尿病、高脂血症などの管理にも重点を、おいています。

今回は、その中でも糖尿病の運動療法について記事にしました。

以前は、運動の中でも「NEAT」に着目してみましょうという記事を書きました。運動療法の実際についてお伝えします。

運動療法は、糖尿病の治療法の一つとして確立されています。
全員が、必ず運動をしなければいけないのでしょうか?

糖尿病において運動療法が禁忌である場合とは?

運動療法は重要ですが、血糖値があまりにも高すぎる場合、合併症が悪くなる恐れがある時は、控えなければなりません。

以下、引用

1、血糖コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値が250mg/dlを超えるような場合や、中等度以上の尿ケトン体を認めるとき)

2、増殖網膜症

3、腎不全期であり、尿蛋白を多く認めるとき

4、高度の糖尿病性自律神経障害

5、壊疽のある時

6、虚血性心疾患や、その他の著しい心肺機能の障害がある時

7、骨、関節疾患がある時

8、急性期の感染症のある時

(日本糖尿病療養指導士認定機構編、糖尿病療養指導ガイドブック2019より引用。運動の適応は、個々によって個別性があるため、必ずかかりつけの医師の指示の下で行うようにしましょう)

どのような運動をしたら良いの?

糖尿病患者の運動とは、ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車などの軽く息が弾む程度の、有酸素運動と、筋肉を鍛えるレジスタンス運動をバランスよく取り入れることが重要です。

基本的には、実施後に爽快感があり、比較的安全に実施可能である有酸素運動をお勧めしています。

レジスタンス運動(ダンベル運動やマシーントレーニング、スクワットなど)は、時にバルサルバ効果(いきみ過ぎ)で、微小血管(特に網膜など)に悪影響があるとも言われています。過度に息こらえをしない程度の負荷量から開始しましょう。

糖尿病患者で特に困ることは、「動かなすぎ」の状態が続くことです。動けない原因が、筋力不足にある場合には、計画的にレジスタンストレーニングを実施して、継続した時間で有酸素運動が実施できるような基礎体力づくりを行うことも重要です。


運動療法の効果とは?

運動を行うと、筋肉で血液中の糖分を消費するために、血糖値が下がります。食後高血糖を予防するために、食後に運動を取り入れられると一番良いですね。

筋肉量が増えると、筋肉がより糖分をたくさん消費してくれますし、活動の量自体が増えると、高血糖状態の時間を減らす事ができます。

脂肪も糖尿病に対しては、悪さをします。脂肪細胞から産生されるアディポカインという生理活性物質は、インスリンの効きを悪くする(これをインスリン抵抗性という)そうです。運動によって、脂肪を少なくするアプローチも良さそうです。


これが一番難しい!

特に重要であるのは「継続すること」なので、続けやすいと思っていただくことが重要です。

運動を続けるコツは、後々も記事にしていきます。

まずは、医療者側が、運動の禁忌とメリットについてしっかり説明できると、より患者さんへのモチベーションにつながると思い、今日はこの記事にしました。
今、たちまち糖尿病と診断されていなくとも、境界型の方などには役立つと思います。


*運動を指導しても、十分に患者さんに響かないことはないですか?
指導の成功率を上げるSDHの知識について↓


まとめ

・糖尿病の治療で、運動療法は重要な位置付けになっている。

・運動療法は必須だが、運動が禁忌(やってはいけない)の人もいるため、かかりつけの医師の指示を仰ぐことが必要。

・運動療法を行うことで、短期では血糖値が下り、長期では筋肉が増え、脂肪が減ることで血糖値のコントロールに良い効果が得られる。


本日も、目を通していただきありがとうございました。
健康的な社会を作りたいという目標のもと、今まで学んできた事を今後も発信していきます!
引き続き、よろしくお願い致します。





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