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「採用ピッチ資料のキーワードは“オープン化”から“●●化”へ?」 ~ひよっこ人事コンサルタントの考察~

こんにちは!レイド株式会社の高木です。
2020年1月から、ひよっこ人事コンサルタントとして、採用を軸とした支援活動に取り組んでおり、目下インプットの毎日です。

前回に続いて、コロナ禍の影響でブームが再燃している「採用ピッチ資料」についての考察となっております。

前回記事では「採用ピッチ資料の作成・公開は、応募数アップに必ずしも直結するわけではない。採用活動全体における課題をふまえて、ねらいを明確にしてからつくった方が良さそうだ」ということでした(あたりまえですね)

じゃあ、そのねらいってどんなものがあるの?各社の資料はどうなってるの?といった考察をもとに「採用ピッチ資料」のこれからのキーワードについて考えてみたいと思います。

Speakerdeck上に「会社紹介」の資料としてアップされたものは8月だけでなんと20社以上も…(※更新も含まれます)「採用ピッチ資料」もテンプレ&コモディティ化してきたふしがあるので、いまから先を見据えておきたいものです。

「採用ピッチ資料が登場したのは必然?」

これから先のことを考える前に、まずは「採用ピッチ資料」が登場してきた背景も考えてみましょう。

「採用ピッチ資料」関連の記事で必ずといっていいほど、取り上げられるのは、前回の記事でもご紹介したSmartHR社の会社紹介資料です。

この資料が公開されたのは2018年8月。Wantedly社のマザーズ上場から1年ほどたった頃で、採用に関して積極的に情報発信をする企業が増えてきたタイミングなのではないかと推測します。

Vokers(現:OpenWork)などの口コミによる会社評価や、MyReferなどのリファラル採用関連サービスの情報を目にする機会が増えてきたのも、この頃ではないでしょうか。

従来型の求人メディアを活用したマス向けリクルーティングからの体制転換がはじまっていた時期ともいえるでしょう。

企業からの積極的な情報発信がもとめられるようになった、という流れに加え、SNSの発達や口コミサイトの活発化にともない(必ずしも実態にそぐわない)良いことばかりを発信している企業にとっては厳しい時代にはいりました。

逆にいえば裏表のない企業ほど信頼が高まり、いままで隠していたような情報もオープンにすればするほど採用の差別化につながりうる状況といえます。

「採用広報のひろがり」「全員人事化」「SNSの発達」「口コミサイトの活性化」といったさまざまな背景が絡み合っているものの、これまで隠れていた情報をオープン化していく「採用ピッチ資料」のトレンドは、ある種の必然性をもって生まれたのではないかとさえ思えてきます。

「採用ピッチ資料作成のねらい」

「採用ピッチ資料」が登場した背景≒資料作成するねらい、という構図ではありますが、この点ではSmartHR社の解説記事が非常に参考になりますので、まだ読まれていない方はぜひご一読ください。

こちらのブログの内容をかいつまんでご紹介すると…

面接用スライド(採用ピッチ資料)を作成、公開することで…

・社内外からの会社に対するイメージのズレを修正したかった
・悪い印象を払拭したかった
・面接官ごとの説明ブレを解消したかった
・面接・面談の時間をより有意義にしたかった

と説明されており、ねらい・解決したい課題に則した資料内容になっています。

その他の解決できる課題≒メリットとしては、前回の記事や絶大な信頼をおいているHeaRさんの記事をご参照いただくとして、採用広報に関するものと、採用オペレーションに関するものの2つに分けられそうです。

「採用ピッチ資料」の制作前に、2つの観点で課題を整理してから進めることで、資料ができた後の効果測定・評価もしやすくなりそうですね。

みなさんが「採用ピッチ資料」をつくるとしたら、どのような課題解決につなげたいでしょうか。

「各社の採用ピッチ資料の特徴や工夫」

「オープン化」が「採用ピッチ資料」の基本路線とはいえ、各社の採用ピッチ資料の裏側には細やかな配慮や思惑(?)が散りばめられています。50社以上の資料を見た中から、これは…!という資料をポイントと共に一部ご紹介いたします。

【サイボウズ社】

給与や評価について項目をオープンにすること自体は珍しくないですが、残念ながら給与テーブルや制度をただ開示しているだけ…ということも。求職者に伝えたい、という配慮が随所に感じられる資料です。

特にp43以降の「配属・役割の決まり方」や「報酬の考え方」のスライドはとてもわかりやすく、他社資料とは少し異なる切り口であることも参考になるかと思います。

スライドの構成自体は定型化が進んでいるので、それぞれのパートでお気に入りの「採用ピッチ資料」を参考に作成していくといいでしょう。

【ベイジ社】

厳密には「採用ピッチ資料」のラインナップとして並べると、採用色がうすく違和感があるかもしれません。

p9以降にある「対応領域」や「ワークフロー」、「受注内訳」や「品質管理」といった業務に関する情報が充実している点、「実績」に割いているページ数が非常に多い点から、未来に向けたワクワク感で惹きつけるというより、業務のイメージを共有し、結果や実績にものをいわせるスタンスであるというのは、ある種の気持ち良さを感じます。SmartHR社の資料と同様、行動指針や社風と資料に一貫性があるいい例なのではないでしょうか。

【ベーシック社】

資料の内容や構成自体はオーソドックスなものの「20代社員に聞いた!ベーシックの魅力」「20代社員に聞いた!ベーシックの課題」といったスライドのタイトル付がされていることで、求職者目線に近い印象を与え、自分ごととして考えやすい内容になっていると感じました。

【dely社】

表紙に募集中の職種を記載している企業は意外にも少ないもの。HeaRさんが30社分のピッチ資料をまとめられたnoteで紹介されている資料でも、なんと30社のうち2社だけなんですよね。

他社資料のページ構成としては、終盤で募集職種についてふれるものが大多数を占めるところ、dely社の資料では冒頭でふれられており、以降のコンテンツも届けたい人が明確なように感じました。

すでに検討段階にはいっていたり、職種をしぼって探している求職者にとっては、だれに向けたかわからない会社紹介資料を見せられたところで響きづらいですもんね。

「採用ピッチ資料」のデータはWeb上にアップロードされていても、企業ページやリクルーティングページにはデータが露出していない企業もしばしば…。求職者への届け方も意識したページ構成、内容へと調整している企業もありそうです。

「採用ピッチ資料のこれからのキーワードは…」

8月にアップロードされた「採用ピッチ資料」の中には、塗装を中心としたリフォーム業を営む企業や、和紙生産の技術をもとに工業用製品をつくっている企業など、これまで目にすることのなかった業種の資料が出てきていることからも、第2フェーズに入った感があります。

そうした中でも、注目したいトレンドは前パートの「dely社」でご紹介したように特定の職種の求職者に向けられた資料です。

先ほどのパートでは同様のケースが30社のうち2社しかなかった、と書きましたが、8月にSpeakerdeck上でアップロードされた資料のなかでは、約20社のうち5社が職種をしぼった資料を展開しています(一部を抜粋してご紹介します)

【エムスリー社】

【Findy社】

【スナックミー社】

採用ピッチ資料のエンジニア版ということで、記事制作をするサービスも登場していますし、職種に特化したリクルーティングサイトも増えてきています。

少し強引かもしれませんが、こういった流れをふまえると「採用ピッチ資料」におけるキーワードは「オープン化」から「最適化」(ガラパゴス化?)に移り変わりつつあるといえるのではないでしょうか。

さらにいえば「採用ピッチ資料」単体でどうというより、前記事でご紹介したSmartHR社の宮田さんのコメントのように「マーケティングのチャネルをハックする」流れがますます加速しているともいえるかもしれません。

ターゲットに合わせた採用チャネルを選定し、それにあわせた施策をとりいれて、改善し続けていくことが求められているのでしょうね(また、あたりまえの着地にたどりついてしまいました…)

次回は直近で公開されたピッチ資料のまとめを書けたらと思っていますので、お楽しみに。

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p.s.「採用活動における情報発信は”静的なもの”から”動的なもの”に変わってきた気がする」

いままで採用活動に関する情報というのは、募集時だけの断続的なもの、年度ごとの新卒採用のように期間限定のもので、蓄積がされづらいもの(静的)だった印象があります。

冒頭でご紹介した「採用ピッチ資料」が登場した背景や「タレントプール」の考え方が広まってきたこと、人材の流動性が高まってきたことなどを考えると、採用ピッチ資料のように更新性の高い、継続性のある情報公開・発信の手法(動的)はいまのトレンドと相性がいいのだろうなと思いました。

記事を書いている途中で思考が本筋から脱線してしまうことがよくありますが…案の定このパートの内容に意識がむいてしまい、更新が遅れてしまったことをお詫びします(社内向け)

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Kotaro Takagi
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