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【詩】プリズム幻想

高いハンノキ、崩れた鹿が、ぼくを遠くの橋へ連れて行って、とこなしえに枯れることのない風景を次々と食んでゆく。ユスリ蚊の過ちをぼくが背負おう。トマトジュースの海につぎ込んだ意味のない羽ばたきが、冷たい海を具現化する。

りんごのように、いつものフォルム。冷たい鈴の震える音が、飛び火して常に騒擾。うるさいな。飛び出た鹿の目を押し込んで、今日も独り、ぐったりとした獲物を背負う。背負った。剥いだ。付きものの憂いがぼくを削ぐ。罪のない奴だけど重罪、ああ憐れ。罪のない、それなりの感想。

犀のツノだってこれほど曲がってない。突き出した文句と死に際の目がぼくを割く。ランタンに踏み潰された芽としどけなく戯れていた地虫にごめんなさいして、また、芽生えるのを待つしか。ともあれで心中を幇助するな。

可愛い大根と腐れた蓋を手に持って踊っている。なんの欠片もない。ただ苦しい水の中をかき分けるような歩み。そんじょそこらの理解ではない。常に群れるものの悲哀を手繰り寄せてはかぶりつく。白眼を貝紫に染め上げては、己の慈愛を賞賛して。