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キャロットケーキは自由味

打ち合わせの前に30分ぐらいの少しの空き時間があった。

昼食を食べるには短いなあとメニューに目をやると、私の大好物「キャロットケーキ」があった。丁度良いな?と嬉々として席についた。カフェラテとキャロットケーキを頼み、それらが到着したころ。隣の席では社会人の女性2人組が雑談しつつランチをしていた。同棲するかもの話からフリーランスの話になった。なんか悪いよなあと思いつつ、カフェの簡素な席ではどうしても話が聞こえてきてしまう。「時間は有効に使いたいけど、フリーランスになったら大変だよね」「ほんと私には無理だなあ」「昇給とか福利厚生ないし」「・・・」むむ。ケーキにぽさりとフォークを差し込みながら、確かに大変だ。フリーランスは大変。自由だけど全部自分主体の働き方。サボったら自分にちゃんと返ってくるし、仕事を選ぶ時も自分の責任を一緒に乗せて生きてるから文句は言えない。(愚痴は言うけど)そんな生き方を選んだのは他ならぬ自分。そうだった。そうそう。

急に目の前の食べかけのキャロットケーキがただならぬ神聖な食べ物に思えてきた。交渉して打ち合わせして描いて描いて請求書を出す。そして今日はこのケーキを買った。価値の塊が置いてあるような気分になった。私がどんなペースで働こうと何を描こうと何を食べようと自由そのものの生き方。そう考えながら食べたひとくちはめちゃくちゃ美味しかった。誇らしい甘み。


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