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マン・ハンティング・ウィズ・ポスト・アポカリプス 5

「ついたぞ」

 エンジの言葉にようやくモニタから顔を上げたコーデリアが見たのは爆発を繰り返し炎上する小規模の工場だった。炎は勢い良く燃え上がり、再起不能にしか見えないくらい燃え盛っている。

「も、燃えてるーっ!?」
「気にするな、よくあるからな」

 ウンザリした表情でなだめるエンジの顔と炎上する工場を交互に見るコーデリア。エンジは外骨格式パワードスーツを操って炎上する工場から離れたコンクリート小屋からごちゃごちゃした機械を持ち出すと、上空にミサイルめいて撃ちはなった。機械は火災現場の上空で滞空すると瞬く間に雨雲を生成し、炎上現場をスコールめいた雨で鎮める。

「よくある、んですか?」
「今のところな」

 げっそりした顔を隠さないエンジはほとんど炭の様になった火災現場に呼びかける。

「おい、やらかしたのはもういいから出てこい」

 炭が積み重なった惨状の床が勢いよく開くと、伸びたブロンドをうなじでまとめた人好きのする穏やかな顔立ちの若い男性が顔を出した。現れた男性は恐る恐るエンジとコーデリアの方へ歩み寄ってくる。

「本当に怒ってないかい?」
「怒ってるに決まっているだろうがアホめ!おまえ何回地上部の工場爆破炎上させれば気が済むんだよ!」
「いやぁそれは……科学の発展には犠牲がツキモノデース」
「米国出身の癖にエセ外国人のモノマネなんかすんじゃねぇ!それより求職者だ!社長らしくしろ!」

 エンジの一喝とエンジの背中に隠れていた少女に気が付くと急にしゃきっとした様子で背筋を伸ばしコーデリアに向き合う社長。

「ようこそ、ホワイト・アーコロジーへ。僕がCEO兼CXOのジェイン・シラセ。気軽にジェインって呼んでね」
「よ、よろしくお願いします!」
「うん、よろしくね」
「CXOは俺に譲った方がいいと思うがな……」

 エンジのつぶやきは華麗にスルーするとシラセはエンジに向けて、当然の質問をぶつけてくる。

「で、彼女なにが出来るんだい?」
「見て驚け」

 エンジはコーデリアに貸し与えてた携帯UNIXを操作して随伴、待機していたメカホース三頭に指示操作を行う。

 ピッピッピ!体操で鳴らすホイッスルめいた効果音と共にメカホース達が並ぶと内一頭が二頭の上に飛び乗ってピラミッド体勢を作ったかと思えば上の一頭がそのまま空中前転ジャンプを繰り出して大地に着地する。

「……この挙動制御プログラムを、彼女が?」
「おう、ベースプログラムは元々メカホースに書き込まれていたシロモノだが、とてもじゃないがこんな挙動はメーカーの想定したもんじゃない。内部プログラムも読んだが追記箇所は全部コーデリアの手腕によるものだ」
「スゴイじゃないか!彼女は僕らの希望の星だよ!」
「へーへー、そういう訳だからちゃんと職能に見合った給与支払えよ」
「もちろんだ!」

 シラセは火災現場に向き直ると手にしている通信端末でテレビでも操作するかの如くスイッチを押した。その途端、火災現場から見る見る地下に会ったらしき建物がせりあがり、瞬く間に先ほどまで炭の山しかなかったとしか思えない現場は元通り?の工場と併設オフィスビルが再生した。

「さ、入って入って。中で雇用条件について説明するから」

 自身満々でオフィスビルの自動ドアをくぐるシラセについていく前に、コーデリアはエンジのワイシャツの袖を引いて耳打ちした。

「あの……また爆発四散しないですよね?」
「心配はごもっともだが、流石にあのアホも他の社員がいるとこで開発検証はしないぜ。一応な」

 一応な、の部分に底知れない不安を感じつつも、コーデリアはエンジについて一緒にピカピカのオフィスビルに入場した。

【続く】

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