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介入と放置のバランス

先日、鳥取で馬を使った教育プログラムを展開しているハーモニーカレッジの大堀さんを訪ねてきた。

ハーモニーカレッジでは、未就学児向けの幼児保育プログラムの他、大人向けの乗馬教室や、季節毎に週末を使った体験プログラムを提供している。

我が家も子供をここに通わせようと考えていた時期もあったのだが、家から車で送迎する必要があり、今は市内の幼稚園に通わせながら、イベントのあるタイミングで参加させてもらっている。

それにしても何故に”馬”なのか。

馬は長い時間をかけて、人との付き合い方を覚えるようになった。

人も馬の扱いについて学んできた。

それでも、どうしても人間の思う通りに馬は動いてくれない時がある。

大堀さんは「それが大事なんです。」と言う。

人と人とのコミュニケーションや関係性においても、時として思い通りにいかないということはよくある。その思い通りにならない瞬間をどう乗り越えていくことができるのか。

ハーモニーカレッジでは、馬を介して、そうした「どうにもならない時」の乗り越え方を、経験を通して学ぶことができる。

大堀さんが言うには、以前、子供達が馬に乗るに際して、「そこはこうして、ああして」といった指示を細かく出していた時があったそうだ。でも、何か強い違和感を感じたのだという。

私達が子供達と接する時、あるいは上司として部下に接する時も、往々にしてこのようなことがある。気になってしまうと、ついつい手を出し口を出し、してしまいたくなるのだ。

でも、そうした介入が子供達の、あるいは部下達の「自ら考える力」を奪ってしまっている可能性がある。

「自ら課題を見つけ、解決することができる力を身に付ける」

といったことは、今でこそ国の方でも問題意識として語られるようになってきたが、日本では、この力がとても不足していると言われている。

大堀さんのお話を聞きながら、「介入」と「放置」のバランスについて考えた。

人を育てる、あるいは人の能力を引き出すにあたっては、完全に放置でも、介入し過ぎても問題がある。

適度な介入を行った上で、後は見守る。

最初から全部を見せない、教えない。

といったことが大事なのかもしれない。

以前に合気道を習っていたことがあって、そこでも似たようなことを教わった。

上手く真似ることができる人は上達が早い。

上手に真似ることができるというのは、それだけよく観察をしているからだ。

大堀さんも、今では大人が子供に全てを一方的に教え込むのではなく、子供同士で学び合えるような環境を作っていくようにしているそうだ。

お互いに教え合いながら、学びを深めていく。そうした世界が学校でも職場でも広まっていけばいいなと思う。

馬と戯れる子供達を見ながらそんなことを考えた。


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