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辛い麺メントの翌日は野菜たっぷりポトフで休胃!

「おぅべぁ~~~~~……」
「うぐごげぇ~~~~……」

バー・メキシコの昼下がり。
大の男二人が丸テーブルに突っ伏して、人知を超えたうめき声を発していた。一人は清代ころの中国民族衣装、もう一人は眼鏡にゆるカジュアル。どちらもパルプスリンガーである。前者はホイズゥ、後者はモモノという。

名状しがたい苦しみっぷりの二人に、同じくバーのパルプスリンガー、緑つなぎのサカキは胡乱なものを見る目つきで二人を見たのち、視線を隣の中世医師姿のジョン・Qに流した。

「どうしたんだいあの二人」
「どうもこうもせんわい、単に辛いモンを食いすぎただけじゃて」
「それだけ?」
「それだけ」

サカキは手に持ったCORONAをラッパで飲み干したのち、二人の卓に歩み寄っては尋問めいた勢いで問い詰めた。

「一週間前の夕食」
「こ……CoC〇イチの限定カレーうどん辛さMAX……」
「その次の昼食」
「たぁ……台南飯店の爆弾つゆそば唐辛子臨界突破……」
「今日の朝」
「175℃汁なし担々麺辛さ30レベル……」
「あっきれた!そんなもんばっか食ってたら調子崩すに決まってんだろう!?」
「おっしゃる通りでございます……」

ホイズゥは、ずれていたつば無し帽子をかぶりなおしてちらりとジョンの方を見たが、老医師はハエを追い払う手ぶり。

「辛いモンの食いすぎにつける薬なんぞないわい、おとなしくしとれ」
「そこをなんとか……たのむんだぜ……」
「無いったらないちゅーねん、ホンマめんどくさいやっちゃな」
「おぼろろろろ~~」

すげなく扱われたホイズゥは諦めて卓に突っ伏し直した。
モモノも青息吐息で卓にしがみついてうわ言を吐き出している。ひどい有様といえた。そして、同時に盛大な腹の虫が店内に響き渡る。

『腹減った……』

か細くうめいた二人の前に、振動を伴ってスープボウルが叩きつけられた。
ゾンビめいて顔を起こす二人。ボウルに入っているのは澄んだ琥珀色のコンソメスープに、キャベツ、カブ、ブロッコリーに実にデカイソーセージが入った代物、つまるところ『ポトフ』であった。

二人がのっそり顔をあげると、黒い男が仏頂面で彼らを見下ろす。

「ついでだ、食うなら残すなよ」
「お前が作ったのかよ!?」
「ホイズゥは前も俺が作ったもん食ったろうが」
「いやあん時はカレーだったしカレーなら誰でも作れるし……」
「カレーを甘く見るな、作れんやつは作れん。それはそれとして食うのか食わんのか」
「お、おう。いただく」
「さんきゅ~……」

自炊する気も外食する気も失せていた二人は力なくスプーンを握って、その琥珀を煮とかしたような液体を口に運び……味わった途端に深々と息を吐き出した。

『じんわり美味い……』

ホイズゥがカブをつついて口に運ぶと、時間かけてじっくり茹でられた根菜、それもカブ特有の甘みが口の中にとろけて広がる。

「カブがあめぇ……」

モモノがえいやっとバカデカソーセージをつまみ上げてかじりつけば、口の中に腸詰めにぎっちり詰まった肉汁が弾け、それでいて刺激が強すぎずに舌を満たしていく。

「うっわ、このソーセージめちゃんこジューシィで肉肉しくて美味いしでかい!」

スープをすすり、野菜をがっつき、ソーセージを食いちぎる。あれよあれよというまにポトフは二人の腹の中に収まっていった。

『ごちそうさまでした!』
「おう、お粗末様」

二人が食べ終わった器をひっつかんで、作った本人はバー設営のセルフキッチンに戻っていく。その背を手をふって見送る二人。

「よし、レイヴンのおかげで人心地ついたし……」
「やることは一つ、だよな?」
「おうとも」

二人は椅子を蹴立てて立ち上がり、拳を突き上げた。

『今晩の辛い麺メント候補店の洗い出しだ!』

二人の宣言に、店内一同、盛大にずっこけたのであった。

「こりん奴らじゃのう、ほんまに」

【終わり】

材料・レシピ

キャベツ:4分の1玉
人参:半分
かぶ:一個
ブロッコリー:適量
カリフラワー:適量
ロマネスコ:適量
↑上記三つは、まいばすけっとのミックス冷食を使うと便利
ウインナー類:食べたいブランドをお好みの量で。野菜5に対して2くらいがいい
水:具材の量にあった量
コンソメ粉末:用意した水の分量に合わせてか、味見しつつ調整する。
創味シャンタン:少々(隠し味なのでほんのちょっとでいい)
乾燥パセリ:ちょびっと

①:野菜はそれぞれ一口サイズに切る。各野菜は生から使う場合は具材にあった下ごしらえを。カット野菜とか冷食を使うとこの工程をはぶけて便利。

②:パセリ以外の材料をスロークッカーに入れて、スイッチオン!後は様子をたまに見つつ仕上がるのを待つ。超簡単。吹きこぼれないようにスロークッカーの内容量の8割くらいにしておこう。

③:五時間くらいたったら①を器に盛って乾燥パセリ粉末を振って完成!

このくらいガバでも、料理としては成立するぞ!変なものを入れないように注意だ!後ちゃんと作ったレシピなので安心していいぞ!それからもっとちゃんとしたやつが欲しいやつは味の素とか見れ!

現在は以下の作品を連載中!

弊アカウントゥーの投稿は毎日夜21時更新!
ロボットが出てきて戦うとか提供しているぞ!

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ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL