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冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第七話 #DDDVM

シャンティカ君の了解を取り付け、ギルド施設内に入ったワトリア君を迎えたのは、人間の施設で言う所の酒場に近い構造の施設だった。

正面には細長く伸びた木製のカウンターがあり、その内側では何人もの受付担当者がせわしなく働いている。カウンター内には雑多な書類が整理されて木棚に格納されており、冒険者であろう人々に応じて引き出されていた。

向かって左側には丸テーブルを囲んで何脚かの椅子が設置された打ち合わせスペースが複数あり、右側には奥につながる通路と二階につながる階段が設置されていた。

「シャンティカ君、開放スペースではなく個室で打ち合わせしたいのだが、ギルドにはそういったサービスはあるのかい?」
「もちろんあるわ。ちゃんと盗み聞き対策された個室がね。そこらに転がってる柄の悪い連中には聞かせられない話だって、いくらでもあるでしょう」
「じゃあ、個室の方を受付でお借りしますね」

シャンティカ君をおいて受付に進み出たワトリア君に、たまたま受け付けてくれた係員の女性が彼女の事をひと目見るなり微笑んで、個室席への案内を申し出てくれた。ワトリア君が何か言い出す前の事で、流石のプロといった塩梅だ。

―――――

「まあ、良いでしょう。引き受けるわ」

受付エリアと違って、全面を煉瓦で覆われた少々重苦しい雰囲気の個室席にて、我々の説明を受けたシャンティカ君はあっさりと了承の意を示してくれた。

「ありがとうございます!」
「良いの良いの。でも私からも一つ報酬を要望したいのだけれど、王家には受けてもらえるかしら?」
「そうだろうと思って、こちらから先に話を通しておいたとも。君が望んでいるのは、迷宮内にある遺物の使用権だろう?」
「さっすが!話が早いわ。うん、それなら文句なしね」

笑顔を見せたシャンティカ君とは裏腹に、ワトリア君の方は困惑の表情をしている、気がした。

「遺物の使用権、シャンティカさんが必要としていたんですか?」
「ちょっと事情があるの。というより、私の旅の理由はほとんどそれなんだけど、心配しないで。そんな世界に迷惑をかけるような物騒な使い方は求めていないから」
「むう……わかりました。よろしければ道すがらその事情を教えてほしいです」
「ええ。普通のゴロツキには聞かせられないけど、シャールの信頼したパートナーなら良いでしょう」

その時、通路と個室を隔てていた木製のドアが甲高い音を立てた。

「合流相手がこちらの部屋にいらっしゃると聞いて来ました。中に入っても構わないかな?」

実に若い、張りのある男性の声。この状況でやってきたということは、恐らく王国側の冒険者だろう。敵、という訳ではないはずだが、私達ににわかに緊張感が走る。

「どうぞ、お入りください」

ワトリア君から、入室を促す回答が出た。

【冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第七話:終わり|第八話へと続く第一話リンクマガジンリンク

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