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【器のはなし】照明にした蓋付茶碗をちょっとだけ語る

前回の宣言通り、蓋付茶碗の話をする。例の「蓋付茶碗を照明にしたらかわいすぎる事が証明された」記事で使用したものです。


茶碗の話に入る前に、器の名前についてちょっとだけ。「染付松竹梅図小皿」とか「織部五弁小鉢」とか、そういうアレ。

基本的に「絵付などの技法もしくは釉薬の名前」「描かれている図柄や構図」「器の形」の順番に並べて名前をつけている。例えば、前回のものは「染付市川海老蔵図5寸皿」と名前をつけることが出来る。染付=絵付の技法、手描きのこと。市川海老蔵図=前回解説した通り。5寸皿=15cmくらいの平皿。同じくらいの直径で深さがあると、5寸深皿、なます皿とまた名前が変わる。

色々言っても実物見ないと分からないんで、早速茶碗の話をしよう。



江戸幕末染付若松図蓋茶碗

江戸幕末染付竹林雀図蓋茶碗

若松の方、これが松と分かる人の方が少ないのでは。正月に小松拾いをする風習があったらしく、それの図柄だそうだ。松が枝ごと落ちてるのってあんまり想像付かないから、今度ちゃんと見てみよう。松ぼっくりが落ちてるイメージはあるけどなあ。

釉剥ぎが丸くあるのが個人的にとても好き。釉薬を剥ぐことで重ね焼きを可能にしたもの。これは伊万里焼ではなさそう。波佐見焼とかですか?産地はあんまり詳しくないので勉強中。


竹林雀は絵画などでもよく見る組み合わせである。取り合わせが良いことから。獅子牡丹、桐と鳳凰、葡萄とリスなど、これとこれはセットだよね〜っていう組み合わせがいくつかある。だいたい花札になってる。竹林雀は多分雀が竹林にいることが多かったんじゃないですかねえ。よく見るよね〜ってことでセットで扱われるようになったとかそういう?

個人的に、器に描かれている植物の中では竹が一番好き。竹の葉っぱのサササッと描かれる勢いの良さが良い。勢い良い筆致のものが多い気がする。



明治前期色絵窓絵に唐子と花図蓋茶碗

外側のインパクトも分かりやすくすごいんだけど、内側の魚も「わあ〜!」ってなるよね。内側に色絵が使われているものが少ないんだけど、これみたいにがっつり描かれてるものってなると更に少ない。だいたい縁周りくらいで終わる。縁周りでも色絵あったら手が良い方である。

手が良いというのは、出来がいいということです。「手」で筆跡を意味すると古文で習ったと思うが、器の出来でも使われる。あがりが良いものを「上手(じょうて)」、あがりが悪いものを「下手(げて)」と言う。「ゲテモノ」って関係あるかな?あってほしい。

染付は下絵付けなのに対し、色絵は上絵付けである。この上下は、透明釉を境にして絵付けがその上か下かということ。なので色絵は触ると表面がざらざらしていて、タワシとかでガシガシやると剥がれる。



江戸幕末染付麦藁手蓋茶碗

縦縞のことを麦藁手(むぎわら-で)と書いてみたが、木賊文(とくさ-もん)と書いても良いかもしれない。なんとなく、木賊の方が太めのイメージがあるからこれは麦藁かなあと。まあ、縦縞でも良いんだけど。

見込みに亀がいるのと縁に亀甲が書いてあるのがとっても良い。これがなかったら買ってるか微妙なところ。亀が可愛い。見込みに亀は少ないですよ。あと縦縞も少ないですよ。これは本当に良いです。


今回はこんな感じで。普通に持ちもの紹介になっちゃった。いや、毎回持ちもの紹介ではあるんだけど。次どうしようかな。何やるか考えておこう。

次回更新 11/7:器の話をする予定。何にしようかな。
※だいたいリサーチ不足ですので、変なこと言ってたら教えてください。気になったらちゃんと調べることをお勧めします。


めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。