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逆噴射小説大賞2019-第4週

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逆噴射小説大賞2019-第4週に投稿された作品をまとめています。
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#パルプ小説

月の光が人を焼く

 私を縛る縄が痛いけど、舌の感覚もなくなったから言えなかった。  殴られすぎて頭がパンパ…

摩撫甲介
4年前
19

現実、虚構、セルバンテス、そして騎士

「で、マンブリーノの兜ってのは床屋の持ってたタライだったわけですよ」 「へえ、面白い」 「…

パウケン
4年前
8

「魑魅魍魎」が読めないヨーカイ

爽やかな朝。私は学校の門をくぐる。 いつもの友達が挨拶してくる。白い肌、黒い肌様々な見た…

3

10セントの命を追って

或る夜。月は寄せては返す波めいて、不穏な光を放っていた。 それは自然の警告にも思えたが、…

ばぷる
4年前
2

金剛石《ダイアモンド》の弾丸籠めて

「いいか? 撃てる弾は五発だけだ」  彼の声は、脳に直接響いてきた。  軽薄な、いつでも…

26

ロボティクス・センス

 肉体の枷から解き放たれたと思えば、待っていたのは機械の制約と無感覚の世界だった。冷え冷…

パウケン
4年前
15

安楽椅子のレジスタンス

「お願いします、どうか主人の死の真相を…」 目の前の婦人はさめざめと涙を流す。 「…婦人、お分かりでしょうが」 俺は棚の上に置かれた国家元首様の像にちらりと目をやる。 「『真相』なんて言葉は…その、よくない」 「あら…!ごめんなさい」 婦人は途端に青ざめた。慣れてない客はだいたいやってしまう。こういうときのフォローもプロの仕事だ。 「珈琲でも飲みますか?」 俺は国家支給品陳列棚へ向かうと、 「おっといけない!」 棚に詰まった物品を下にぶちまけた。わざとそうしたのだ。棚の上の国

P.S.エイミー

―――意識潜航深度888メートル。 敵性霊を検知。漆黒の深海を見透すと、蠢く触手が見えてき…

三宅つの
4年前
29

メカニカル・ピルグリム

「おい、そちらに何かあったか」 「いやダメだな…もうガラクタしか」 薄暗い部屋で、二人の泥…

7

囮の子ども(たち)

 いる。あれはすでにここに、俺の砦に這入っている。  私立儀典寺小学校校長、真備は自らに…

mktbn
4年前
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ワニガメを撃て

「シモヘイヘは老衰で死んだ」と三度唱えろ。俺の中に根差した経験がそう囁く。狙撃手が直接命…

狐
4年前
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エスカレーターGERO

★吐しゃ物の表現がありますので、ご注意ください。また、お仕事がつらい方は、ご遠慮ください…

優まさる
4年前
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