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魂の灯 -86- #ppslgr

総合創作商業施設N.o.t.eの中央区画は、今や厚身の刀剣めいたシルエットの機動戦艦と変貌していた。その艦体を拘束していたメガフロートはピザ分割の後に速やかに後方へと流れていき、再び、もとの浮島としての姿を取り戻す。

「む……?」

今や東京スカイツリー並の巨体となった暗黒虚神のまなこが、その大仰な変貌を見逃すはずがなかった。この状況で出てきたものが、ただの虚仮威しであろうはずもない。虚神はセコイア大樹形状の両腕を振り上げ、現れた戦艦へと迫る。

「バカめ、奥の手などそうやすやすと切らせるものか!」
「バカはどっちだオラーッ!」

不意に、暗黒虚神の片脚がトラバサミに喰らわれたが如くとどまる!そこにはメタリックブルーのマッスル装甲兵器の姿があった!

「まぁだスリーカウントにははええぜ坊や……!」
「諦めの悪い!」
「それが僕達の取り柄だからね!」

無理矢理押し通ろうとした暗黒虚神のもう片足が銃槍に杭打ちされやはり押し止められる!槍を大地に縫うのは黒銀の竜騎兵!

「脚を止めた所でどうにもできないと思うのか!?」
「思わんのう、ゆえに腕も止めるんじゃなぁ!」
「小バエ扱いするには、自分たちはちょっと痛いですよっと!」

構わず振り下ろされんとした両腕に、右側からは天を衝くほどの断首斧が、左側からは球状爆炎が打ち払った!あらぬ方向へネジ曲がる虚神腕!

「くうううううっ!?」

歯がゆい思いでまずは拘束を振り払わんとする暗黒虚神の眼前で、それは起こった。

エメラルドグリーンとピュアホワイトのツートンカラーで彩られた巨大戦艦は、中央から無数に分割線が入ると、なめらかにその姿を変えていく。
艦首から艦体中央は2つに分かれ屈強な装甲に覆われた脚に。
艦体後方もまた分割されれば塔の如き両腕へ。
四肢を振り上げ立ち上がったそれは、もはや戦艦ではない。
暗雲の切れ目からさした日光が、翠緑の装甲巨神の姿を照らし出した。

「たとえ嵐が吹こうとも」

「たとえ戦火が燃え上がろうと」

「創作の灯火を守るのが私達の使命」

「オレ達の作る道は誰にも阻ませやしねぇ!」

『創攻巨神、ドレッドノートッ!ここに見参!』

大見得を切って名乗りをあげた翠緑巨神を前に、暗黒虚神の胸中に収まる少年は呆然として言葉を漏らした。

「……ふ、ふはは、何だそれは。何の冗談だ?」
「オレ達は」
「大マジだぜ」
「ふ・ざ・け・る・ナァーッ!」

海面を波立たせ、妨害をはねのけ暗黒虚神が翠緑巨神に迫る!
振り上げられた拳は、衝撃と共に打ち払われた!巨神が握る得物が霞む……!雷光よりも鋭く巨神の胴を走るそれは、砲身を鎖でつないだキャノンヌンチャク!

「いい加減ケリをつけようぜ、スカム野郎!」
「望むところだ、お前たちのすべてを打ち砕いて何もかも終わらせる!」

宇宙クジラの特攻じみた質量の暗黒拳を、衝撃を持ってキャノンヌンチャクが阻む!東京湾は今は、二大神の戦場へと変わったのだ!

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