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フラワーD2Cブランド「Lifft」はじめました(2019年の振り返り③)

2019年の振り返りも最後になりました。

①「イクス蔵前店」「イクス中目黒店」の閉店&リニューアルOPEN
② COOの参画により、フラワーショップからフラワーカンパニーへ
③ Lifftのローンチ

2019年4月に「Lifft(リフト)」ベータ版をスタートし、11月に正式にローンチしました。
2019年の振り返り最後として、なぜLifftというブランドを始めたのかについて書いてみます。

花を取り巻く課題

ぼくは27歳で花の世界に飛び込み、東京・南青山の花屋で全くのゼロから花を学びました。朝から晩まで花に触れながら必死にフローリストとしての技術を磨き、花の知識も身に付けました。

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技術と知識が身に付くにつれて、自分自身のスキルアップには満足する一方で、夜遅くまで働き詰めであったり、使われない花を大量に棄てたり、といった花屋の業態自体に疑問を感じ始めました

その課題を明確にし解決しようとBOTANICを立ち上げ、自ら花屋「ex. flower shop & laboratory」を営みました。花屋仲間と時には熱い議論を交わし、苦楽をkyoしました。そして、花屋のポジションからだけでなく、問題をより鳥の目で捉えるために、生産の現場を学ぶことにしました。「霽れと褻」で全国の農園を巡回し、実際に圃場を見て、直接農家さんと話し、花を作ることのやり甲斐や苦労を知りました。

これまでのBOTANICでの活動を通して、ぼくが考える業界の課題は以下の4つになります。

花き業界の課題①:廃棄ロス

花屋は在庫を一定以上抱えていないと、お客さまの要望に応えられません。沢山の花々で囲まれた空間を作り、数ある花の中で要望通りのものをセレクトすることをお客さまに求められているからです。
在庫量の最適化は、イクスでもずっと取り組んでいます。しかし、努力しているものの、誰にも愛でられることなく、役目を果たせなかった花たちを、これまで何千、何万本と棄ててきました。花屋の店頭で販売される花の平均廃棄量は半数近くにも及ぶと言われています。

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花卉業界の課題②:低い労働生産性

先述したとおり、花屋は花の在庫を潤沢に抱えています。店内の花を最高の状態に保つために、水換え、切り戻し等、毎日のケアは欠かせません。しかし、丁寧に時間をかけてケアした花が、全てお客さまの手元に渡るわけではなく、その労力が無駄になることもあります。その結果、花屋は適正な利益が得られなくなるのです。この現状は、花屋の社会的な地位を低くしている大きな要因です。

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花卉業界の課題③:長過ぎるサプライチェーン

農園で採花された花は、いくつかの中間流通を経て花屋に届けられ、その後、花屋での管理期間を経て、ようやくお客さまの手元に辿り着きます。サプライチェーンが長いと、例えば以下のような問題が生じます。

運送時に花傷が付いてしまう
花は非常に繊細なため、運送時の横揺れや荷下ろし作業等で簡単に傷が付いてしまいます。運送が重なると、出回る花の品質が不安定になりますし、そのリスクを回避するため、お客さまの好みとは関係なく、花傷に強い品種が優先的に出回ることになります。
あるバラの育種家さんを訪園した際、とても綺麗なバラがあって感動したのですが、傷が付き易くて運送に耐えられないから、商品化できないと言っていました。ポテンシャルはあるのに、誰にも愛でられることなく、消えゆく花があるのです。

花農家はお客さまが分からない
流通内に関係者が多いと、農家さんはその花を飾るお客さまのことを考えながら花作りと向き合いにくくなります
「霽れと褻」の取材で毎月農家さんと意見を交わしますが、みなさんが口を揃えて、「何の品種を作って良いか分からないから教えて!」と相談されます。また、お客さまの声が直接届かないため、飾る視点からは決して品質、品種が良いとは言い難い花を、良いものと信じて作り続けている農家さんにも沢山出逢いました。その都度、歯痒い気持ちになります。

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農場に咲く花は美しい
流通が長いと、鮮度は落ちてしまいます。ぼくは、これまで国内外100近くの農園を見てきましたが、圃場で水分と栄養を十分に与えられ、瑞々しく傷ひとつない花は何より美しいです。
あるカーネーション農園を訪問した時、カーネーションの花弁がピカピカに輝いているのを見た時は感動し、ぼくの中でカーネーションの概念が変わりました。圃場に咲く美しい花を届けるのが花屋の使命であり、花も農家さんもそれを望んでいます

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花卉業界の課題④:情報の非対称性

花屋というビジネスモデルは、花屋側とお客さま側との情報の非対称性ありきで成り立っています。すなわち、花屋は、お客さまと商品(花)の情報量の圧倒的な差を使って商売をしているのです。もっと言うと、正しい情報を伝えたら損をするモデルと言えます。花屋は、超がつくほどの生鮮品である花を、需要が読み切れない中で大量に在庫を抱えるビジネスです。そのため、いつ仕入れたのかを明示することは自分で自分の首を絞めるようなものです。
また、花の価値は、見た目の美しさはもちろん、品種や品質等で個体差はかなりあるのですが、お客さまに説明しきれていない花屋が殆どです。例えば、5,000円の花束に対して、本当にその価値があるのか、お客さまは判断できないのです。

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以上がこの業界に10年間携わっているぼくが考える主な花屋の課題です。
ぼくは大好きな花たちを、ちゃんとお客さまに愛でてもらうために、これらの課題に向き合うことにしました。その解決策がフラワーD2Cブランド「Lifft」です。

Farm to Vase

Lifftは、「 Farm to Vase 」というコンセプトのもと、農園とお客さまを繋ぐ流通過程に生じていたあらゆる無駄を省略することにしました。
品質に信頼のおける提携農園で生産された花は、オーダーに応じて採花し、保管期間をおくことなくブーケに束ね、素早く全国のお客さまの元へ配達します。中間業者を極力省くことで、移動中の花の傷みを最小限に抑え、高品質な状態を維持します。また、不要な流通コスト、在庫維持に必要な人件費、廃棄ロス等を削ることで、お客さまへ適正な価格で提供します。

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花屋という空間には、実物の花に触れられるからこその、高揚感や魅力があります。しかし、これからテクノロジーが社会に浸透するにつれて、オンラインでも同様に最高の購買体験を提供できるはずです。
花の選定から商品のデザイン、制作まで、丹念にこだわり抜いてつくられる、花束。Lifftは、贈る人も、贈られる人も、そして、農家さんも、花一輪一輪も、サービスに関わるみんながハッピーになれる世界を目指します。

花屋の体験を超えるオンラインフラワーサービスを作る。2020年はBOTANIC飛躍の年にします。花への愛情に溢れるぼくたちならできるはずです。

Lifftのウェブサイトは日々改善しています。
ぜひチェックください!
https://lifft.jp

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