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mother


今日は母の誕生日でした。今までも、このエッセイに度々登場してきた母ですが、めでたいことに還暦を迎えました。とは言っても、中身は相変わらずのハタチであり、芸術家であり、霊能者とも言えますし、お笑い芸人とも言えます。大魔境とも言えるかと…。そんな彼女は「母親」として、アウトではないが、セーフでもないんですね。世の中の「母親像」とは何かが違う。明らかに、何かが違うのです。その「何か」について、今までは考えもしなかったのですが、今夜はせっかくのバースデーだったので深掘りしてみました。とは言っても、そんな他人の母親の話なんて、誰かが今日見た夢のハナシの次にどうでもいいでしょうから。世の中にはこんな人間がいるのかって。人生という酒の肴に。本日は、ダラダラとしたリラックスの文体から、気楽さを得てほしいです。

1.自尊心

まず、彼女の見た目を言えば、ふりふりフリルちゃん。身体の一部のように、フリルを纏い暮らしています。それはもう、ファンシーに追い風。私がハタチの頃履いていたラブリースカートを先日お古として与えたんですけど、60歳にして履きこなすところはもう、何かが圧倒的に強い訳です。そう。何が強いって、これはきっと「自尊心」なんですね。
ただ、そんなファンシーな彼女もある時、薬局のレジ店員に「シニアカードお持ちですか?」と言われたらしく。彼女は優しくファンシーなままかと思いきや、かなり怒ったそうです。いや、怒り狂った。そして、かなり落胆したとも話していたんですね。ちょっと寂しげでした。まぁそんな私との世間話の最後は、小声かつ、
しっかりとしたトーンで「あの店、燃やしてやろうかな」って言っていましたね。目が笑ってませんでしたね。放火魔ファンシー?

2.ユーモア

また、今日のバースデーにあたって、私の父が母に聞いたのです。「誕生日プレゼントは、何がほしいんだ?」と。
すると、母はうーん。と悩んだ挙句、
ケラケラと笑いながら一言。
「旦那を、殺す薬♡」と。
それに父は大爆笑。そういった、ブラックジョークが我が家的には定番の光景なんですね。
まぁ、一見良くないような会話ですけど、よくある「熟年離婚」っていうのは大概、互いの我慢の限界からなるものであって。こんな、あっぴろげのユーモアっていうのはきっと、大盤振る舞いの愛があってこそなのだろうと。(そう思いたいですね)そしてそんな会話の最後。思い出したかのように母が一言。
「薬の名前は、イチコロ♡」
密殺ファンシー?

3.寛大


そんな独特なユーモアを持つ彼女は、メンタルという次元ではなく、何かが強い。その何かはもう、「ファンタジー」の時もあるんです。つまり、幽霊とかもイケる訳です。今から、ちょっと怖い話をしますけど。ある時、夕方、母と父とテレビでニュースを見ていた時のことです。ちょっと怖い、殺害事件のニュース流れたんですね。画面には事件の起きたアパートが映しだされたんですけど、その瞬間、
「うわ!すごいリアルだね、人を映す必要があるのかいコレは」と訳のわからないことを言い出したのが母だったんです。一瞬にして「?」の父。ですが、全てを察した瞬間、場が凍りつきました。そうです。彼女にだけ、何らかの人間がテレビに映っていて。それは死んじゃった人でしょうね。私たちには見えない訳です。待って待って。ほんと!そういうの、ほんとやめて!なんて。そんな私のビビリも通じず、実際、母がお化けを見ちゃうのはこの件だけじゃないのですね。度々あるわけで、その結果、私の実家にはかなりの勢いでオバケが出るんです。「もう、勘弁してくれ」って言わないのが彼女であって。そんなのもうきっと、彼女がオバケに対して寛大過ぎるからなんじゃないかって。逆に納得の私。逆って何?寛大の度がすぎるわよ。霊能ファンシー?



というわけで、彼女のエピソードはまだまだ240個くらいはあるわけで、もう終わらない感じなのでまたいつか続編を描きます。

そんなファンシーちゃんへ。今年も「おめでとうメール」を1番に送ったのは、私。ではなく、私の旦那さんだったんですけど。(毎年そう)私から母に送ったメッセージには、こう書きました。

「温かさと、愛と、安心と、面白みと、応援をいつもありがとう。」と。ギュッと書いて送りました。そうしたら母からの返信には、

「あなたがしてくれた1番の親孝行は
出会い。あなたの旦那さんとの出会い、孫との出会いは、神様からのプレゼントだったわ。母が生きてる限り、あなたから目を離さず いつでも味方でいるからね😃」と。

その言葉には、なんか、命を感じたのです。
命の儚さと、美しさ。それに他にももっと。
いつも取り出せるところにおいておきたいし。でも、無くしたら困るから使わず、大事にしまっておきたい。そんな感じでした。きっと「命」って、一番大切なものだったんだなと。
命あることが、どんなに幸せか。そんなことを教えてくれた母親。ファンシーちゃんに、私はこれからもついていきます。
ジーンとくる思いを胸に。胸の奥に。


Happy birthday my Mother





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