アンチアスファルトマン

そろそろやることがなくなってきたので書き散らす場所が必要。現代詩を投稿します。自動筆記から若干脱却&人間あんまり出てこない系だがたまには出てくる。

アンチアスファルトマン

そろそろやることがなくなってきたので書き散らす場所が必要。現代詩を投稿します。自動筆記から若干脱却&人間あんまり出てこない系だがたまには出てくる。

最近の記事

きなくささを愛しすぎている 危機一髪を崇めすぎている 蝋燭のように溶け落ちる命の したたりの曲線を愛しすぎている 辛いことを数えすぎている 身を切る涙の跡を辿りすぎている おおむね幻想を追いすぎている 不用意に形のないものに突っ込むな

    • さんざん走り回って得たそれが どう見てもくだらないものだったとき 君は笑うだろうか、それとも 繋がらない通話 開けられない蓋 手のかからない事なんか 起こったって意味ない 君は微笑んで、でも僕は嘆いて 大抵の場合そんなんで それでも僕が笑うとすれば それは多分すごい遠い未来

      • 別のことをやっていてしばらく沈黙中…

        • 【詩】台風前日の空に寄す

          奥まるほどに秘密のような暗さを濃く する空 ぐわらぐわらと増殖する乱層雲は 暗く燻んだラベンダー色で 突けば豪快に割れそうな 結晶質の気配もある 千切れた紙片のような雲と スケートの軌跡めく弧を描く雲 を 引き連れていて 見上げればひとすじの冷気が 大振りな風にかぼそく混ざった ひょうひょうと氷の笛のように 闇の気配を光の水と混ぜて 生まれた申し子 溢れんばかりのぐわらぐわらが 死した街にやってくる

        • きなくささを愛しすぎている 危機一髪を崇めすぎている 蝋燭のように溶け落ちる命の したたりの曲線を愛しすぎている 辛いことを数えすぎている 身を切る涙の跡を辿りすぎている おおむね幻想を追いすぎている 不用意に形のないものに突っ込むな

        • さんざん走り回って得たそれが どう見てもくだらないものだったとき 君は笑うだろうか、それとも 繋がらない通話 開けられない蓋 手のかからない事なんか 起こったって意味ない 君は微笑んで、でも僕は嘆いて 大抵の場合そんなんで それでも僕が笑うとすれば それは多分すごい遠い未来

        • 別のことをやっていてしばらく沈黙中…

        • 【詩】台風前日の空に寄す

          【詩】二人のあいだの関係性

          もしもの話をしよう。 仮に私があなたに迷惑をかけてしまったとき。 嘘をついたり、たんぽぽを摘んで渡しても、 許してはくれないだろう。 もしもの話をしよう。 仮にあなたが私に迷惑をかけたとき。 媚を売ったり、スミレを摘んで渡しても、 私は許さないだろう。 もしもの話をしよう。 辛く悲しいことがあなたを襲ったとき。 私はあなたに白く柔らかい猫を贈り、 それで頬を拭うように言うだろう。 もしもの話をしよう。 辛く悲しいことが私を襲ったとき。 あなたは私にふわふわのチンチラを渡

          【詩】二人のあいだの関係性

          第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門参加

          上記コンテストに参加してみることにしました。 普段は詩なのにエッセイ。文章を書く練習として。……なんだか古臭い文体ですがどうなんでしょう。 ロゴの張りつけは不要になって、タイトル画像をみんなのギャラリーから挿入すればよくなった、らしいですね。要項を満たせていることを祈りつつ。 よろしくお願いします!

          第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門参加

          【エッセイ】旅情、季節、雨。あるいはそれらの認識の誤謬について。

           旅情だとか、季節感だと思っていたものが、実はごく身近な条件の有る無しによる変化に過ぎなかったという体験を、ここ数年で数回ほどした。  たとえば、早朝の町の空気。普段住んでいる街がまるで温泉街のように感じられた朝があった。  皮肉にもこれは「コロナ禍」のおかげなのだが、梅雨入りも間近に迫った時期のある朝、ふと変な時間(日の出前)に目覚めて、二度寝もできなさそうだったので、ベランダに面した窓を開けたら、都市部近郊に位置するベッドタウンであるはずの街がしんと静まりかえって、鳥た

          【エッセイ】旅情、季節、雨。あるいはそれらの認識の誤謬について。

          【詩】一億年後の海洋生物

          (鶴城松之介様の上記企画をお見かけして、作ってから締め切り後であることに気付いたというていたらく。ランナーアウト…ッ! テーマは「海洋生物」。ビーチに海洋生物が襲来……してますね、してます。) *********************************************** 一億年後の海洋生物幾度目かの灼熱の時代が過ぎ去り ついでに酷く凍える時代が もひとつ明ける頃ともなれば 海原の上を、東京ドームの屋根ほどもある 大きな蝶が舞うだろう 撥水性の鱗粉のたっぷ

          【詩】一億年後の海洋生物

          【詩】ローカル線の旅(猫の多い町)

          タタン、タタンと 一駅通過するごとに、猫が増えます 座席につるりと出現して鳴きます 次は七日町、七日町、と鳴きながら 前脚を舐めて顔を洗います ゴトン、ゴトンと 割り合い強い走行の振動に 小さな首の骨を揺らしながら 窓の外に明るく煌めく 遠浅の海を眺めています 白飛びしたような陽光が 暑いけど冷たく目に刺さります かき氷がこの辺の名物で 昔は氷室があったようです 暑がりな猫にはぴったりで よく中で涼んでいるとか 町の花はツバキ、赤い花、 かき氷のシロップにも似た とくと

          【詩】ローカル線の旅(猫の多い町)

          【詩】未来都市

          四天のまにまに 憚られる 大きな 夜空の 鳥の むくろがあって 天青のにごりを 涙として採取してから 科学者は踊る フラスコとシリンダーを崇めて 赤いデータを忌避し 青い罫線と踊る 瓶の底 光の屈折が 歌う 都市の果てを 海の音を 時のたゆたいを 銅板をひっかいた疵が 張り詰めて記録する 窓ガラスは 青空と まぼろしを映し ちんけな明晰夢を 量産し 幇助する 惑わされれば 落ちる、黒い羽根と 道連れになって 鋭角に突き立つのだ 急ぐ、胡蝶の舞は もう間に合わない 黒い羽

          【詩】かつて子供だった

          おはようございます。 こんにちは! 起立、礼 あーさーのーかーいーをー 始めます いいでーす 違いまーす 今日、先生が、教室に亀を放しました かわいかったです 給食当番 カレーの鍋が重くて、重くて ダストシュートが処刑装置に見えた ごぎぎり、机の足が 床にこすれて震える震える かーえーりーのーかーいーが 始まる 窓から流れ込む砂ぼこりのにおい 床用ワックスは柿の色、 柿の干したのの でんぷん質の部分だ 春でも、夏でも、冬でも 窓から外を見れば 異界の樹々の葉が

          【詩】かつて子供だった

          【詩】モーニング•ティー

          華やかな朝 時、刻んで 遥か ウミガメの甲羅で 作ったティーカップで ✳︎ たゆたう時 伸び縮みする 須臾 懐中時計の 少し錆びた 蓋 ウミユリの苦味 に 角砂糖を添えて ✳︎ 遠くのエイが 花のようにひるがえる瞬間 僕の目には 亀裂、 吹きこぼれて カップをソーサーに置く その硬質な音が 散る 聞く 放す

          【詩】モーニング•ティー

          【詩】プリズム幻想

          高いハンノキ、崩れた鹿が、ぼくを遠くの橋へ連れて行って、とこなしえに枯れることのない風景を次々と食んでゆく。ユスリ蚊の過ちをぼくが背負おう。トマトジュースの海につぎ込んだ意味のない羽ばたきが、冷たい海を具現化する。 りんごのように、いつものフォルム。冷たい鈴の震える音が、飛び火して常に騒擾。うるさいな。飛び出た鹿の目を押し込んで、今日も独り、ぐったりとした獲物を背負う。背負った。剥いだ。付きものの憂いがぼくを削ぐ。罪のない奴だけど重罪、ああ憐れ。罪のない、それなりの感想。

          【詩】プリズム幻想

          コラボ表現企画参加:スカーレット

          *************** 本作はこちらの企画に寄せて作成したものです。 コンセプトが面白くて… https://note.com/sei_shyaran/n/nb27d7368d702 *************** 星降るスカーレット 炎を求める蛹のひとは たとえば鉄錆色の虹を浮かべた 油性の炎に縋られたなら その目を見開き瞳孔の闇を 丸く広げるのだろうか 縁取る睫毛や自我ある眉の 一本ずつにあかあかと 終わりの熱が照り返し 舞踏を停止せしめるか 暗い夜こそ火を

          コラボ表現企画参加:スカーレット

          【詩】軟骨歌

          白くほどけたワニの死骸を 水に晒して祈りを捧ぐ 誰も気付いていない死を 丹頂鶴が運び去る 聴き手も付かない気付きに今 怪魚の額の装甲は剥げ 透明な軟骨に見通される意思 せこい究極の生き汚さが 僕を海面まで押しやって 口も喉もぶくぶくの泡で詰まり 腹の中までどうしようもなくなってから 人魚に救助されるのだ もう歩けないんでしょう もう走れないんでしょう 酸素を失った僕には 喜色の浮かぶ声が掛けられ チアノーゼの青色を 殊更愛でる彼らにとって 僕は一輪の花となる

          生物は一瞬一瞬の積層体 意識を切り刻んでは刹那と呼び愛でる 地殻が小石に 砂利がさざれに 変貌を遂げるまで あと少し待て

          生物は一瞬一瞬の積層体 意識を切り刻んでは刹那と呼び愛でる 地殻が小石に 砂利がさざれに 変貌を遂げるまで あと少し待て