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『小公子』レビュー

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『小公子』

フランシス・ホジソン・バーネット(著)・川端 康成(翻訳)

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児童文学の古典的名作。

しかも川端康成訳!!

でもって今回なんと山田章博さんの絵が表紙ですよッ!

思わず見つけて即買いですw(山田章博さん好きなんですよぉー)

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で、良くみたら(遅い)小野不由美さんが帯書かれてますね。

いわく、

小学生の頃はバーネットの『小公子』が異様に好きだった覚えがあります。川端康成訳の本を貰って、事あるごとに読み返していました。(中略)改めて振り返ると、小さい泰麒は、川端訳のセドリックの影響をもろに受けていますね〉(「小野不由美インタビュー『十二国記』の世界」「波」2019年11月号

だそうです。あああ、たしかに! あの感じ、まんまです!

と、いうわけで、小野不由美ファンもぜひw

めちゃくちゃ愛くるしくて凛々しくてちょーかわいいセドリックにハートを射抜かれちゃうこと間違いなしです☆

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古典なのでとっくに内容ご存知の方もいるでしょうけど、簡単にあらすじを書いておきますと、

アメリカに生まれた少年・セドリック。彼は物心ついたころに父親を亡くしましたが、大好きなお母さんに愛情深く育てられ、その愛情を周囲の人にも惜しみなく注ぐ、清く正しく美しい(マジで)三拍子そろった非の打ちどころのない少年でした。

そんな彼の元に、イギリスの伯爵が祖父であり、その後継ぎが自分であるとの知らせが舞い込みます。
アメリカで育ち、貴族なんて存在すら知らなかった少年が海を渡り、伯爵家で暮らすことになるのですが……。

というお話。

それじゃあただのシンデレラ・ストーリーの男の子版じゃないかと思われるかもしれませんが、このお話の肝はそんなところではありません。

まったく人を疑うことの知らない善良なセドリック。彼が周囲に振りまく、なんのてらいも下心もない「愛情」がとにかくすごい。

そんな愛らしい少年の無垢な気持ちに対して、誰が悪心をいだくでしょう。彼の笑顔が比喩ではなく周囲を明るく変えていきます。

当初、アメリカにわたって勝手に下賎な娘を嫁にした息子(死んだセドリックのお父さん)を勘当し、あらゆることに憤りを感じ意地悪で傲慢だった祖父の伯爵すら、セドリックに接することで心動かされ、だんだん変化していくのです。底意地の悪い伯爵を、世界一善い人だと信じ切る少年の眼差しがもうかわいいのなんの。
こうしてガチガチに凍り付いていた伯爵の心も溶かされていく。このあたりの流れがとても見事です。

始めのころは伯爵になることにそんなに興味のなかったセドリックが、祖父との心の交流を経てりっぱな後継ぎになろうと思い始めた、そんな時、彼らの元へ驚くべき悲報が舞い込みます。

…っと、この先は、ぜひ、本書をご覧くださいませ。

小野不由美先生もとりこにした児童文学の粋を、ぜひ川端康成訳で読んで見ましょう。めちゃくちゃよいですよー☆


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