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マン・ハンティング・ウィズ・ポスト・アポカリプス 2

 通り名を呼ばれた青年はサイコパスその物の笑顔で戦慄するモヒカンに答えてやった。モヒカンは機械化されたサイバー下半身から潤滑剤が失禁!メカホースをしとどに濡らす!

 奥に控えていた一番ベテランらしき人狩り機械化モヒカンがメカホースを駆けさせれば手斧を振りかぶりパワードスーツに一撃を見舞う!金切り音が響き手斧はパワードスーツに搭載されたオルタードカーボン製シールドに弾かれた所をフィンガーナイフアームによる回転ノコギリめいた斬撃を見舞われた!

「アッギャッギャギャギャバーっ!」

 チュミミミミーィン!杉木材をカッティングする伐採マスィーンの様にあっさりとベテランモヒカンの首は切断!続いてドリル状に並んだナイフフィンガーがベテランモヒカンの胴体にぶち込まれひき肉化!撒き散った肉片がメカホースを赤く濡らす!

「なっ、何もそこまでしなくてもいいだろっ!」

 同僚二人のホラームービーでもめったにないような悲惨な末路に生き残りの機械化モヒカンは涙ながらに訴えるがブラッディジャンカーと呼ばれた青年はヘラヘラと笑ったままだ。

「何がだよ、こちとらお前らがどうせ生きて帰った所でウチの事業の邪魔になるだけってわかりきってるんだぜ?ならよ」

 ガキィーン!荒々しい金属音と共に杭打ち機に鉄杭が装填される!漢の武器!パイルバンカーである!

「潔く死んでオレの日収のコヤシになれ」
「ひっ、ヒィィィィッ!?」

 話の通じない殺人狂に機械化モヒカンはなおも潤滑オイルを失禁!メカホースを操って一目散に逃げ始める!その速度は生身の馬の三倍に迫る!

「逃がすかよ」

 パワードスーツの脚部に搭載された無限軌道キャタピラが高速回転!プロキオン社謹製のメカホースにみるみる追いすがっていく!10M!5M!1M!ガシュコォン!

「オラァッ!」
「アバーッ!」

 パワードスーツの腕から突き出されたドラキュラ伯爵でも一発で木端微塵になりそうな大型パイルバンカーは見た目通りサンシタモヒカンの上半身を爆発四散させた!辺りに舞い散る肉片!乗り手を失ったメカホースは徐々に減速し歩みを止めた。

「よーしよしよしよし、プロキオン社のメカホース三頭無傷なら上等だぜ」

 直ちにパワードスーツ内部に搭載された無線LANを介しハッキングを行う。乗り手のいないメカホースのセキュリティなど開きっぱなしのトイレのドアより無防備だ。三頭ともすぐにブラッディ・ジャンカーに追従する。

「とはいえ、いらん残業しちまった。クソ、シラセのヤツ残業申請受け取れよな」

 誰に言うともなく一人ゴチながら拠点への自動操縦をセットすると自身は携帯UNIXを使ってソフトウェアエンジニアリングを再開する。仕事ではなく、趣味だ。青年の業務時間と職務はとっくに終わりを告げており、モヒカン三人を無惨に始末したのは単に婦女子を追い回しているクソザコナメクジ共が目ざわりだったからにすぎない。

 このご時世、人間の需要と供給のバランスは大きく需要に傾いた結果、企業に対して人材を遇する人狩りが横行、それによって老若男女問わず拉致されては暗黒企業に監禁され24時間労働を強要されるというジゴクのような世の中になっていた。その中でも、人材価値のあるエンジニアはマトモな企業に渡りをつけ、こうして短時間労働を謳歌しているという次第であった。

 完全に拠点に戻る気分でいた青年を自動操縦による緊急停止の制動が襲う。不機嫌さをあらわにしてUNIXの画面から路上に視線を移すとそこには先ほどまで腰を抜かしていたブロンドをショートにした愛らしい少女が腕を広げて立ちはだかっていた。

「んだよ、無事に済んだんだからとっと帰んな。働いた分の請求はウチの社長にするからよ」
「わた……」
「綿?」
「私を弟子にしてください!」

 想定外の返事に青年は眉をひそめた。

【続く】

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