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精神科看護師になったのは、今から10年以上前のある2週間がきっかけ

日曜日の今日は
メンタル系の堅い話をお休みして
ふわふわと過去のお話をしようと思います。


今日は
いろんな病院や
いろんな診療科がある中で
どうして精神科で働こうと思ったのか

という話をしようと思います。


いろんなきっかけが
あったような気がするんですが
急性期病院で働いている時に

患者さんの名前ではなく

3番ベッドの人
昨日心臓のオペをした人
スパイラルドレーンが挿っている人

などと呼んでいることに違和感を感じて
1人の患者さんを名前で呼んで
1人1人とゆっくり時間をかけて
関わってみたい

という思いから
急性期病院から
精神科病院へ転職したのですが

そのずっと前

看護学生時代に
精神科の実習での
想い出が
影響していると思うんです。


看護学生あるあるがあって
看護学生の実習って
ちょっとした生き地獄なんですね。


看護学生に
人権はない
とはよく言ったもので

実習先では
挨拶をしても無視をされ
発言すれば否定され
実習が終わっても
夜中まで実習記録を書いて
ちょっとやそっとの理由では
実習は休めない

みたいな感じだったんです。

今はそこまでハードではないですが
中堅以上の看護師さんの多くが

もうあの時代には戻りたくない

と思うでしょう。


しかし
そんな中でも
精神科の実習だけは
楽しかった
という看護師や学生が多いんですよね。

理由はいくつか挙げられると思いますが
比較的精神科の看護師さんの方が
優しいように感じたり
実習の内容も
レクレーションや
催し物の準備や開催など
楽しめる要素があるんです。

もちろん人によっては
精神科が合わない人も
いるんですが

多くの看護学生が
「楽しい!」
と言えるのが
精神科実習だったりします。



私も同じように
精神科実習が
他の、どの実習先より楽しかったし
記憶に残ってるんですよね。


でもそれは
先ほど挙げた理由とはちょっと
違うんです。


精神科病院って
当時23歳の私にとって
ものすごくアングラな世界というか

自分の知っている世界とは
少し異なる世界だったんですよね。

そこに惹かれたんだと思います。


世の中にはいろんな人がいる

と頭ではわかっていても
学生の頃なんて

同じような地域にいる
同世代の人としか
ほとんど会いませんからね。

どうしても世間知らずになる。


そんな中
精神科病院という世界は
かなり刺激的な世界でした。


まず他の病院と違って
コミュニティ感があるんですよ。


一般科で入院したことがある人なら
わかると思いますが
基本的に他の患者さんと
話すことってないじゃないですか。

せいぜい4人部屋で
同室の人と
ちょっと話す程度。

精神科病院は
長期的な入院の人が多いから
顔を覚えやすいし

毎日のように
レクレーションや
お祭り的なイベントなどもあるので
他の患者さんと協力したり
同じ作業をする機会が多い。

だからもちろん喧嘩や争いもある。

症状が軽い人同士であれば
退院後の仕事を紹介し合ったり

退院後に一緒に遊びに行く人達もいる。


一方で
何十年と病院から
退院できない人もいる。


手に負えないと
家族から見放された人

人との関わりを拒み続けた結果
言葉を発せなくなった人

1997年頃からずっと入院している人

反社会的な行動をとった人

お酒やギャンブルで人生が
大きく変わってしまった人

夫から虐待を受け
そんな辛い現実から自分を守るために
自分は女皇であるという
妄想の世界に逃げ
その結果、妄想の世界から
出てこなくなった人


全ての出会いにインパクトが
ありました。


当時は
そういう人々の力になりたいとか
そもそも力になれると思わなかったし

ただ感覚的に
今まで触れることがなかった
本物の悲しみ、孤独といった
人々の辛さに直面して

看護師として経験を重ねたら
自分もいつかはこういう人を
救えるようになるのだろうか?

と思った記憶があります。


看護師として
経験を重ねて

ようやく1人の看護師と
向き合えるかも…
という自信みたいなものが
芽生えてきたから

転職に至ったような
背景もあります。



それくらい
精神科実習の
想い出が強かったわけですが

他にも精神科実習で
インパクトの大きかった
話がありまして


先程の
自分を女皇だと思っている
70代女性の患者さんの
エピソードなんですけど

実習期間中凄く気にかけてくださって
よくお話をしていたんですよね。

ある日
女皇さんから呼ばれまして


「今、テレビ中継があってるから
 テレビに出てみなさいよ」

と言われました。

当然テレビ局の人が来ているわけではなくて
妄想の世界の話ではあるんですけど

トイレに大きな鏡があって
その鏡の奥で
全国民が見ていると
おっしゃられたんです。


「今、みんなが見ているこの場で
 お母さんに感謝の気持ちを伝えなさい」

と言われて

私はしぶしぶ
トイレの鏡の前で
女皇さんが見守る中
母親に対する感謝の気持ちを
延々と語らされました(笑)


なかなか終わらせてもらえず

もう許して下さい

という感じだったと思います😂

最後に
一曲歌いなさい
せっかくだから

と言われ

なにが“せっかく”なのかわかりませんが

古い曲が好まれるだろうと

確か「Get wild」を
最後にアカペラで歌って
解放されました(笑)

いろんな形の
看護があるのだと
思い知らされた
とても濃い実習でした。



明日からうちの病院に
看護学生が実習に来られます。

私が指導員として
2週間関わるのですが

学生さんの
想い出に残るような
楽しい実習を
経験して欲しいなと
心から願って
明日を迎えようと思います。


皆様も
明日から1週間ぼちぼちで
いきましょうね😉

サポートしていただけると相当喜びます😭