カルロス・サインツの「俺はここにいる」。フェラーリが彼を困らせたタイミングでの宣言。

筆者 Jorge Peiro氏

 マドリード出身の彼は、スクーデリアが彼に来年のシートを残さないと言っている間に、ルクレールを越してチームリーダーに躍り出た。

 2022年のオーストラリアGP。カルロス・サインツはミック・シューマッハを必死に追い抜こうとして、残念なことにグラベルに捕まった。スタートで9位から13位に落ちてしまった後、順位を挽回しようとしていた。グラベルに捕まる中、彼のフェラーリをコース復帰させるために焦りながらマーシャルに助けを求めた。結果、彼のレースはわずか2周で終わり、ポイント獲得を必要としていた彼は、22年オーストラリアGPを手ぶらで後にした。当時、今とは異なる空気がマラネロにあった。「サインツはセカンドドライバーで、スクーデリアのリーダーであるルクレールが選手権タイトルを争っている」。実際、モナコ出身の彼は、そのシーズン308ポイントを稼いでフェルスタッペンに次いでランキング2位になった。

 その時から2年経ち、フェラーリの状況は一変している。マドリード出身の彼は、これまで以上に競争力を見せ付けて、チームのリーダーに名乗りを上げた。チーム内ではスペイン人の重要性とマラネロでの彼の新たな役割は明確になっている。チームアンバサダーのマルク・ジェネは、それをレース後に再認識したとダ・ゾーンで話す。「カルロスはフェラーリの復活に重要なピースだ」。赤い服を着て最悪の瞬間を味わった22年と同じ場所での勝利は一種のクーデターで、25ポイント以上に価値がある。来年、ハミルトンを迎え入れるために彼を捨てるフェラーリに対して、「俺はここにいる」と宣言した。彼らが失う才能を証明したのだ。

 サインツかルクレールか論争は終わらない。21年からの3シーズンは、跳ね馬のガレージで同等のパフォーマンスだった。去年のモンツァにように2人の競り合いで緊張が走った瞬間もあったが、大事には発展せない、いざこざのない緊張だった。限界ギリギリのホイールトゥーホイール。F1ではチームの相方と良い関係を築くのは決して簡単ではない。レース終わりの両ドライバーの無線は良い雰囲気だった。ルクレールはエンジニアに、「チームが最後にワンツーしたのはいつ?」と聞いた(それは22年のバーレーンGPまで遡る)一方で、サインツはモナコ出身の彼に愛のある態度を示した。「シャルルに近づくように言って。一緒に祝おう」と。そして、クルマを併走させてウイニングランした。


 極端なライバル関係は、ルクレールがスペイン人の功績を認めないことにはならない。「カルロスは良い仕事をしたのだから勝利に値する。彼は手術の後で信じられない週末を過ごし、素晴らしいレースをした。予選と決勝と最高の仕事をしたことは疑いようがない。だから勝利に値する」。サインツは、モンツァとシンガポールで連続ポールポジションを獲得し、アジアの地で1勝を挙げる好成績で昨シーズンを終えた。今シーズンも同じレベルで走り出している。マドリード出身の彼は、25年にフェラーリのファクトリーを追い出される発表でモチベーションが上がっているようだ。彼は通算20回の表彰台と5回のポールポジションを獲得してきた。
 
 衝撃を受けるほど、彼は早く立ち上がる。ハミルトンの契約や盲腸の手術、そこからの回復も、ドライバー市場で再評価されつつあるスペイン人の調子を崩すことはなかった。来年のシートは未だないが、メルセデスのホスピタリティで何度か目撃されており、メルセデス移籍も除外できない。実際、レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーはオーストラリアGPの勝者にメッセージを送っている。「私たちは優れた2人のドライバーを必要としている。時々は外部を見なければいけない。今日のレースは失業中のドライバーが勝ったのだから、市場はそれなりに流動的と言える」。

●ルクレールとの接戦
 サインツとルクレールの比較は頭を悩ませる。フェラーリで僚友となってからの彼らのデータは非常に等しい。ルクレールは、ポイントをより稼いでいるが、双方とも赤い服での勝利は3勝。昨シーズンの彼らはコース上で互角の成績だった(サインツが200ポイント、ルクレールが206ポイントを獲得)。そして今年も再び同じことが起こるだろう。モナコ人の選手は47ポイントでドライバー選手権2位。1レース出場が少ないながら、40ポイント獲得したスペインの選手とは、わずか7ポイント差だ。グリッドで最強コンビの一つは、4年目の共に過ごす最後のシーズンで最高の接戦になる。

frente: https://www.relevo.com/formula1/carlos-sainz-saca-mejor-version-20240324104245-nt.html.

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