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COOがジョインしました(2019年の振り返り②)

前回投稿した2019年の振り返りの続き。

①「イクス蔵前店」「イクス中目黒店」の閉店&リニューアルOPEN
② COOの参画により、フラワーショップからフラワーカンパニーへ
③ Lifftのローンチ

①については前の記事で書いたので、今回は②について。

COOがジョイン

2019年2月、ぼくのAGC時代の同期であり友人でもある、上甲友規がBOTANICにジョインしてくれました。

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彼は、AGCでの人事総務を経て、戦略コンサルタントファームに就職。経営のプロとして、主に大企業を相手に、経営改善に関わる多くの場数を踏んできました。

彼とはジョインする2年ほど前から、会社の事業相談に乗ってもらっていました。最初の頃は、カフェで不定期に議論し、時には、五反田の旧オフィス(当時、家のなかったぼくの寝床でもあります!)に来てもらい、朝までホワイトボードと向き合ったこともありました。
また、2018年の夏には、一緒に台湾の花農園を視察し、海外の花生産の現場を肌で感じつつ、酒を酌み交わしながらお互いの夢を語り合ったりもしました。

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その後、ミーティングの頻度が増えていき、彼のキャリアとBOTANICの成長フェーズとのタイミングが合致したのを機に、2019年2月、「取締役副社長COO」として迎え入れる形となりました。

BOTANICが成長するための2トップ体制

彼にジョインしてもらった理由は、以下の2点になります。

① ミッション達成のために、BOTANICの攻守レベルを飛躍的に向上させたい
② BOTANICが健全に成長していくために、1トップ体制を2トップ体制に変え、ガバナンスを効かせたい

まず、①について、「攻守」の観点から書きます。 

アート×ロジックを高次元で成立させる【攻めについて】

BOTANICは前年比150-200%で成長を続けてきました。その要因は、ぼくの直感から生み出されるサービスを、優秀なスタッフのサポートのもと、高いクリエイティブと徹底的なコスト管理で運営できたことだと思います。

ただ、今後、時代が急激に変化する中で、攻め方の舵取りを変えないと、成長の鈍化、もっと言うと、将来的には低迷する予兆を本能的に感じています

ぼくは、右脳(感性)と左脳(論理)を行き来することを武器にこれまでやってきたのですが、BOTANICがこれから成長をし続けていくためには、ぼく自身が直感力やアート、クリエイティブといった、右脳的な能力をもっと磨き、それを活かす必要があると思っていました。
彼はその点、ロジックやデータ分析といった左脳の能力がぼくより秀でていて、両者の長所がうまくシンクロすれば、BOTANICが飛躍的に成長できる感触がありました。

また、営業、マーケティング等、会社を長期的に収益を伸ばしていくために必要なビジネスの視点をBOTANICに持ち込んでくれました
会社の成長フェーズが上がれば上がるほど、彼の能力はより活かせられると思っています。

さらに、「花屋の購買体験を越える」ことをビジョンに掲げた「Lifft」をローンチしました。詳細は、次回の投稿で改めて綴りますが、このブランドは、ぼくが「イクス」と「霽れと褻」で築いてきたものの集大成と言えるものです。

BOTANICのミッション、ビジョンを達成するために、今後「Lifft」の飛躍的な成長が必要で、それは彼の能力なくては実現しません。世界中のお客様に喜ばれるフラワーブランドを彼と共に創り上げていきます

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社会のために強い組織を作る【守りについて】

BOTANICが創立して5年を過ぎたあたりから、組織としての課題が解決されないまま積み上がっていき、組織体制に負荷がかかっていました。なぜなら、ぼく自身が、組織作りの能力に欠けていて、スタッフが15人近くなったタイミングでマネジメント機能が働かなくなったからです。
また、実店舗があるビジネスモデル上、3店舗にオフィスを加えた「4拠点体制」もそれに拍車をかけました。
当時のスタッフは、目指すべき方向が見えず不安になっていたと思います。それまで花屋にしては、離職率がほぼゼロに近いことが誇りでしたが、その頃は数人会社から離れることになりました。
この時の自分の不甲斐なさは今も心に刻まれています。

その点、彼は組織構築能力に優れていて、スタッフ1人ひとりの声を丁寧に聞き、そこから課題を発見し、解決を進めてくれました。オフィシャルな全社会議から、社内の懇親会を不定期に開催し、スタッフ間で円滑にコミュニケーションできるよう働きかけてくれました。その結果、社内の空気は明らかに変わり始めています。

また、人事制度の整備やスタッフのキャリアパスサポート等、花卉業界内での課題に挑戦してくれています。正直、財務的に厳しい側面はありますが、「花、植物に関わる人を幸せにするというミッションに掲げている以上、自分たちが先ずその課題に取り組まなければならない」と彼は気付きを与えてくれます。

これはBOTANICのミッションに共感し入社してくれた社員にとって、前向きに働き続けられる安心材料になりますし、何より会社が、スタッフに誠実に向き合うなら、取るべき姿だと思います。良い組織が増えた方が社会のためになるはずです。

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COOのジョイン理由を再掲します。

① ミッション達成のために、BOTANICの攻守レベルを飛躍的に向上させたい
② BOTANICが健全に成長していくために、1トップ体制を2トップ体制に変え、ガバナンスを効かせたい

次に②について。

会社はミッションを目指すために存在する

前回の投稿でも書きましたが、ぼくは「会社は公器」であることを心掛けて、会社経営と向き合ってきたつもりです。ただ、周りが気を遣ってくれる環境に慣れると、気付かぬうちに「裸の王様」になり、自制が効かなくなる不安がありました。

1300年ほど前に書かれた中国古典「貞観政要」で、臣下の魏徴は良い国家を築くために、皇帝太宗に対して諫言し(戒め)続けています。
会社を健全に経営する上で、ぼくにも魏徴のような存在を置く必要があると思っていました(彼は仕官ではなく、共同経営者なので立場は異なりますが)。
会社を6年間も育てていると、我が子のような気持ちになり、自分の思い通りにしたくなったり、私的な理由で手離したくなくなったりします。

そんな時、彼の存在は、会社はミッションのために在ることを再確認してくれます。彼は今もぼくの言動に間違いがあれば、経営のプロとして、会社のために諫めてくれます。

心身の変化と向き合う

先述した中国古典「貞観政要」では、リーダーは「三鏡(銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡)」を持たなければならないという記述があります。

「太宗(たいそう)、嘗(かつ)て侍臣(じしん)に謂(い)ひて曰く、
夫(そ)れ銅を以て鏡と為(な)せば、以て衣冠(いかん)を正す可(べ)し。
古(いにしえ)を以て鏡と為せば、以て興替(こうたい)を知る可し。
人を以て鏡と為せば、以て得失を明(あきら)かにす可し。
朕(ちん)常に此(こ)の三鏡を保ち、以て己(おの)が過(あやまち)を防ぐ」
(『貞観政要』巻第二 任賢第三 第三章)

現代語訳すると、

・鏡に自分を映し、元気で明るく楽しい顔をしているかチェックする(銅の鏡)
・過去の出来事しか将来を予想する教材がないので、歴史を学ぶ(歴史の鏡)
・部下の厳しい直言や諫言を受け入れる(人の鏡)
これらの3つの鏡、つまり、今の自分の表情(状況)、歴史、第三者の厳しい意見を知ることがリーダーには不可欠である、ということです。これらの3つの鏡、つまり、今の自分の表情(状況)、歴史、第三者の厳しい意見を知ることがリーダーには不可欠である、ということです。
(出口治明「座右の書『貞観政要』」P6 )

「歴史の鏡」については古典を読むことで学び、「人の鏡」についてはCOOがジョインすることで体制を築いた矢先、今まで問題のなかった「銅の鏡」に曇りが生じました。
6年間殆ど休むことなく、プライベートの時間を犠牲にして走り続けてきましたが、心身の疲労はピークに達していたようです。身体のあらゆる箇所に異変が出てきました。仕事に集中して取り組めなくなり、毎日を楽しく過ごせないことも初めての経験でした。
元気で、明るく、楽しく仕事に取り組める職場こそがイノベーションを生み出し、生産性を上げるのに自分自身が実践できない現状を悔しく思いました。

そんな時、彼は嫌な顔ひとつせず、ぼくのタスクをカバーしてくれました。また、お互いの役割も見直し、ぼくの負担を軽減させ、BOTANICにとってバリューを出し易い体制に対応してくれました。彼ではないと乗り越えられなかったと思います。

今回の経験は、ポジティブな側面も多く、組織の代表として胆力を鍛える良い機会となりました。また、元気で、明るく、楽しく仕事と向き合うことを、スタッフの立場で理解する上で大きな糧となりました。

これからのBOTANICにご期待ください

2トップ体制になってから1年を過ぎようとしています。業務の管轄をブランドで分けたり、業務フローで分けたり、互いに試行錯誤しながら経営と向き合ってきました。現時点では、彼には、COOとして執行分野を担ってもらい、ぼくは、CEOとして、BOTANICのビジョンを体現するための指針決め、また、各ブランドのアート、クリエイティブを担っています。

自分で言うのも何ですが、同じ原点から全く違うキャリアパスを歩んできて、異なるスキルセットを持ち合わせている2トップは業界内で他社にはない強みだと思います。
社外とのミーティングの際も、有難いことに「経営陣のバランスが良くユニークだ」と多方面で評価してもらっています。

並べるのはおこがましいですが、偉大な企業は、異なる2人の個性を持ち合って発展しています。

彼は、所謂エリートと言われるキャリアを投げ出し、BOTANICに入社してくれました。
ぼくのできることは、共同経営者としてビジョン達成に向けて共に邁進すること、そして、友人としてその恩を忘れないことだと心に誓っています。

BOTANICは、今年もミッション達成に向けて2トップ体制のもと、スタッフのみんなと協力し合って前に進みます。

今年も応援よろしくお願いします。

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