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東京の夜【1990年代後半】2

俺とカズ君、ジュンコとマユミ、そしておっさん二人

おっさん二人は自己紹介していたが、俺たちはほぼ聴いていなかった。

でも、俺は基本的に「みんなで仲良く」派なので、話を聞く。

頭数なんて合ってなくても、最後は狙い通りの女をものにしてこそ、恋愛に発展するのだと思っていたから。


そう

このころの俺は恋愛したかった。

俺の考えとは違い、確実にことを進めたい派のカズ君はおっさん二人を煙たがっていた。

でも、あからさまに表現することはなくニコニコしながら話を合わせている。


そんな曖昧な状況が続き

飲み屋での2時間はあっという間に過ぎ、追加の金も無いので6人でカラオケに行くことになった。

おっさん二人はノリノリで

「若い子たちとカラオケ行くなんて久しぶりだな」

と、はしゃいでいる。


俺とカズ君はカラオケに向かう途中で小声で話し合う

「後で撒こう」

意見はすぐに一致

ここが俺たちの強み。

考えてることが一緒なのだ。


女の子に対する接し方とか態度、ヤリたいだけなのか恋愛したいのかは全然別なのだが

敵に対する考え方、戦略がずれたことがない。

短い言葉で意思疎通できるコンビは強いということ

そういう意味では、その辺の双子にも負けない自信があった。



カラオケに入る

当時「歌広場」なるカラオケが大流行

なぜなら、飲み放題がとにかく安い。1時間680円

その代わりすごい酒が出てくる。

鼻にツンツンくる刺激臭たっぷりのウイスキーとかサワーはもはや石鹸?っていうにおいがする。

でも、俺たちにとって酒っていうアイテムはサイテーの質でよかった。ただのアイテムだから

そして、当時の「歌広場」通称ウタヒロは若い男女が入り乱れていた。

今では信じられないだろうが、各部屋の行き来は当たり前で、トイレはもはやカオス状態

ゲロはいてるやつとかヤッテルやつが当たり前

そんなウタヒロで、おっさんの一人が愚痴を言いだした。

「俺音楽の仕事やってるんだけどね・・・・で・・・・で、俺の音楽ってそういうことじゃないのよ・・・うんたら、かんたら」

また、一人のおっさんがよくわからない古いロックバンドの歌を熱唱している。


カズ君はいつの間にかマユミの隣で何やら話し込んでいる

すかさず俺もジュンコに耳打ちした。


意見は一致した

4人で新小岩のマユミの家に行こう。

そこで改めて飲みなおそう。

そういう話になった。

おっさん二人はもう出来上がっている。

いい感じの仕上がりだ。ここまで付き合っただけでも偉いと思ってほしい。


カラオケの会計になった。

おっさんが言い出した

「女の子はお金はいいけどお前らは俺たちと割り勘な」

言い方がむかついたし、金も1000円しかなかった。

ぶん殴って部屋に置き去りにしてやろうかと思ったが、ここは下手に出て


「すみません。僕たち二人で1000円しかありません」


と泣くような声で言うと。女の子が見ている手前か

「じょうがねぇな」

といって、結局おっさん二人が全額払った。

そしてカラオケを出た



この後どうする?

という雰囲気になったがすでに時間は11時

俺たちは新宿で飲み明かすつもりはない。

ジュンコとマユミもうそうだ。

この時点で勝負はついている。

仕上がったかに見えたおっさん二人がエロパワーで生き返ってきた。

金を出して終わりということにも納得がいかなかったのか、

「もう一軒居酒屋行こう!」

としつこく誘ってきたのだ。


つづく

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