見出し画像

BWD:龍の移住相談なる会-5-

 日が天高く真昼をさす頃、悪魔狩りの白黒コンビは真龍の背に乗って空と海の狭間を堪能していた。龍の身体は不可視の力場に覆われており、その速度に反して風が二人を吹き飛ばすような事もない。

「まず、金銭の利害関係が生じるとこは駄目だ」
「だな」
「どうしてだい?」

 当然とばかりに話す二人に疑問を呈する龍。

「旦那にはピンと来ないだろーなぁ。この世界における人間の争い、その大半は利害関係で起きるもんなのさ」
「それは何となくわかる。ぼくの世界でもあったからね」
「そか、じゃあこの世界のはそれをもっともっと激しくなったもんだと思ってくれ」
「なるほどーぅ」

 納得する真龍に探偵は加えて補足を行う。

「つーてもこの世界の人間は命惜しいヤツが多いからほいほい旦那に突っかかってくるアホは極々少数だ。さっきも説明したがどちらかというと旦那の存在で金儲けしようとする奴らが場外乱闘を起こす方が可能性高い、ぜ」
「それは困っちゃう。何とか防げないかい?」
「もちろん、予防策は考えてるさ。順番に説明するぜ」

 龍と人とのとりとめのない移住相談の間にも空と海の景色はすさまじい勢いで流れていく。戦闘機の速度よりなお早い。特に口を挟む必要性が薄いのでカリューの方はそんな景色を眺めていた。龍の背に乗って離島訪問など中々レアな体験と言える。

「まず、人口に比して安定した経済基盤が出来てる所なら旦那を出汁にカネもうけする動機は小さくなる。もちろん個々人の精神性もあるけどそこは信頼できる相手に絞って打診したし、これから向かうとこの相手もそうだ」
「多少見世物になるくらいでも、喧嘩吹っ掛けられないならいいよ?」
「ノン、ノン、人が密集するとそれだけで揉め事起こすのが人間って奴なのさ。だもんで今向かってもらってるところは人は少ないし、交通の便もかなり悪い。一方で農畜産物は豊富、経済的には比較的安定していて村おこしとかする必要性も低い」
「交通の便の良し悪しは関係ある?」
「ああ、人間って奴は行動にかかる手間が少ないほどアホな行動に出やすくなるもんさ。ってことは逆に移動の手間が増えれば増えるほど旦那にちょっかい出すバカは減るって訳」
「セージさん、そこまで考えてくれてるんだ」
「ハッハ、世話やくのは結構好きなんだぜ?俺っちは」

 筋金入りの人たらし力、この場合は龍たらし力とでも言うべきか……な相方の探偵に嘆息するカリュー。無論このたらし力が良い結果をもたらしたことは一度や二度ではないのだが、それはそれとして帳消しになる位色々せびられている身としてはため息は尽きないのであった。

 そうこう相談しているウチに驚くべき速度で移住候補地である離島についた一行。彼らを出迎えた島の町長が切り出した相談は、移住可否とは別方向に実に困った内容だったのだ。

【BWD:龍の移住相談なる会-5-:終わり:6へ続く】

一話はこちらからどうぞ

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #逆噴射プラクティス #ボンズウィズディテクティブ #ドラゴン #毎日投稿 #毎日小説 #パルプ小説 #悪魔会話 #交渉

ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL