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全裸の呼び声 -7- #ppslgr

 いぶかしむ二人に対し、全裸集団は一様に戦叫をあげて襲い掛かった。

「裸ーッ!」
「む……ッ!」

 黒ずくめにとびかかった三人が彼の目前で止まる、いな、直撃を受ける前に両手と左ひざでもって受け流したのだ。レイヴンはすぐさま両側の二人を叩きはらい、マチェットへ手をかける!

「斬るな、レイヴン!」
「チィッ!」
「裸ーッ!」

 教授の静止に一瞬動きが止まったレイヴンを、全裸男の蹴撃が襲う。側頭部にヒットする直前にて、ガードからのカウンター短打!クの字に折れ曲がり悶絶する全裸者を乗り込えさらなる猛攻が襲い来る!

「裸ーッ!」
「裸ーッ!」
「裸ーッ!」

「ヌゥーッ!」

 全裸露出者がまるで達人のごとき身体能力で次々襲い来る様は、いかにも風邪時の悪夢めいた光景であったが、自身の肉体に伝わる衝撃がイヤでも現実であることを叩きこんでくる。

「裸ーッ!」
「くどい!」
『露ーッ!?』

 突き出された正拳を受け流し、みぞおちを蹴りぬいて背後に迫る後続ごと壁にたたきつけ、右側から迫ったもう一体を返す蹴りでなぎはらう。警戒し間合いをはかる全裸露出集団に対し、残心を保ったままにレイヴンはアノート教授へ視線を流した。

「だれ一人とっても達人みたいな身体能力のくせして、格闘術はまるで素人だ。つまりそういうことか?」

 その問いかけと同時に、全裸者の一人がゴルフボールみたいに吹き飛んで天井に激突、からの垂直落下で床に叩きつけられる。教授の手には隠し持っていたとは思えない、石造りの破城槌が握られていた。

「そういうことだね。まず、初回の脱衣の瞬間にわずかな筋肉の硬直によるタイムラグが観測された。そのことから彼らはおそらく、露出洗脳によって潜在能力を強引に引き出された被害者。殺してしまうのはおススメできないな」
「というか今の死んでないか?」
「峰打ちだから大丈夫」

 そういう問題だろうか、いぶかしむ暇もなく続々と全裸者が駆けつける。

「数が!多い!」

 いかな動きが素人とはいえ、超人的な身体能力で襲い掛かる全裸露出者を殺さず無力化するのは簡単ではない。二人がリズムゲームめいて全裸者を叩き伏せるも、次々と増援が駆けつけるではないか。

 壁際でモルモットのように震える依頼者の盾となり、二人はテンポよく全裸者を叩き伏せ、蹴り飛ばし、打ちのめす。ボーリングピンめいて宙を舞う全裸集団!その裏で、正気を保っているバーの客達も、全裸刺客集団を各々叩きのめしていく!

「カァッカッカッ!惰弱な非脱衣者のクズにしてはやるではないか」

 バー店内に打ちのめされた全裸者の山が二つ三つ出来たころ、哄笑と共に一人の大男が入店する。その男は不似合いなチョビ髭に、当然のように全裸にて自身の巨塔のごとき筋肉質の肉体を見せつけ、その両手には哀れな来店客が吊り下げられていた。

「今回の本丸か、姿を見せずに洗脳客送り込んでた方が良かったんじゃないか?」
「ぬかせ!所詮惰弱なる非脱衣者に、われらの祝福をいくら与えたところでクズはクズ!送り込んだとて無駄であるならば、ワガハイが直接葬ってくれようぞ!」

 全裸髭男は両手の犠牲者を高々と吊り下げる!

「裸ーッ!」
「アアアアアアアアアーッ!?」

 おぞましい悲鳴と共に、犠牲者達の服が、はじけ飛んだ。

【全裸の呼び声 -7-:終わり|-8-へと続く第一話リンクマガジンリンク

注意

このものがたりは『パルプスリンガーズ』シリーズですが、作中全裸者については特定のモデルはいない完全架空のキャラクターです。ご了承ください。

前作1話はこちらからどうぞ!

現在は以下の作品を連載中!

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