映画『エゴイスト』を生んだプロデューサーに聞いた! 13年の情熱と意外な次回作?
【ROBOTこぼれ話】/ み
今年2月公開以来ロングランヒットし、現在U-NEXTで独占配信中の映画『エゴイスト』。
男性同士の恋愛映画かなと思って観始めるも、やがて、家族とは?愛とは?
そしてタイトル、『エゴイスト』の意味とは???
と、次々考えさせられ、頭と心を静かに長く揺さぶられる映画だ。
ROBOT制作の映画といえば、『踊る大捜査線』『海猿』『ALWAYS 三丁目の夕日』『ちはやふる』などなど、ド直球な痛快エンタメ作品の多いなか、題材もストーリーもトンマナもかなり異色の作品と言える。
なんでROBOTでこの映画を作ったんだろう!?
社員としてシンプルに疑問が湧いたので、本作の企画・プロデューサーの明石直弓に聞いてみました!
ーそもそもこの映画の生まれたきっかけは・・・?
元々、原作者(高山真さん)とは彼の主催するトークイベントで接点があった明石。ある時、ご本人から「今、小説を書いてるのよ」というお話を耳にする。それは彼の半自伝的なもの。構想を聞いた瞬間、「映画化したい!」と直談判!
それが、なんと13年前の出来事である。
そこから、即、映画化に向けた企画書を書くも、なかなかスムーズに事は運ばない。製作委員会、配給、キャストetc. 制作に必要なピースが埋まるまで、相当の歳月を費やすことに・・・
私だったら完全に諦めて次のテーマ探すだろうな〜と思うところだが、彼女は諦めなかった。
「まだまだLGBTQへの理解が低い日本において、メジャーな俳優が出演することで関心を高めてもらい、より多くの人にご覧いただける映画に仕上げたい」
という信念を持ってキャストを探し続けた。その情熱たるやっ!
ついにその情熱が実を結び、主人公に鈴木亮平さん、その恋人役に宮沢氷魚さんというメイン2人のキャスティングに成功!
映画化における最重要ピースが埋まり、今度こそ本当に制作が決定!
コロナ禍で色々な制限がある中、慎重に丁寧に撮影とプロモーションを終え、公開へこぎつけたのである。
公開された映画を観て、私は冒頭でも書いた、ある種の「難しさ」に衝撃を受けた。
「とにかく端的にわかりやすく!」が信条のCM畑でモノづくりしてきた私からすると、抑制された音楽/映像表現、解釈を観客に委ねるラストなど、かなりIQの高い仕上がりに不安を覚えてしまうのだが、プロデューサーとして怖くなかっただろうか?
「『観客の“映画を観るチカラ”を信じる』という松永監督の言葉を、私は信じた。」
彼女の言葉に迷いがなくて、胸を突かれた。
モノづくりって、作り手の「こういうの作りたい!」って情熱と「観た人の心を動かしたい!」という信念があれば、受け取る側の感受性をもっと信じてぶつけていいんだ!
と、自戒&希望をもらえた気がする。
明石の元には、LGBTQ当事者含め多くの人から反響が寄せられているそうで、数十回以上観ている人も多数出現とのこと!
一人の強い想いが、さざ波のように周りの人を動かし、やがて大きなうねりになって多くの人の心に響いていくのだな〜。
「エゴイスト」。その言葉の印象が、映画を観る前と後で変わることを期待して、タイトルを2回出しているのだという。
13年前に宣言してから、信念と情熱を持ち続け、「作りたい!」の想いを妥協せず貫き通した彼女の姿勢に、そのタイトルが重なった。
次に作りたい映画について尋ねると、サロゲートマザーというテーマに関心がある、とのこと。LGBTQに続き、「誰もが、自分の人生を自分の望むように生きられる世の中になるように」との想いが根底にある彼女らしいテーマだと思う。
「あとは、犬!」
とニッコリ。犬!? え、犬!? 意外すぎ!
「だって、犬ってかわいいんだもん!」
・・・ピュアすぎて強い!
彼女の無垢な愛を昇華した犬映画、めちゃくちゃ期待して待ちましょう!
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