ノースシ・ノーライフ(4-1)
「プロテイン・スシ……プロテイン・スシ……一体何をどうすればプロテイン・スシに……」
重金属酸性雨降りしきる、ここはネオサイタマのアヤセ・ジャンクション工場地帯区画。霧雨をかき分け悪目立ちすることこの上ない七色の防水フードをかぶって思案しながら歩く男性が居た。
彼の名はレインボーフード、ニンジャである。レインボーフードはネオサイタマに存在するじゃあく犯罪組織「ソウカイヤ」に属するサンシタ・ニンジャにして、スシ職人であった。
普段、彼はソウカイヤ・アジトの一角にある構成員向けスシ・ショップでのスシ握り労働を課せられているのだが、今日この日は来店客よりオーダーを受けた「プロテイン・スシ」のレシピを発案すべく手がかりを求めてネオサイタマの街中をさまよっていたのだ。
「タンパク質と言えばトーフなんだが、トーフをそのまま握ったら崩れちまうしな……」
レインボーフードはニンジャにしては控えめでさほど邪悪ではない方だが、スシについては突出して狂気の領域にあった。ソウカイヤに所属しているのも、生きてスシが握れるからという徹底ぶりである。当然、自分がわからないスシであっても大真面目にオーダーに応えるべくこうして探索に出ていたのであった。
そんなスシ狂いのレインボーフードのハンドヘルド式携帯UNIXに打電が入る。通知は赤、緊急事態だ。生真面目なレインボーフードはすぐさま応答した。
「ドーモ、レインボーフード=サン。ソニックブームです」
「ドーモ、ソニックブーム=サン。レインボーフードです」
「おう、レインボーフード=サン、余暇のとこわりぃが緊急事態だ」
緊急事態。剣呑な話である。レインボーフードのメンターであり、上司であるソニックブームはレインボーフードがワザマエとしては箸にも棒にも掛からぬサンシタ・ニンジャであることをよくよく承知しているため、よほどの事態でなければこうしてミッションを指示する事はない。息を呑んでソニックブームの言葉を待つレインボーフード。
「トーフ工場の見学に出ていたラオモト=サンの御子息が居る施設が武装アナキストの連中に襲撃を受けた。一番近いお前が駆け付けて御子息を救出しろ、わかったな?」
「ハイヨロコンデー!」
「いい返事だ、詳細なポイントは他のヤツに送らせる」
最低限の情報だけをレインボーフードに伝えると即座にソニックブームは通信を切った。おそらく後詰めのニンジャにも指示を出しているのだろう。それだけ一刻の猶予もないという事だ。
通信終了と共にレインボーフードは駆け出していた。普段はスシの事ばかり考えている臆病なスシバカニンジャのレインボーフードであったが、この時は違った。レインボーフードは元々は所帯持ちのスシ職人であり、公的には死亡しているゆえ、今では会う事の出来ない妻子がいたのだ。息子の年のころはラオモト・カンの子息と同程度、ゆえに彼はこの事態を見過ごす事は出来なかったのである。
走れ!レインボーフード!走れ!
【ノースシ・ノーライフ(4-1):終わり:4-2に続く】
レインボーフードエピソード第一話についてはこちら。
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