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【書評note第33号】残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~-残業を科学する画期的な書-

ここ数年におけるバズワードになっている「働き方改革」。
もうすぐ平成も終わり、元号が刷新されるのであるが、巷では「失われた30年」という言葉も聞くようになり、バブル崩壊以降、悪い意味で何も変わらなかった時代が平成とも言える。

そんな中、バブル時代から変わっていないもののひとつが「残業」である。
Japan as No.1だったころは、いわゆる労働集約的な産業が勃興していて、リソースを投下した分のリターンが見込めた、今思えば非常に牧歌的な時代だったが、それも今ではすっかり影を潜め、効率性が求められる働き方にシフトしている。そんな中で未だに残っているのが残業という文化で、本書は残業を様々な角度から論じている書になる。
おそらく、残業をここまでガチで研究調査し、まとめたものは他にはない。

まず、個人的に驚いたことがある。その昔、残業にはメリットが大きかった、ということらしい。
先程の話と重複するが、労働というリソースをつぎこむ、つまり残業すればするほど、リターンが見込めたため、今のように仕方なしにではなく、労働者が自ら進んで遅くまで残業していたらしい。
今では残業したとしても、雀の涙程度の残業代が振り込まれるだけなのだが、それでも残業が消える気配はない。

残業が蔓延る理由についても記載があり、どうやら残業は「感染」したり「遺伝」したりするそうだ。
おそらくサラリーマンの多くが、「仕事が終わったんだけどなんか帰りづらい」みたいな経験をしたことがある人は多いと思うが、まさにこれが残業が「感染」「遺伝」している一つの例である。

職場によって微妙に違うとは思うが、

出世する人は多くの場合労働時間が長め

早く帰ると仕事できないやつに思われそう

仕事が終わってもとりあえず残る

こういうケースは往々にしてあるみたいだ。
上記のフローチャートは、残業が職場に蔓延しており、従業員が「感染」してしまっている。そして、新入社員にもいずれ「遺伝」する。
「なんとなく帰りづらい」という現象を明確に言語化したことにこの本の価値があると思っていて、本書の第3講および第4講は必読だと思う。

「どうやって残業しない文化を作るか」については、政府および会社側の制度などの仕組み化が進んでいけば少しはマシになると思う。
しかしながら、杓子定規にノー残業デーなんかを作って無理やり休ませる会社が増えても、いまのところ残業のブラックボックス化を招くだけになっているし、国に至ってはプレミアムフライデー(笑)というもはやセンスの欠片もないルール作りに終始しているため、やはりそういうところにはあまり期待せず、個々人で積極的に残業を避ける努力が必須である。
そこに関して小手先のテクニックはなくて、

「空気読まずにさっさと帰る」

この一択である。笑
粛々と自分の仕事をし、終わったら帰る。
これしかない。
定時に帰ることは悪いことではないし、同僚に影で何か言われていても堂々としていることだ。
(まあ、これが出来ないからみんな困っているのはわかりますが・・)

効率的に仕事して結果を出せば誰も文句は言わなくなるし、逆に言えば、きちんと働いているのに文句を言われるのであれば、おそらくそういう会社は早めに見切りをつけたほうが良い。

残業学、実際に大学の授業であると非常に面白そうだと思います。
(実際にはないみたい)

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