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糖尿病患者の指導に活かすSDHの知識(総論)

こんにちは。
普段は、脳卒中の現場にいる理学療法士のジローです。仕事の一環で、脳卒中の再発予防や、地域の健康教室で糖尿病の予防に関する指導をすることがあります。

しかし、なぜか上手くいったような手応えがほとんど無かったんですよね。
どうすれば、対象者が予防的な行動をとってくれるようになっていくのか、10年近い悩みの種でした。
今回は、自分が評価の面で「これ見落としてたわ」と思う、「SDH」の事を記事にしました。

対象者個人だけでなく、環境を含めて評価をして「原因の原因」に着目しなければ、指導が上手くいかないと言う話です。

糖尿病患者の治療・指導は難しい

糖尿病の治療は、食事や運動など、薬以外の自己管理(セルフケア)に委ねる比重が多い疾患です。
自己管理の成否は、患者さんの努力だけでなく、心理社会的要因が少なからず影響を受けることが知られています。

糖尿病の治療で気をつけることは、すでによく知られています↓

どれもよく分かっていることなのですが、これが続かない、、、。
(自分も、運動できてねぇーーー)
しっかり指導しても結局、守れないことや継続できないために、患者さんに対して陰性感情を抱く医療者も多いと思います。「何でやってくれないの?」「これ以上悪くなってどうするの?」って。

なかなか、啓蒙活動だけで生活習慣が変わることはありません。


健康or不健康には、その背景となる環境がもたらす影響も大きい

ここで、一つ例を出します。この症例に、お薬がどの程度の効果をもたらすかを考えてみて下さい。↓(以下、引用)

抑うつの原因になる諸問題が解決するように介入しなければ、薬の種類を変えようが、服用する錠数を増やそうが、ひどい鬱状態から抜け出すことは難しそうです。ソーシャルワーカーの方が介入するなどに繋がれば良いのですが、、、。

そもそも、対象者が置かれた環境が不平等な状態であり、画一的に指導をしたところで、患者さんには届きにくいと言うことです。
一つ指導するところで、環境や社会背景を含めたアセスメント無しには、成功しなさそうです。

仰々しく言っていますが、これを初めて聞いた時、私は「意外にリハ職は、これ得意じゃね?」と思ったわけです。患者さんを捉える時には、常にICFの概念図が頭をよぎると思いますし。

次回以降は、それぞれの不平等について糖尿病と関連づけて説明をし、これを解決するための方法について幾らかの案を提示しようと思います。


まとめ

・生活習慣病(糖尿病)の治療では、長期間にわたる生活習慣の改善が必要であり、指導が難しい

・自己管理の成否は、患者さんの努力だけでなく、心理社会的要因が少なからず影響を受ける

・環境を含めて評価をして「原因の原因」に着目しなければ、指導が上手くいかない

・個人が置かれた環境自体が、すでに不平等であるため、背景を意識した個別性のある指導をしなければ成功しにくいと思われる。健康に影響する社会的決定要因をSDH: Social Determinants of Healthと言う



今回も、記事を読んでいただきありがとうございました。
自分も、まだ若かったからか、患者さんの指導(食事に限らず、運動も含めて)、教科書的な内容を伝える事で、指導できていた気になっていたように思います。

きっと、患者さんや、健康教室に来られていた方には「そんな内容はすでに分かっている」と思われていたでしょうね。中堅以降の方は何となく理解していただけると思いますが、まだ若い方中心に、何かお役に立てればと思い記事にしました。

引き続き、よろしくお願い致します。


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