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イタリア・南チロルを歩く 第2回目 Auer/Ora

こんにちは。現在閑散期絶好調のイタリア最北部の州アルト・アディジェ州、別名南チロル地方の小さな村に住んでいますranaこと、美波ラーナです。

さて、今回は前回紹介した Neumarkt/Egna、

この村より一つ北へ進んだ村、Auer【独】/Ora【伊】をブラリと歩いていきましょう。

北はイタリア最北部ブレンナー峠まで伸びる高速道路A22の「Egna-Ora-Termeno」という、嘘みたいにダダ長いインターチェンジ(Casello【伊】)を降り左折して北へ少し行くと、広大なリンゴ畑が広がる村Auer/Oraに入ります。ドロミテ渓谷へ上っていく道はここAuer/Ora から始まります。「ドロミテ渓谷への玄関口」と言っても過言ではないでしょう。

人口はおよそ4000人、周辺の村と比べると人口は多い部類に入ります。街の真ん中に目抜き通りの小さな広場に村役場(Rathaus【独】Municipio【伊】)、その隣に観光案内所があります。他には銀行やカフェ、地元のレストランなどが集まっており、住民はいつものカフェでコーヒーを飲んだり、仕事終わりに地元で作られているワインを昔からの顔馴染みと楽しく話しながら1日の終わりを楽しんだりと、側からみれば「たったこれだけ?」とびっくりしてしまうような規模ですが、皆が思い思いにここで時間を過ごしているのが感じ取られます。

目抜き通りにあるカフェ

目抜き通りから東側へ少し上ると村のシンボルの教会が見えてきます。どんな小さな村でも必ず教会はありますね。教会に使われている緑基調の瓦が印象的です。

村の教会

教会の隣には、なんとワイン畑が!そして畑を闊歩する勇ましい鶏たち。どうやら農業高校の生徒さん達がワイン作りを学習する過程で利用する畑だとか。南チロルはワイン作りが重要な産業であるだけに若手育成にも力が入っています。

農業高校に隣接するぶどう畑

この村の特徴は「壁」。目抜き通りの東側、村の中でも高い位置にある集落は石垣風の壁が目立ちます。車が何とかすれ違うぐらいの道幅の道が多く、道沿いは建物ではなく石垣が続いているので歩いているとまるで迷路の中にいる気分になります。壁自体はそこまで高いわけではないで圧迫感はありませんが趣があります。このような石垣があるのはこの村だけです。

少し高めの壁が面白い

さて一方、街の西側にある南チロルを代表するEtsch【独】Adige【伊】川に近づいて来ると、辺り一面のリンゴ畑が目に飛び込んできます。農業用用水路もありますね。

農業用用水路

川付近の湿地帯を干拓してリンゴ畑にした歴史が南チロルの「低地」地域にはあります。この村も然り。水を嫌うブドウは川から離れた東側の村の高い場所、水を好むリンゴは川に近い村の西側一体を占めています。視界を遮ることなく広がるリンゴ畑には圧巻です。

一面に広がるリンゴ畑には圧巻

農業高校の葡萄畑から北へ目をやると、東西に山の壁が聳え、川が流れて作り上げられた平地に人々が住み着いたのだなというのが分かります。「低地」という名前がつけられたのも、この景色を見れば腑に落ちます。

ぶどう畑の向こうには州都が見える

村役場がこの村の良いところを住民アンケートで取った結果、何だったと思います?答えは「交通の便が良い」でした。実は村の中心部から約2km離れた鉄道駅には広大な無料駐車場が隣接されています。ここから電車で州都Bolzano【伊】Bozen【独】まで普通列車で約20分、そして「低地」地域で急行、長距離列車が唯一停まる駅なのでイタリアの主要都市に向かう一部特急列車を州都まで行くことなくスムーズに捕まえることが出来る利点があるのです。そんな訳もあって、ここ数年この村の人口が急増しているのではないかと見られています。元祖イタリアへ向かう際に州都を出発した特急列車に乗って15分ほどで「なんか小さな無人駅みたいなところに停まったぞ?」と思ったら、そこは間違いなくAuer/Oraの駅です。広大なリンゴ畑の中に小さなこの村がある事を思い出してくださいね。

村の中心から離れた鉄道駅。こちらは旧駅舎




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