UE:ハウリング・ロア ep-4

 黒武者は目の前の迷彩巨人の胸甲に刀の柄頭を強かに打ち付け、反動で反対側の装甲人型兵器の胴部を切っ先で貫いては切り払って内部フレームを破断させた。

 とてつもない数の人型兵器が剣山なる岩山に群がっていた、15機は既に黒武者によって破壊されたがその数はまるで減った様に見えない。

「ロッカー一機相手に送り付ける数か!」

 通信が通っておらずコクピットにしか響かない一喝と共にハガネは手斧で斬りかかってきた一機を合気道の原理でトモエ・スルー、遠巻きに友軍ごと撃とうとした不埒者に投げつけ、ダメ押しのクナイスローでまとめて急所を破砕貫通。

 ハガネの駆るフルメタルドーンこそが最大の障害と見た軍勢は黒武者一機に群がり始めるが、その一方で狼の頭部を肩部胸部に搭載した地獄のロッカー冥王機に向かう群れもまた決して少なくはない。

 黒武者はあえて自身を追わせながら向けられた銃弾とミサイルの群れを空中跳躍からの急転換で誘導を回避、ターゲットを失った火力はごちゃついた雑兵共に誤爆し、何機もの機体が同士討ちで消し飛んでいく。

 同士討ちの現場を目の当たりにし怯んだ小隊のど真ん中に着地すれば手にした大太刀を大振りに回転斬り。周囲の迷彩装甲巨人達は一息に胴体を分断され瓦解、光がほどけるように消えてゆく。

 回転斬りの勢いのままに太刀を背負いなおすと、ネコ科肉食獣めいて地に伏せて、目の前の重装甲大口径大砲人型戦車に突貫、渾身の一撃で唐竹割りにすれば黒武者に向けられた砲撃は装甲をかすめて後方に着弾、巻き添えを食った何機かが跡形もなく吹き飛ぶ。

 ハガネの鬼神めいた戦いをより高い頂上より見届ける一機の灰色迷彩装甲巨人があった。手には不釣り合いな重機関ライフル、両背中には多連装ミサイルランチャーと指揮通信向けとみられる大型レーダー、左腕には武骨な物理射突杭を搭載したその異様は一山幾らの機体とは明らかに異なる強者・アトモスフィアをまとっている。

「クソ……ッ!オレの誘いを突っぱねるばかりか、そんな奴を頼るのか……!?」

 指揮官機たるその機体の中でガチムチのパワフルな女傑は怒りに歯噛みした。彼女は欲しいと思った人材は今まで全て確保してきた荒ぶる女豹だった。そして当然のごとくリキヤの事を諦めるつもりもなかった。

「お前たち!怯むんじゃないよ!ランカー相手たってたった一機なんだからね!」

 指揮官の鼓舞を受け、隊列を整え銃撃せんと身構える兵達のど真ん中を黒色の風めいた速度でフルメタルドーンが駆け抜けていった。引き金を引くよりもなお早く並んだ巨兵を恐るべき刀の斬撃が雀蜂めいて切り裂き、一呼吸おいてバラバラと地にばらまかれた所をテンションが上がった冥王の紫電が蹂躙し瞬く間に灰塵となって消し飛んだ。

 ハガネは周りを囲んでけん制する雑兵共を歯牙にもかけずクナイを高見を決め込んでいた指揮官機へと投げ放った。重機関ライフルの大口径弾の掃射を受けて砕け散るクナイ。

「サンシタじゃ話にならん、お前が来な」
「言ってくれるじゃないか!ボッチのランカー気取りが!」

挑発を受け、指揮官機が黒武者の目の前に降り立つ……!

【UE:ハウリング・ロア:ep-4 終わり ep-5へ続く

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