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みみずくは黄昏に飛びたつー川上未映子(訊く)・村上春樹(語る)


このお二方の紡ぐ言葉は、わたしの日常を彩ってくれて、思い悩んだ時にもやを晴らしてくれる時もあれば、立ち止まることも必要だよと言ってくれる。

彼は終始、覚えてないなぁ。と言っていて笑った。
人柄が出る面白い対談だった。
特に好きなのは、フェミニスト川上未映子として切り込むような質問をしている箇所。
そして彼女が村上作品を『わたしたちが現実だと信じているものにゆさぶりをかけるものとして存在している』と表現されていて非常に納得。

彼は右向けって言われたら左を向く人間であると自らを語っていた。
【自分の人生には自分しか、責任を取れないから。】
というメッセージは彼の作品の至るところに溢れていると個人的に感じていたので、多分わたしは彼の言う【地下二階】へ、知らないうちに引き込まれていたんだろうなと思った。

ねじまき鳥を書いた直後の河合隼雄との対談本の印象とは随分変わっていて、円熟味のようなものが増し増しだった。より一層、『どこかに所属していない感』が強くなっていた。

河合隼雄との対談では、アンダーグラウンドの制作にも取り掛かる手前の対談やったから、これはどうしてもやらないといけないみたいな熱を感じた。

村上春樹という人間は、自分という器を使って色んなことを試しているように見える。あれが出来たら次これやりたい、と欲望にかなり忠実な人だ。スピリチュアリストと小説家は似ている?の箇所が良かった。雷みたいに降りてくるモノをちゃんとキャッチできる人なんだろう。

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