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メメントモリ、わたしの頭蓋骨

はじめましてこんにちは。イラストレーターの小林ランです。フリーランスで主に書籍や広告、動画などのイラストレーション制作をしています。つらつら日常を書こうと思いつつ、ずっとずっとずっと放置していたnoteのアカウントを引っ張り出してキーを打ちはじめました。寒いから死を感じているのか。いや生きるために書きたかったのかもしれない。(プロフィールはまたちゃんと用意するかもしれません。)

Memento Mori 2022 グループ展

先日、原宿にあるギャラリールモンドさんのグループ展に参加した。メキシコの死者の日(通称ガイコツ祭り)がテーマで、ホラーや儀式のモチーフ、神話が大好きだったので「待ってました!」と言わんばかりに快諾した。わたしは人生における実績、情熱、時間、好きなもの…etcをオーナメントに見立てた作品を描いて出品しました。(ありがたいことにSOLDしました)

Gallery Lemonde presents Memento Mori 2022


初めて見る自分の頭蓋骨

この作品を思いついたきっかけがある。それは大学病院で撮っていただいた頭蓋骨のレントゲン写真。機械の中に立ち、頭を固定され、ウイーンとわたしの頭の周りをカメラ機材がまわる。あっという間に出力された頭蓋骨。うっすらとしたわたしの写真の上に重なってくっきりと白く写っている。やっぱりハロウィンでよく見る感じ…いや待って。この頭蓋骨はなんだかわたしっぽい?なんて親しみを感じるドクロなんだ!

私の顎は上下それぞれ数センチほど絶妙な方向でズレていて、そのせいで歯並びも悪くなってきている。上下の顎とも骨切り手術が必要とのこと。骨折させるんだからきつい手術。相談医さん曰く、40年近くこれで噛み合わせてきてるので、痛みを伴う手術をわざわざやらんでもいい。でも治したい気持ちが強いならやったほうがいい。という選択肢をあえてこの大学病院まで来てる段階で"ファイナルアンサー"の機会を与えてくださった。

正直。え、いまこのタイミングで?紹介状まで書いてもらって?ひよってるやついねえよなあ…!(東リベ)とも思ったけど、手術の内容を聞いてドン引きして辞退して矯正だけで済ます方も2割ぐらいはいるらしい。ただその場合は、土台のズレからまた年月をかけて歯列が戻る可能性も高いそう。

人間の身体はすごい。ズレているなりにうまく噛み合わせを見つけて生きてるんだ。私の顔えらいなあ。そういえば、20代の頃はまだズレてなかった気がする。あの子と遊んでこんな仕事もしたなあ。デザイナーの頃は大変だったなあ。あの人好きだったなあ。色々あったけど、顎みたいにどうにかうまく折り合いをつけて生きてきたのかもしれない。診察室のパイプ椅子でぶらぶら待ちながら、しばらく自分の頭蓋骨をみつめ、死ぬ間際でもないのに走馬灯を見たような気がした。過去を眺めたあと(やっぱり未来はできるだけ面白くて楽しい方がいいいい!)とポジティブモードになり、「やります!整えたいです!」と即答した。気合いが入った(これは東リベじゃない)

”人生 ”をテーマにしよう

それからすぐにラフに着手して、めずらしく早く作品が仕上がった。メメントモリとは「死を想え」という意味。それにメキシコ、ラテンらしい意味が加えられて「だから、いつ死ぬかわからないのだから今日を楽しもう」という想いも込めてある。最高だ。お盆やハロウィンよりメンタルにやさしい祭りかもしれない。私はこれからの人生の折り返しターンを楽しむために矯正と手術をする。普通なら鬱々としてしまいそうなタイミングだったけど、このグループ展はそれも吹き飛ばしてくれた。ご縁をくれたギャラリールモンドの田嶋さんやまつおさん、そしてすこぶる明るくてやさしくて、いい言葉をくれる出展者のみなさんには感謝しかない…。本当にかっこいい作品だらけだった。またいつか飲みましょう!お酒でもジュースでも。

そして、いま上の奥歯にだけ矯正器具が付いている。術前矯正がスタートして、来月にはまったく出てこない親知らずの抜歯もある。新たな試練のはじまりです!絶対にもうがんばれない…等と言い出す日があるかもしれないけど、悟空みたいに手強いやつと闘ってわくわくするメンタルを養おうと思います。あれ、もしかして悟空ってラテン系なのかな?



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