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『なんでもPythonプログラミング』レビュー

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『なんでもPythonプログラミング 平林万能IT技術研究所の奇妙な実験』

平林 純 (著)

Hirax.net というサイトをご存知でしょうか。この本の著者の平林先生が昔からやられている奇妙な科学と好奇心情報サイトです。私がインターネットに住み着いたぐらいのころからすでに老舗だった、いろんな実験や科学的な考察が繰り広げられているちょー素敵な知性派サイトなのです。

ここの「できるかな?」コーナーがとっても大好きだったのですよねー。しばらく更新がない(たぶん平林先生が忙しかったころ)日々が続いていたときに離れてしまっていましたが、久しぶりに見に行ったらその後もちょこちょこ更新されていたかんじですね。

さて、そこでよく書かれていたような「普通やんないでしょ!」的な実験や真面目に計算したらあれあれ変なことになっちゃったぞ? 的なネタをコンピュータパワーを使ってうまく料理している記事が、雑誌『Software Design』に連載されていて、毎月楽しみにしていたのですw

気が付けばその連載も終了してしまっていて、あらぁ~。人気なかったのかなあなんて思ってましたら、なんと、それが集まって単行本になっていました!

これはマストバイです!!

なんていうかプログラムの手法の記事というよりは「無茶すればこんなことできちゃうよ!」というイメージのけっこう無理やり(だけど面白い)な解法が平林先生流でとても興味深いのです。

ちょっと長いですが目次を紹介しちゃいます。

第1章 光の研究
1-1 スマホで血管年齢(動脈硬化)を診断してみる
1-2 1.5億km先で輝く熱い太陽,表面温度をはかる!
1-3 物体の材質感を決める「光の反射」をリアル再現
第2章 流体力学の研究
2-1 泡が沈む!? ギネスビールの謎を解く!
2-2 Pythonで世界の地図を使って街の風を流体計算
第3章 音の研究
3-1 ステレオ音声動画の「音源方向」を可視化する
3-2 Python/Pyoで万能シンセサイザーを作る
第4章 画像処理の研究
4-1 「理想の肉体に変身できる」妄想カメラ
4-2 銀塩写真をスマホカメラで再現してみる
4-3 カメラを2台並べて「奥行きや色」を計測しよう
4-4 WebGLや立体ディスプレイで立体質感表示する
第5章 AR(Augmented Reality)の研究
5-1 「本当なら見えるはずの星空」を景色に重ねて映すカメラを作る
5-2 災害から犯罪情報まで「電脳メガネ」で眺める
5-3 風速や磁場を可視化するAR拡張現実ソフト
5-4 イヤホン端子と電子工作でスマホ機能を拡張する
第6章 三次元画像処理の研究
6-1 スマホのカメラで三次元立体顕微鏡を作る
6-2 スマホセンサ値で「三次元移動経路」を記録する
6-3 多視点撮影や動画撮影から三次元空間を作り出す
6-4 多視点撮影で「自由視点画像」を作ってみよう
第7章 物理計算の研究
7-1 カメラで「ビリヤードのボール軌道」を予測する
7-2 「バスケのフリースロー」で学ぶ物理計算
7-3 プレート境界で揺れ動く日本列島を可視化する
第8章 数学と分析の研究
8-1 手回し計算機で「円周率計算」に大挑戦
8-2 「身長・体重分布」を調べる「タレントの真実」をPythonで明らかにしてみる
8-3 アイドルの公称数字を統計分析してみよう
8-4 Jupyter Notebook上で大都市周辺の人流分析
8-5 Pythonで東証株解析をしてみよう

全8章、どれもこれも興味深い内容で、そいでもって「てんでバラバラ」w そして、けっこうかなり高度な技術をサラッとつかっています。

これがプログラム技術だけでの解決方法ではなく、現実的な問題をどうさばいて(?)解決するか、という「解法」のひねり出し方の解説が多いのがとても良いのです。
どうやれば難問も簡単な問題に分解して料理(?)して、目的を達成できるか。っていうパズルの解き方の上手いパターンを提示してくれていて、そうした問題解決パズルを解くちょークールな(そしてある意味雑なw)方法を指南してくれるわけです。

そして、どの章をとっても一つの章だけで十分一冊の本が書けるぐらいの内容の深さです。

平林先生の興味の赴くまま、8章の8方向に突き進んで、Pythonというお手軽なだけれどパワフルなコンピュータ言語と、100円均一ショップやそこらへんにあるグッズを使って(手回し計算機はなかなか売ってないですけどw)、やりたいことを何でもやっちゃう。いやー、おもしろいです!

さっそく興味のあるやつをつまみ食いしてなんかつくってみよっかな。って気にさせてくれますw

普通の入門書では書いていない「問題解決」についての良い例が沢山載っている本、別にPythonにこだわらなくてもコンピュータやいまどきのスマホ等を使って「何か(へんなことを)やってみたい」って人には確実に刺さる、とっても奇妙な面白本でした♪

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