心のスタミナ
「心のスタミナ、あとどれくらい残ってる?」
あの時、そう聞いてくれた友人がいた。それは気遣いにも良く似た彼女のユーモアであり、本当の優しさだった。そこで私は有難いと思いつつ、ハッとしたのだった。
私の心にはスタミナがあるのか。って。
私は常に、その心のスタミナは、妙に減りが早いことで悩んでいたのだ。なぜかすぐ疲れる。それで私はよく、他人のことを面倒くさいと思ったり、人付き合いが苦しくなったり、世界に出向くのを避けてきたのだった。
そもそも私はその、「心のスタミナ」という存在を把握していなかったからだろう。
自分という存在をむやみに遣って。ありとあらゆる無駄遣いをしては、スタミナをゼロにして帰宅して。起き上がれないほど疲れ切って自分の楽しいことができずに眠り、なんだか勝手にガッカリしていたのだ。ひどい時にはそんな自分のことを情けないと思ったり、残念な奴だと思ったり、こういうところが良くないんだとか、「妙に付き合いが悪い」と誤解されて悲しんだりもして。スタミナ不足を、自分や、他人にせいにして苛々してきたのだ。
でも実は、何も妙なことはなくて。
心のスタミナの減りが早い事実には
私らしい理由があることに気づいたのだった。
それは、どんな場面でも最善を尽くそうとして、この世界に落ちている者、すべてを大事にして、全員を喜ばせようとして、とりあえず全員から良い評価を受けたいとも思い、なにより自分という者を後回しにするからだった。こころを使う場面を選ばないから、スタミナはみるみる減ってしまっていたのだろう。自業自得。
そう言うことに気がついて、私はある時から自分を上手く使うように切り替えた。
大切なことから順番に使おうと切り替えたんだ。
両親や、家族や、友人との約束は嬉しい。お仕事も、育児も楽しい。季節の行事も、イベントも、生徒さんとのやりとりも、DMの返信も、コメントの返信も、心を込めたい。そして何よりも、自分が一番好き。だから
「私のことを大切にしてくれる人」から順番に大切にすると決めた。自分勝手。
それでも、時間が少なくて順番がなかなか回らないものもあるけど。
そういうことを知って、私のことをつまらない奴と言う人は離れていくし。甘えてるとか、くだらないという人はそれが正解だろう。こんなことを知ってなお、「心のスタミナ、あとどれくらい残ってる?」と聞いてくれた人には、心からありがとうを言いたい。愛を返したい。いつまでも仲良くしたい。私の命を沢山たくさん使いに行く。時間も、心も捧げてわかり合いたい。だから今日もここで、たくさんのスタミナを使いたいと思うんだ。いつも有難うございます。
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