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逆噴射小説大賞2019-第4週

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逆噴射小説大賞2019-第4週に投稿された作品をまとめています。
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記事一覧

セーラー服と魔獣狩り

 まるで漫画みたいだな、思わず俺はそう思った。  俺は再びあたりを見渡す。そんなに大きく…

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遺骸の森

いつからだろう、私はこの透明な湖の畔に立っていた。 具体的にいつからかはわからない。 意識…

加速スイングバイ

惑星探査機が地球の重力を使って宇宙へと旅立っていったように、皆誰かの力を借りて頑張ってい…

オダ
4年前
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シトロエンの孤独

 「ああ……海の匂いだ」  鉛色の雲が垂れ、松の防砂林は昼だというのに日暮れの影を落とす…

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超密着!世界ランタンロイヤル

 我が魂は年一度ハロウィーンの夜に甦る その時地上で最も強大なジャック・オ・ランタンを産…

ナガヤマ・カイジュー・ディフェンス社「ジェットセイバーⅤ」墜落事件

 全長50mを超える巨大な怪獣が、住宅を、電柱を、自動車を、総てを圧し潰しながら歩みを進め…

bluebird_kndk
4年前
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フローズン・オイル

西部開拓時代、アメリカ。ゴールドラッシュの終焉に見切りをつけた一団はさらに西へーーアラスカへ向かった。大西洋を北に進んだ一団をまず襲ったのはデナリから吹き付ける厳しい寒気だった。数フィート先も見えない地吹雪と吐く息も凍る夜の放射冷却によって、上陸すらままならなかった。一団は気づいた。オーバーオールではアラスカを開拓できないと。 白羽の矢が立ったのがフィルソン社だった。創業者のクリントン・フィルソンはアラスカ開拓団の要望に答え、頑丈なウールでできたハンティングジャケットの密度

弾除けの加護

深々と急所に刺したナイフを男から急いで引き抜く。その間にも背後で盾にしているテーブルへ銃…

十三夜
4年前
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月の光が人を焼く

 私を縛る縄が痛いけど、舌の感覚もなくなったから言えなかった。  殴られすぎて頭がパンパ…

摩撫甲介
4年前
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T.Q.B.ファイターズ!

 白く光る飛行機雲が、少年の視界を横切った。  それを眼下に眺めながら、少年は操縦桿に少…

9

或人形之足跡(アルヒトガタノソクセキ)

広漠とした荒野 普段ならば道を急ぐ商人が通るやもしれぬが今は誰も通りはしないだろう。 そう…

hurrytom
4年前
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木霊のエルフに施す薬

暑い。坑道に足を踏み入れた途端にむっとした熱気がルメの頬にあたった。緩く下って行くにつれ…

6

クロノロジカル・バックドア

「私を殺した人を探してください」 彼女の、依頼人の発言を聞いて、私は近年急速に蔓延してい…

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消えゆく世界、再生の街へ

自殺志願のこどもが笑ってる。 それでも、鼓動どくんどくん。 俺のこの気持ちは、絶望と呼べばいいのだろうか。 うっすらと月が顔を出す夕暮れ時、高校からの帰り道で俺が住むS市A区の空は無数のミサイルに埋め尽くされた。 こんな事態はやはり、空想科学(イマジナリー)が織りなす芸当なのだろうか。 想像力が物質を創造する科学技術、空想科学(イマジナリー)。世の中に公表されたのは2年も前ではなかったと思う。テレビでそのニュースを見たときには、難病の治療や貧困問題を解決する画期的な発明