脳細胞0.0001個・らのもん

1以下の脳細胞を酷使して小説を書く20代男性会社員。普段はオフィスでモジモジしてます。…

脳細胞0.0001個・らのもん

1以下の脳細胞を酷使して小説を書く20代男性会社員。普段はオフィスでモジモジしてます。ちゃんと働いてます。

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マグマに籠る

あらすじ 氷山に覆われた戦艦になった主人公は、本能に従って火山島を目指す。 彼が何千年も彷徨って探し求めた火山島には、マグマに籠る「君」が待っている。戦闘機や駆逐艦の攻撃にも耐えつつ再会を果たすが、力尽きた主人公は、「君」と共に深海へと沈んでしまう。 その後、海底火山で目を覚ます主人公は「君」と再び未来を創りたいと願うのだった。 ※本作は読み切り作品です。 本文  目を覚ました時、僕は氷山に埋もれていた。それもただの氷山ではない。僕が一体となっていたものは、厳密に

    • 台風を片手に君を叫ぶ。

      あらすじ 主人公は、意中の相手に思いを伝えるべく台風を発生させた。 台風が暴走し始める中、彼は彼女以外の人々を遠ざけ、二人きりになることを願っていた。恋愛未経験の彼が思いつく告白の手段はこれしかなかったのだ。 しかし、待ち合わせの時間よりも彼女が早く現れ、緊張のせいで台風が暴走を始めてしまう。 それでも、勇気を振り絞り、台風の中で彼女の名前を叫び、思いを伝える。 ※本作は読み切り作品です。 本文  実験を重ねた甲斐があった。放課後の屋上で、僕は台風を発生させてみ

      • 炎天下、僕は3車線を歩いた。

        ※本作は読み切り作品です  起爆装置を片手に、僕は3車線の道路のど真ん中を歩いていた。炎天下、大粒の汗が頬を伝う中、意識が朦朧していたが、あの時の僕は革命を起こすことで頭が一杯だった。それだけは間違いなく覚えている。  僕が暮らす街は大都会とだけあって、ただでさえ昼間は騒音でまみれているのに、その日はいつも以上に騒がしかった。全方位からクラクションが耳を裂いたり、さまざまな怒号が僕に降り注いだ。そして、なんだか遠くから徐々にサイレンが近づいている。更には、高くそびえ立つガ

        • 故に、僕は空港で混沌に包み込まれた。

           旅行にトラブルはつきものだ。中には、旅行計画が頓挫してしまう大事態に陥る場合もあるだろう。このような不幸を未然に防ぐには、用意周到な計画が不可欠だ。  昨年の秋、筆者は京都旅行を計画した。約2か月かけて紅葉の名所、交通機関、宿泊地等を調べた。そして、旅行当日。文字通り準備万端、心を躍らせながら空港へと足を運んだ。  だが、空港で幸先の悪い事態が起きてしまった。結論から申し上げると、飛行機搭乗前のチェックイン方法を十分に把握しておらず、保安検査場を通過できなかったのである。

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          【チェンソーマン】チェンソーの味が出まくっている件について。

          ※このコラムには、一部ネタバレを含みます。   2022年アニメの中でも、とりわけ「チェンソーマン」(以下、当作)は注目を集めた。呪術廻戦やドロヘドロを手掛けた「MAPPA」がアニメーションを制作したことや、キャラクターの再現性の高さ等、話題を呼ぶ要素が多くあった。  そして、本作中の魅力の一つにアクションシーンが挙げられる。そこで、今回は筆者が感じた、当作に登場する「デンジ(チェンソーの悪魔)」のアクションシーンについて、その魅力を紹介していく。具体的には、チェンソーで

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          AIがクリエイターを食い殺すかもしれない件について。

           今に始まった事ではないが、相変わらずAIの進化が凄まじい。新聞を読む中で週に2,3回はAIに関する記事を目にするが、近い将来、AIはクリエイティブの分野も手中に収めるのではないだろうかと考えることがある。「杞憂だ」「AIに仕事を奪われることはない」「AIにクリエイティブはマネできない」等の声もあり、筆者はそのような意見を否定する立場ではない。しかし、最近、AIの創造性に対して、少し危機感を感じる体験をした。それは、先日何となくApp Storeで「Uni Dream」という

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          「全」クリエイターに捧ぐ。「ぼっち・ざ・ろっく!」 必見シーン

          ※このコラムは一部ネタバレを含みます。 「ぼざろ」こと「ぼっち・ざ・ろっく!」が人気を博している。「ぼっちちゃん」の愛称で登場する、ヒロインの「後藤ひとり」の誇張された「コミュ症あるある思考」や、彼女と個性的なバンドメンバーらとの交流など、その面白さに気づいた筆者は確実に5周はアニメを視聴した。その過程で、クリエイティブな活動をする人に刺さる、示唆に富んだシーンを発見したので、紹介させていただく。  まず、簡単に該当シーンに至る経緯を説明する。バンドを結成したヒロイン一同

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          「すずめの戸締まり」冒頭約10分の●●が凄い件について。

          ※このコラムには、一部ネタバレ要素を含みます。   世間で話題を呼んだ「すずめの戸締まり」は冒頭に力点を置いた作品だと思う。具体的には、冒頭の約10分間で視聴者に複数の展開を提示することで、一気に作品に関心を引き寄せる戦術が盛り込まれている。そして、新海誠監督(以下、同氏)がそのような戦術を取り入れた背景には、現代人の「タイパ志向」が関係していると筆者は推測した。  「タイパ」とは、タイムパフォーマンスの略であり、文字通り「時間効率」を指す。つまり、時間効率を意識するスタ

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          毒裁

           「国を操るなど、タバコに火をつけるようなものだ。造作もない」   端正にスーツを着こなす紳士が、異様に落ち着いた会議室にて、柔和な口調でそう語った。彼は、自国「ニシキ」の長であり、自国を意のままに操作する独裁者だ。適度にシワが刻まれた優しい笑顔や、柔らかくセットされた銀白色の毛髪など、その見た目からは、独裁者の威厳を微塵にも感じられない。故に、この上なく異様な雰囲気を醸し出している。  この異質な紳士「ヤサカ」が独裁者になり得た理由は、ニシキに漂う「線香の煙」にあった。

          エンジェル演じるデビル

           あらゆる争いは、相手に非があることを前提に始まる。例えば、野良猫は縄張りに勝手に侵入した猫を駆逐する為に牙をむく。小学生同士の喧嘩では、相手のことが気に食わないから殴る。国会における討論では、野党が与党の政策方針に疑問を抱くから批判する。  それでは、戦争ではどうだろうか。もし、戦争において、自国の脅威となりうる第三者ーー害悪とも言える敵国ーーが存在する場合、理由は何あれ、まず相手国に非があり、自国が是とされるが世の常である。つまり、自国ではなく相手国が悪役であることが、戦

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          続・一寸法師

           活気が息を潜めた清水の舞台で、君は「宿敵」の奇襲を傍受していた。そして、君は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、白い息を静かに吐いて見せた。ストレートキャップを被っていて目元が見えない。  そもそも、君はどうして宿敵の奇襲を待ち構えているのか?それは、君が「一寸法師」だからだ。  今となっては昔の話だが、身長三センチ程の青年が悪さを働く鬼を懲らしめて、めでたしめでたし、という御伽ばなしがあった。しかし、このファンタジーには続きがある。いや、厳密に言えば、現在進行形の「逸話」である