【詩】かつて子供だった
おはようございます。
こんにちは!
起立、礼
あーさーのーかーいーをー
始めます
いいでーす
違いまーす
今日、先生が、教室に亀を放しました
かわいかったです
給食当番 カレーの鍋が重くて、重くて
ダストシュートが処刑装置に見えた
ごぎぎり、机の足が
床にこすれて震える震える
かーえーりーのーかーいーが
始まる
窓から流れ込む砂ぼこりのにおい
床用ワックスは柿の色、
柿の干したのの
でんぷん質の部分だ
春でも、夏でも、冬でも
窓から外を見れば
異界の樹々の葉がさやいでいて
ただの犬を散歩させる飼い主を
見かけては恨んだ
箒の穂先を引き抜いては
そこにわずかな種子を見つけ
希望を
託した
それもやがて潰え
少し丈夫になった足で
階段を駆け上がる
夏