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古くなる「選択」



「選択の基準」は意外と更新されていない。

それは日常のハナシ。例えば私の好みで言うと、二十歳の頃からアースカラー一択だ。アースカラーっていうのはベージュや、カーキや、ブラウンのような地味な色。いや、地球の大地や、植物みたいなステキな色のことだ。非常に丁度良いのである。配色センスが疎い私でも扱いやすく、それなりにアンニュイな感じも出る。更には安価でもチープさが少なく、どんな友達と会っても外すことがない。30代になってからも、そりゃあもう親友のように、バッグも、ポーチも、サンダルも、ブーツも、スニーカーも、洋服も、ボトムスも、カーテンやクッションカバーに至るまで。「色を選ぶ」ときたら、アースカラー以外は目に入らなかったのだ。
だが、今年の誕生日、ことは起きた。
母と祖母から「オレンジ色」のカーディガンを貰ったのだ。2人の言い分はこう。「あなたはいつも、土みたいな服ばかり。自衛隊のようよ。ヨガの先生なのに地味過ぎるから。」なんて。自分でも、そう思っていたからやや図星。それに自分では絶対に選ばない「オレンジ」を目の前にして、その発色の良さにたじろいだ私だが「どうかな〜」なんて試しに着てみた。そこで鏡に映る自分は目新しいに違いないのだが、なんともバッチリだったのだ。その日の服装に「差し色」となって収まりは良く、コーディネートは最高の仕上がりに。やや衝撃。その上、新しい自分の魅力に出会ったようで「へぇ〜意外といけるやん」とか思って。オレンジも大好きになっちゃった。ついでに自分のことも好きになっちゃった。
それから私は事あるごとに、ネイルをオレンジにしたり、オレンジヘアーをInstagramで検索したりして、勿論あのオレンジのカーディガンを羽織って実家にも度々、寄った。するとある日、母にこう言われたんだ。

「お前、のび太くんみたいだな。いつもそのカーディガン着てるじゃん。また買ってあげるね。」

思わず大笑いした。そして知ったんだ。お気に入りだからって毎回着ていたら恥ずかしいのが「オレンジ」!アースカラーよりも、そういうところがバレちゃうオシャレカラーなんだなって。改めて自分のオシャレ未熟度と共にオレンジの凄みを学んだ。まぁ次は、緑とかピンクとか、バッグとかインナーとか。なんとか、いけそうなところから試してみようかな。なんつって。これは余談でした、話を戻すよ。

つまりはこうやって、「選択」にはリニューアルが必要なんだ。年齢とともに更新。アップデートとも言おうか。洋服の好みだけじゃない。毎日使っているフライパン、下着のサイズ、メイク道具。車で流す音楽、通勤時間のコーヒー、職場での過ごし方、寝具や休日の過ごし方まで。なんでもいい。

新たな自分に出会うことはいつも、豊かだ。時に、私の「のび太くん事件」みたいに大失敗する日もあるだろうけど。それはそれだ。嫌なら元に戻せばいいし、諦めずにもっと深めてみるのも良いだろう。あなたの自由だ。人生はいつも自分の自由。どんどん自分、好きになって。どんどん自分、楽しんでいこう。

古くなってる「選択」あなたには無い?

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