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66【ギュッと握り返すその手】


8月27日
乙女座の新月、

“むう“という名に決めた

これで行く

アリー(有)から
むう(無有)へ


有に無を足す
無いのに足す

MAN&WOMANのMW


生まれ変わる
というか脱皮する

数えてみたら10個目の名前だった
何回めの脱皮やねん! 笑

このめんどくさいことに
付き合ってくれてる人
ほんまありがとう

でも
自分のエネルギーって変わるでしょ

呼ばれたい名前って変わるでしょ

決して出世してるわけじゃないけど
出世魚のように変えてみるの
結構、おすすめよー

ブリの呼び名はなんと100以上あるっていうし
蛇はどんどん脱皮する



抗がぶ剤が始まるまでに
旅行に行く!と
いろんな計画を練りルウと相談するも
どうも乗り気になれないらしく
どこに誘っても気のない返事

むむむ
あんまり行きたくないのかぁ

そして
朝のウォーキングの時に

ドキドキしながら

一人で久高島に行ってこようかなぁ


と呟いてみた

ガブちゃんがわかった時から
なんとなく行かなきゃという気になって
やりたいことリストの上位に入れてたのに
どうもいい出せず、ズルズルしてた

前に一緒に沖縄に行った時
斎場御嶽で不思議なおばあに声をかけられて
ルウが手を握られたことがあった

その時、そこから見えてた
久高島にも、行きたいなぁって
言うてたけどルウは船はいややから
行くなら一人で行ってきていいよーって
言うてたことも記憶に残っていた


え?
一人で?

うん

大丈夫?

うん


確かに本調子ではないけど
これを逃してこの後の抗がぶ剤の
副作用がひどかったらもっと最悪


ずっと行きたかったし
今行かないとずっと行けないかもやからさ

ルウも今、
二人で旅行する感じじゃないでしょ?

。。。。。。。

しばらく間があったあと


そうなのね
まぁ一人で行くのもいいのかもね
ルウは船乗れないし。。。

(やった!ありがとー)

とお互いの腹が決まった

ずっと先が見えない霧の中で
どっちに行っていいかもわからないまま
途方に暮れてたむうの視界が
スーッととひらけた気がした


こういうの大事よね

ルウはどうも、むうが手術の影響で咳をするから
きっと周りに気を遣って楽しめないんじゃないかと
ルウなりの配慮で今、旅行することを躊躇してたらしい

ウォーキングのあと
久高島の4つしかない宿で
1番小さい、おばあが一人でやってる
宿の予約をとった

飛行機は片道だけにした
調子を崩してもいつでも帰ってこれるように

これで20日まではメンタルもつな

むう、おばあと二人で大丈夫かな?

と一抹の不安を覚えつつ。。。


8月29日

ルウとお昼ご飯の支度のことで喧嘩

今日のお昼、なにぃ?と
ゆっくりしてるルウにお昼の準備を催促しながら
それを任せてむうは他のことをし始めてしまった

そんなこんなしてる間に
イライラが募ったらしく

急にプチンと糸がきれた

もうやだ!


これじゃまるで家政婦みたい

ほんとやだ




“家族としてしかみられない“問題があってから
どう接していいか完全に迷子になってる
むうの態度にルウの動揺が全身から
バッシャーンと溢れでてしまった様子

ごめんね
そう思わせてしまったならごめん



びっくりして謝ったところで
溢れ出たそれはもう止まらない

どんどんどんどん溢れ出て
つらい言葉が乱舞する

もう無理
一緒にいない方が楽
しんどい

この30年はなんだったんだろう

30年前に別れておけばよかった。。

離れよう 無理だよ
耐えられないもの


あーあ

あーあ

口ではそういってるけれど

むうもルウも互いに
離れたくないのは明白だった


離れるのが怖ければ怖いほど
誰にも拾われないその言葉たちは
その空間で留まり、荒れ狂った

痛かった
つらかった
悲しくなった
だけど今じゃない
離れるのは今じゃない


むうは言った

たとえどんな形になったとしても
むうはルウと一緒にいたいと思ってるよ


もちろんルウが良ければやけど。。

だからさ
そんなに慌てて
結論を急がなくても良くない?

もうちょっと様子見ようよ

家政婦みたいに思わせるようなことは
しないようにするからさ

(ごめんね
 こんなむうでごめん)

そうして
その場は一旦、落ち着き
その夜、のん、ゆー、むう、ルウで
スウの家に行き、のんの最後の晩餐をした


8月30日

のんが高知に帰るため空港へ向かう

空港の第3駐車場でのんとゆーを降ろし
むうとルウで第2ターミナルへ車を停めに行った

そこから二人、長い長い通路を歩く
いつもなら絶対、必ず、確実に手を繋ぐ

だけど、繋げない

昨日はああ言ったけど
むうも結構、痛手を負っていた

近づこうとしても近づけない


昨日、言葉を吐き出したことで
ルウは少し、落ち着いたみたいだけど
逆にむうはもっと迷子になった

あんな風にあの場をおさめたけど
それでよかったの?

また当たり障りない関係維持のために
なんでも無かったように仮面をつけて

ずっとずっと出てこないで出てこないでと
気を遣いながら日陰の道を歩いて行くの?

本当にそれでいいの?


それがいやだからこんな面倒臭い
告白したんだよね?

どうなの?
ほんとにほんとに
元の鞘でいいの?

怖いよー
怖いんだよー
壊すのが手放すのが怖いんだよー

出発の時間が迫り
娘たちが迫っていた

彼女たちの前では
バカップルなままでいてあげないと
この瞬間の関係がずっと残るんだから。。

昨日も
京都旅行のお土産ということで

二人に小さくてかわいい
幸せのお守りをもらっていた

これからもずっと仲良しでいてね と

自分達のお小遣いで買ってきたよ と

第3ターミナルに入り
遠くに二人の姿を見つけたところで

むうは黙ってそっとルウの手をとった


一瞬の戸惑いのあと
ルウはその手を

ギュッ

と握り返した


行ったり来たり
行ったり来たり

自分を生きるって難しい
誰かと生きるって難しい

でも
だからこそ
だからこそ。。。。。



のんにハグし
ゲートで見送ったあと
そのままハンバーガーを食べた

今まで食べたことのない
その店で1番高いハンバーガーを
ルウと二人、わけわけして


教訓
:物事は思う通りに進まない
:だけどきっと誰かが見てる気がする
:大いなる誰かが
:まずは自分をちゃんと生きよう
:そして相手を大切にしよう
:時間が解決することもきっとあると信じたい

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