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冥竜探偵かく語りき

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異世界に生息する、数々の人智を超えた超生物。 だが、彼らとて命を失うこともある。謎めいた絶対強者の死因を探るのは、看取り屋とささやかれた冥竜!
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記事一覧

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ おまとめ版 第五話 #DDDVM

「ふんふん、物見の術がマニピュレーターとしても使えることにはどうやって気づいたんだい?」…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ おまとめ版 第四話 #DDDVM

「ここですね」 立ち止まったリューノ殿が指し示した文字盤は、確かに私が指示した記号と一致…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ おまとめ版 第三話 #DDDVM

私の杞憂を吹き払うしなやかな強さを持って、リューノ殿とシャンティカ君の二人は襲い来る脅威…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ おまとめ版 第二話 #DDDVM

会話を続ける内に、話題となった山岳地帯が見えてきた。 この一帯は神話においては、神威によ…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ おまとめ版 第一話 #DDDVM

あなたは、迷宮というものを体験した事はあるだろうか。 ない?実に結構。迷宮とは、暗く、複…

レトワール・ブランシェ・ドゥ・ラ・ニュイ・サンテ #パルプアドベントカレンダー202…

 その白い、もこもことした実にふわふわな毛玉は今、ことのほか不機嫌だった。  白い毛玉は…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第五十話 #DDDVM

謁見室を、再び重苦しい間が支配した。 女王陛下は固く口を真横一文字に結び、近衛騎士といえば厳しい眼差しを一行に向け、この場において大臣ただ一人がにやついた底意地の悪い笑みをたたえている。それでもその表情が下卑た印象を与えないのは、眉目秀麗な面立ちあってのことだろう。 永遠にも思える沈黙の後、意を決した少年は自身と同世代である陛下へ毅然と告げた。 「陛下、ごめんなさい!」 叫びと共に、サーン少年は深々と己の頭を床につけんばかりに下げる。 「オレっ、先生助けることしか頭に

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十九話 #DDDVM

そばに控えていた大臣が、女王陛下より後を引き継ぐ。重苦しい玉座の間の空気も、この男にとっ…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十八話 #DDDVM

先程の会話から程なくして、彼らは私が待つ集落から外れた場所へと戻ってきた。サーン少年が、…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十七話 #DDDVM

「でしたら何よりです。それと、発症前にこれと言って変わった事象はありましたか?」 「いん…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十六話 #DDDVM

「しかし、なんだってこっちに肩入れするんだい?さっきのタイミングでアタシを殺傷しても、ア…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十五話 #DDDVM

「サーンッ!?」 「先生、頼むから落ち着いて……っ!」 私の視覚に含まれるマナ受容体が、…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十四話 #DDDVM

「サーン君は、こちらに」 「はっ、はい!」 果敢にも咲き誇る脅威を前に突貫する戦士二人を…

冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第四十三話 #DDDVM

少年の制止を他所に、見事に咲き誇った水華はあまた重なる花弁のそこかしこより波紋をほとばしらせ、水撃を吹き散らす。あくまで地面を狙った一撃なのは、集落への誤射を嫌ってのことか。 やむなく抜刀したリューノ殿が、猫科肉食動物の低姿勢めいて駆け抜けては水華の根幹へと刃を振るう。かたやシャンティカ君はバク転側転から距離を撹乱した後、術者本体を避けての射撃を行うもことごとく花弁に埋もれて有効打とならない。 そして二世殿は、どういう技術か水撃の一線をことごとく最小限の動作で回避していた