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【書評】この部屋から東京タワーは永遠に見えない

このnoteは読んだ本を「できるだけ短く」「できるだけ簡潔に」書評しています。

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「麻布競馬場」という方は知っていますか? Twitterのツリー形式で短編を公開し、14万いいねを記録するほど大バズりしたものを1つの小説にしたものになります!

自分自身、東京に上京していて、ここの小説に出てきそうな人におそらく会ったことがあるだろうなと思えるほど身近すぎて読んでいて少し辛かったですw

精神的に病んでしまって実家に帰った人や夢を叶えられなくて落ち込んでいる人、片思いが実らなかった人など、身近な地獄の結末を表現している素晴らしい小説でした!

誰も死なないし、大きな社会問題も出ない。ただただ、個人の問題だけ。それがリアルすぎる素晴らしい小説でした!

それでは見どころをどうぞ!

読んだ本📕

あらすじ📗

東京に来なかったほうが幸せだった?
Twitterで凄まじい反響を呼んだ、虚無と諦念のショートストーリー集。「3年4組のみんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。大型チェーン店と閉塞感のほかに何もない国道沿いのこの街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話をします。」(「3年4組のみんなへ」より)「『30までお互い独身だったら結婚しよw』。三田のさくら水産での何てことのない飲み会で彼が言ったその言葉は、勢いで入れたタトゥーみたいに、恥ずかしいことに今でも私の心にへばりついています。今日は、彼と、彼の奥さんと、二人の3歳の娘の新居である流山おおたかの森に向かっています。」(「30まで独身だったら結婚しよ」より)「私、カッパ見たことあるんですよ。それも二回。本当ですよ。桃を持って橋を渡ると出るんです。地元で一回、あと麻布十番で。本当ですよ。川面から、顔をニュッと目のところまで突き出して、その目で、東京にしがみつくために嘘をつき、人を騙す私を、何も言わず、でも責めるようにじっと見るんですよ。」(「カッパを見たことがあるんです」より)14万イイネに達したツイートの改題「3年4組のみんなへ」をはじめ、書き下ろしを含む20の「Twitter文学」を収録。【推薦コメント】面白すぎて嫉妬した。俺には絶対に書けない。――新庄耕さん(作家,『狭小邸宅』『地面師たち』)

おもしろいポイントを3つ📚


① 地方から上京してきた人々の葛
② 事件は何も起こらない。けど切ない物語
③ 東京で他人と自分の比較して葛藤する心情

おもしろいポイント1️⃣ 地方から上京してきた人々の葛藤

この小説は短編集で、全てに共通しているのが「東京」です。

人それぞれさまざまな思いを持って上京してきた人々や、逆に憧れの人々が東京でのキラキラの生活をInstagramを通してみている人たちなどが登場します。

その際の人間の心情や、世の中の常識に対して「親のエゴなのでは?」のような名言も飛び出してきます。

お母さんの思う「幸せ」はきっと、私の結婚と、その末に生まれる孫の顔なのだと思った

他には今の流行りをいい感じに皮肉ったりしていて読んでいて痛快なところもありました。

教養とか日本文化とか言って『AKIRA』を読んで、もう二度と読み返さない連中だ

考えされれる文章は他にもたくさん登場し、そこがこの小説を楽しめるポイントだと思います!

おもしろいポイント2️⃣ 事件は何も起こらない。けど切ない物語

この小説は、他の小説によくある「殺人事件」や「人の死」は登場しませんし、陰湿ないじめなどの社会問題にもあまりフォーカスしていません。

それでもここまで「切ない」を表現できる小説は他にあまりないでしょう。そこがこの小説の第2のおもしろポイントだと思いました!

個人的に一番切なかったのはこんな文章でした

卒業式の前の日、金もないのに背伸びして予約した恵比寿のカウンタービストロで、おれはお前に結婚しようって言ったな。今すぐでなくてもいい。お前と高円寺で、たとえ貧乏でも、幸せに暮らしたいって、安い指輪をパカリと見せてお前にそんなことを言ったな。 お前のドン引きしたあの目が忘れられないよ。ずっと口に手を当てていたよな。もうその手の向こうから言葉が出ることはないと、すぐ分かったよ。おれは恵比寿からひとり帰ったよ。惨めだったよ。あの間もお前の iPhone には同期たちからLINEがいっぱい来てた

この数行だけで心がキュッとなります、、

おもしろいポイント3️⃣ 地方から上京してきた人々の葛藤

この小説では、「地方からできた人と東京出身の人物の比較」や「なんでもない普通の家庭で育った人物とお金持ちに育てられた人物」、「自分と絶対届かない相手との比較」など、さまざまな比較が登場します。

自分から見た「羨ましい!」と感じる心情をすごくうまく表現していて、それも読んでいて辛いと感じるポイントです。。。。

何もかも違う。生まれも、育ちも、出会った人も、与えられた機会も。確かに彼女は努力したかもしれない。でもそれだけじゃない

こんなような元々持っている環境に対する不満をこんなに素晴らしく表現できるんだと思いました、、、

感想📖

この小説を読んでいて、ずっと辛かったです。。

自分もこの小説に出てくるような社会人になると同時に東京に出てきました。同期がどんどん精神を病んでしまって退職していったり、大学の友達も精神が病んで実家に戻ってしまったのを目の前で見ていたため、この小説に感情移入してしまい、常に辛かったです。。。

幸い自分はまだ関東の会社で働けてしますが、この先どうなるかわからない。そんなことを思った小説でした、、

自分と同じ境遇の方は閲覧注意だと思いますが、とてもいい小説だと思います!

最後に

ここまで読んでくださってありがとうございました!

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