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2020年春。「未来の花屋」はじまる

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こんばんは。rin branding office 安井です。

2019年からブランディングのお手伝いをしているBOTANIC・田中彰さんの歩みと、思いを紐解いていきます。
最初のお店ex. flower shop & laboratoryが生まれ、BOTANICの名で法人化して6年。「生きること」に向き合って大人になった田中さんは、あるとき花に出会います。そして誰よりも花を愛し、愛する花のために業界をアップデートすると決めました。

2020年春。田中さんは花と、とりまくすべての人を幸せにするために、ある1つのカタチを作り出します。

フラワーショップ「ex. flower shop & laboratory」、花のサブスクリプションサービス「霽れと褻(ハレトケ)」、農園からお客さんへお花を直送する「Lifft(リフト)」。
BOTANICの3つの柱から、まさに今生まれようとしている「未来の花屋」。今回は、そこに至るまでのお話です。

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「このお店は、最高のロケーション。花にとって」

「ここは3F、日の光がたくさん入る。都内で、花にとってこんなにロケーションの良いお店はないと思います」 ーー花々を愛おしそうに見つめる田中さん。2020年2月オープンのフラワーショップ・ex flower shop & laboratoryの新店舗は、中目黒・駒沢通り沿い、1Fにブルーボトルコーヒーの入るビルにあります。階段を登るごと、幸せな香りに満たされながら。お花を買いに来るという体験そのものが、もっと楽しくなりそうです。

花と緑に囲まれ、1年で360日は向き合い続ける、そんな生活を送るうち、「花への愛はさらに高まる一方」。花の状態を感じ取り、花の表情にふれあい、花の望む形・あるべき姿を想像する・・・つまり、花と向き合うほど、「花にとっての幸せ」を考えている。結果、【お店で切り花を販売する】というフラワーショップのあり方そのものも、アップデートされていきます。

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「農場に咲く花は、みずみずしくて、美しいから」

だからこそ、田中さんは忙しい合間を縫って、全国の花農家さんの元に出かけていきます。花の生まれる場所でも、やはりまっすぐなのが田中さん。今まで100近くの農家さんと出会ってきたそうです。

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ここで、少し田中さんのコメントを引用します。

毎月農家さんと意見を交わしますが、みなさんが口を揃えて、「何の品種を作って良いか分からないから教えて!」と相談されます。また、お客さまの声が直接届かないため、飾る視点からは決して品質、品種が良いとは言い難い花を、良いものと信じて作り続けている農家さんにも沢山出逢いました。その都度、歯痒い気持ちになります。

花き市場からフラワーショップに届く過程で、当然鮮度は落ちていく。お客様に行き渡るまでの時間が長いほど、当然その姿は変わっていく。さらには、行き渡らずに命を終えるお花もあって・・・。

農家さんを思うと、そして農園でのみずみずしい花の姿を思うと、野のままに、届けたい。そこで、2019年、「Farm to Vase」をコンセプトにした、農家さんからお客様への直送サービス「Lifft」が生まれました。

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「花の命を、見据えてきたからこそ」

科学的に、花の命を長く延ばすことはできる。今のところ、お客様はやはりお店で花を買いたいと思っている。でもそれは花にとって本当に幸せなのか? 

親戚の臨床医の姿を見て育ち、目の前の1人を幸せにするために懸命になるのが、田中さん。研究医は、科学でアップデートをしていく。でも、延命だけが幸せな解決方法ではないのでは・・・?

田中さんのnote には、2019年のまとめとして、自分が見てきた花をとりまく課題が記されています。

・在庫を抱えるのが花屋さん、でも廃棄ロスは平均で50%以上にもなる
・1本1本丁寧にケアするけれど、ロスがあるので利益にならない
・農園からの中間流通で、みずみずしさが失われ、傷がついてしまう
・品種や品質、鮮度など「1輪1輪の価値」が、花屋からお客様に伝えにくい

一方で、人材教育の観点からは、ショップを持つことが大事でもあるとも言います。

花と花屋、お客様やBOTANICスタッフーー。田中さんと話していると、「花のために」「農家さんのために」「スタッフのために」と、「ーーのために」という言葉が、多く聞かれるように思います。

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「私利私欲は、ないですね。そして、花にとっての幸せは、愛情をかけすぎることではないとも思っています。器用なことができない一方で、すっぱり終える覚悟もある。BOTANICの事業を10から100にスケールする日、その愛が花のためにならなかったら、自分自身はきっぱり身を引こうと思っています」

きっと田中さんにとって花とは、すぐそばにいるパートナー。花とともにある幸せを感じ、教えてくれることを尊重しつつ、お客様や農家さんはもちろん、まだ見ぬ「目の前の誰か」とも、シェアしていくのでしょう。

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そして今、みんなと描きたい未来。

2020年春。日々考え実践する田中さんは今、「未来の花屋」を描いています。

(3月31日までは、クラウドファンディングも行っています。)

それが、 ex flower shop & laboratoryの2Fに、フラワーロス・ゼロを目標に生まれる「Lifft Concept Shop」。仕入れから3日以内の新鮮な花に出会えます。
それ以降のお花は、1Fに入るブルーボトルコーヒー店内の彩りになり、また、コーヒーの豆かすを肥料にして土にする「Coffee Soil」の開発も、進んでいるのだそう。

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まるで1つのビルが、彼の描く生態系。
おいしいコーヒーをいただいて、みずみずしいお花に触れて。
五感だけでない何かがいきいきと、目覚めるような感覚になる。

お花が生きる場所も、土も空気も、すべてが循環している。
そこではきっと、花もあなたも笑顔になっているーー。

2020年・春。田中さんの描く、幸せな未来の1つのカタチに、もうすぐ出会えそうです。

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田中彰さん(BOTANIC

ex. flower shop & laboratory     東京都目黒区中目黒3-23-16 3F

【公開中:前編はこちら

Photo by RYO / BOTANIC Text by PEKO

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