見出し画像

愛してるという呪い

親が子供に向き合う姿勢がどんなに酷いものだったとしても、周りにいる大人は

「それでもあなたのこと愛してるんだよ」

と、平気な顔で言う。

「これも愛情の裏返し」「ほんとうはすごく心配しているんだよ」

そんな陳腐な言葉で私を呪わないでほしい。


親の機嫌が悪い時はよく殴られた。
自分のやりたいことはいつも全否定だった。
お前にそんなことできるわけない、そんなことしても意味ないと言われ続けて、何かを頑張っても、達成しても褒めてもらえることなんてない。
それどころか「まぐれだ、調子に乗るな」と言われる。
私が悩んだり困ったときは全て私のせいにして、もっと私が辛くなるようなことを平然と言った。
辛いとこぼした時、「じゃあ早く死ね」と吐き捨てられた。

自分の気持ちに寄り添ってくれたことなんて、一度もなかった。
暴言を吐かれ、殴られ蹴られ、私の心はどんどんすり減った。

それでも最後に
「心配してるから、これは愛情表現の一つだから」
と実の親が言うだけで、世間はなんの疑いもなくそれを信じる。

親子間でどんなやり取りが行われてきたか、お互いがどのように向き合ったのか、そんなことを気にする第三者なんて、結局誰一人いない。

世間はいつも保護者の味方。子供の発言なんて簡単に歪められてしまう。
親が子供にどんなことをしたとしても、側から見れば「変わった愛の形」で片付けられてしまうのだ。

親に何度も言われた。「こんなに心配してくれる人は親しかいない」

本当に?

今思えば、私の明らかにおかしい様子を気にかけてくれる人は多少なりともいたと思う。

表情が暗くなり、笑わなくなった。夜も睡眠薬がないと眠れなくなったし、ご飯もろくに食べられなくなって体重も37キロまで落ちた。毎晩毎晩、あと数時間のうちに来る朝が怖い。どうして泣いているのかも忘れるほどに涙を流して、気づいたら朝になっている。
そうして毎日、青白い顔に腫れぼったい目で学校に行く。
明らかに狂っていく私を見て、心配の言葉をかけてくれる人はいたんだと思う。

私が心を開こうとしなかっただけで。

怖かった。自分の悩みをちっぽけだと笑われることが。
怖かった。以前は耳を傾けてくれていた人が、自分から離れていくことが。
怖かった。このまま辛い日々に耐えるだけの人生が無意味に続いていくことが。

だから私は誰にも話さないで、一人で抱え込むことを選んだ。
勝手に自分のことを分かった気になられるくらいなら、理解なんてしてくれないくていい。
薄っぺらい同情の言葉なんていらないから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?