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059 | ダダ100周年SPIRAL/GALLERY VOLTAIREを見て櫻井焙茶研究所に寄った






新宿中央公園から望むこの光景が好き。「STAR WARS」が登場する前の、‘70年代のトホホなB級SF映画のワンシーンみたいで。






先週日曜、ド炎天下の昼過ぎから自転車出して青山に向かう途中、新宿中央公園で休憩した。






予報では、この週末は連続台風で土曜も日曜も雨で、少なからず凹んでいたけど日曜の日中は晴れているのがその日に分かり、また青山spiralでDadaに関する展示と言うかイベントがあると知り、向かってみようと思い立った。

奇しくも2016年は、スイスはチューリッヒのキャバレー「ヴォルテール」でDadaが生まれてから100周年である。実は少し前、同じ趣旨の展示を早稲田大学會津八一記念博物館で見て興味が高まったから、わずかな点としてしか知らないDadaを、線か面にできるかなと見に来た。
Dadaはボンクラな私には未だ謎めいた芸術運動だけど、機会があるごとに関連するものを見ていれば、いつか「あ、そーゆー事なのね」みたいに、自分なりにでも俯瞰できるんじゃないかな、などと儚い望みを抱きながら。






そのDadaに関するspiralの展示と言うかイベントは、会期の前半で目玉と言えるものは終わってたけど関川航平による、無意味なDada的パフォーマンスがまだ打たれていて、それを見れた。かなり地味で、かなり強烈で、かなり笑った。

会場に置かれてたハンドアウトを見ると、芸術運動なのに「反芸術」を謳ったDadaの虚無な精神を(新世紀の催しとして)受け継いでるようだった。で、私が見たのは「8・21(日)14:59〜15:00 前後に揺れる」。
美術家の関川航平氏は、特に奇抜な扮装するでもなく、普通にシュっとしたにーちゃん的な風貌で、その関川さんがspiralのエントランスにさりげなく登場し、地味に前後に揺れていた、・・約1分間。
声を上げないよう噛み殺しながら笑った。お洒落ピーポーが集まる青山はspiralでその意味不明で地味なパフォーマンスは、かなり堂々と虚無的だと思う(微笑)。



その他にDada的なものと言えば、ミュージアムショップ兼お洒落雑貨コーナーで販売されてた、ウルトラマンの怪獣「ダダ」をデザインしたポスターやストッキングなどなど。
'60年代にはネオダダなる運動が再興し、それは極東まで波及して、荒川修作、吉村益信、篠原有司男、風倉省作、赤瀬川原平らがネオ・ダダイスム・オルガナイザーズなる組織を作り活動したけど、それから更に50年後の新世紀の東京では、Dadaからネーミングを得たウルトラ怪獣「ダダ」もその眷属として数えられる存在になっていた。
http://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_1956.html










メインのスパイラルホールではDadaとは特に関係ない、新進のアーチストの作品が「ブレイク前夜」と題され展示されていて、それも見応えあった。
不勉強で知らなかったのだけど「ブレイク前夜」とはBSフジの番組で、それで取り上げられたアーチストや作品が展示と即売もされていた。多彩な作品群、がんばっています(撮影可でした)。







http://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_2020.html









spiral5階の櫻井焙茶研究所に寄った。日本茶の茶房なのだけど、店名からしてキてます。AKI INOMATAさんが櫻井焙茶研究所に関してtweetしてたのをたまたま見た時に、クラフトエヴィング商會の世界観に似てるな、などと思ったものだから寄ってみた。

訪れたら実際素敵な茶房でした(↑画像にその素敵さが全然焼き込まれていない・汗)。
店内ディスプレイも、小売りする茶葉のパッケージも、さりげなくパキっとデザインがゆきわたっていて、道具や小物の多くも時間を経た感じのモノで占められ、実際パッケージなどに使われたものなのか “櫻井焙茶研究所” と刻まれた金属の活版がさりげなく置かれてたり(萌えた)。
店員さんも、店名に研究所とあるように、昔のお医者さんか薬剤師みたいな丈の長い白衣姿。



私の大好きなクラフトエヴィング商會の著作に「じつは、わたくしこういうものです」というのがある。それは月光密売人とか、時間管理人とか、冷水塔守とか、(冬季の深夜だけ開けてる私設図書館の)シチュー当番とか、実際には存在しない架空の職業人の名簿とでも言うべき、写真や図版を含む短編集だ。ココはそれに似てる、どこか浮世離れしている。けど勿論櫻井焙茶研究所は現実の茶房です。
奥の椅子席ではなくカウンターのスタンディングでお茶を淹れてもらったのだけど、白衣の女性店員さんから、あれこれお話を聞きながら、お茶を頂きながら、そんな事を思ったりした。

大きな声では言えないけど、私は普段アルコールと珈琲しか飲まない(なにしろ我が家にはお茶用の急須がない・苦笑)。でもこの時選んだ「黒茶」と呼ばれる愛媛の希少なお茶は美味しかった。それを焙煎できる職人は今は殆どいなくて、なんとか後世に残そうと奮闘しているのだそうだ。実際はアグレッシブで挑戦的な茶房なのだ。
黒茶の風味はちょっと紅茶に近い、またジャスミン茶みたいな華やいだ香りもちょびっとだけする、複雑な味わいです。発酵してるのでカフェインは然程強くありません。難しい発酵や過熱を経て出来あがる茶葉だそうだ。




白衣の女性店員さん、つかもはや女性研究員さんと、カウンターを挟んで対面して黒茶を淹れて頂いている立場上、淹れてもらってる間とその黒茶を頂いている間(たぶん10分くらいしか店内にいなかったけど)、黒茶に関するお話と言うか物語を伺ったり、私が割と自転車乗りっぽい服装だったからか「もしかして自転車で?」などと質問を賜り、そこから自分の自転車に関する話も図々しく、少しだけ返したりした。

アルコールをお茶で割った創作的な飲み物もあるとの事なので、それを頂きに夜来る時は、公共の交通機関を利用して来る、などと勝手に社交辞令的な約束をしてお店を出た。
黒茶とても美味しかったです、ごちそうさまでした。
http://www.sakurai-tea.jp






日没後は雨の予報だったから帰路を急いだ。
実際には夜遅くからしか降らなかったけど
青山の空は既に暗い色の雲が強い風で流れていたから。
が、いつも通る江古田商店街まで来たら
商店街主催の祭らしき屋台が出ていて
焼きとうもろこし(200円也)をに吸い寄せられ
往来の邪魔にならないよう自転車停め
その場でガジガジ齧った。



この日の戦利品?
新宿中央公園でなぜかセミの抜け殻を拾った。
(走行距離はいつも通りヘタレな34.58km)